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- ~所見を「読んで」「考える」~臨床医のための腎病理読解ロジック2 各論編;リウマチ・膠原病と腎病理
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内容
あわせて読む → ~所見を「読んで」「考える」~臨床医のための腎病理読解ロジック
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序文
はじめに
お蔭様で,拙著「臨床医のための腎病理読解ロジック」は筆者の想像を遥かに超える反響を頂き,読者の皆様には深く感謝を申し上げます.
前作では数多ある腎疾患の枠をいったん取り払って,あらゆる腎疾患に共通して重要な腎病変の成り立ちと,腎予後悪化に影響しうる所見の見かた・考えかたについて書きました.
その中のひとつである「結節性病変・分節性硬化」の章では巣状分節性糸球体硬化症の組織分類であるコロンビア分類について,診断の手順や臨床的な考え方について触れました.その後,読者の先生方から「コロンビア分類以外の組織分類についても解説して欲しい」,「腎予後に影響しうる病理所見を疾患ごとに解説して欲しい」といったニーズを頂きました.
この“組織分類”と“疾患ごとに”をキーワードにこのたび続編を執筆させていただく運びとなりました.
前作を総論編とするならば本作は各論編に相当します.
総論編でお示しした疾患横断的な見かた・考え方はいわば知識の横糸であったのに対して,各論編では疾患ごとに縦割りの知識を深めていく形式になっています 図 .
こうした縦と横の知識を交互に編み込むように深めることで,多彩な病理像を目の前にしても慌てずに,所見が持つ臨床的な意味を読み解く力を身に付けることが本シリーズの目標です.
前作から一貫して,病変の成り立ちから理解することで知識の定着を図るスタンスは変わりません.今回はこれを疾患ごとにメカニズムから解説するようにしています.さらに腎予後に影響しうる病理所見についても疾患ごとに整理して,より疾患特異的な情報を臨床にフィードバックさせていく構成になっています.(前著で強調したポイントについては適宜,補足説明を加えています.)
各論編の第一弾は「リウマチ・膠原病に合併する腎障害の病理」にフォーカスして書きました.血管炎やループス腎炎といった代表格の疾患では臨床医にとってはしばしばとっつきにくい病理組織分類を,ある程度ざっくりとでもいいので
自分でできるようにして,“使えるツール”として日常臨床に反映させていけるように解説しました.もちろん,それ以外の膠原病と腎病変についても「診断に必要な病理所見」と「腎予後に関連する病理所見」について調べ得た限りの情報と参考文献を書いています.
今回もごく一部の写真を除きオール虎の門病院の症例です.乳原部長先生はじめ歴代虎の門病院の先生方が長年かけて積み重ねてこられた7,000 例以上の腎生検標本の中から選び抜いた写真とともにお送りします.
基本から腎病理を学びたい,あるいは,一通り読めるようにはなったけどもう一歩進んだ情報を病理像から得たい,といったニーズをもつ臨床医の先生方にとって本書が少しでもお役にたてますと何より幸いです.
2021 年春
上野智敏
目次
CHAPTER 1 ANCA関連血管炎の腎病理
■血管炎の分類
血管サイズと背景病態の双方向からの分類
■血管炎のメカニズム俯瞰
■ANCA関連血管炎の発症メカニズム
各ANCA関連血管炎におけるANCAの種類と陽性率
ANCAの種類による合併症の相違
各種血管炎の臨床像の違い
■血管炎の腎病理 総論
血管炎を起こす腎臓内での血管分布
腎臓内での血管の三次元イメージ
腎病理標本での血管の見え方
■ANCA関連血管炎の腎病理
糸球体に起こる変化
ANCA血管炎のIF
ANCA関連血管炎のEM
各ANCA関連血管炎での組織学的特徴の違い
■ANCA関連血管炎の病理分類と予後
ANCA関連血管炎の臨床的・病理学的予後不良因子
ANCA関連血管炎のEUVAS分類
実際にEUVAS分類を使ってみよう
EUVAS分類の再現性と結果の解釈
尿細管・間質病変は見なくてもよい…?
MPOとPR3で腎病理所見や腎予後は異なるのか?
まとめ
CHAPTER 2 抗基底膜抗体腎炎
■基底膜の基本構造と標的抗原
抗基底膜抗体腎炎の発症メカニズム
■抗基底膜抗体腎炎の病理
光顕所見
蛍光抗体法(immuro-fluorescence : IF)所見
電顕所見
■抗基底膜抗体腎炎の予後不良因子
抗基底膜抗体とANCAの共陽性症例について
CHAPTER 3 IgA血管炎の腎病理
■IgA血管炎の臨床像
IgA血管炎の臨床プロファイル (小児 vs. 成人)
■IgA血管炎の腎病理
IgA血管炎とIgA腎症の病理像の違い
■IgA血管炎の腎病理所見
光顕所見
IF所見
電顕所見
■IgA血管炎の病理組織分類と腎予後
IgA血管炎の病理組織分類
成人IgA血管炎の病理組織評価と予後予測はどうするか?
その他の組織学的予後不良因子
CHAPTER 4 ループス腎炎の病理
■ループス腎炎の臨床背景
SLE診断における腎生検の役割
■ループス腎炎の病変形成のメカニズム
■ループス腎炎の病理所見
光顕所見
IF所見
電顕所見
腎病理組織分類
ISN/RPS分類の見かた
実際にISN/RPS分類を使ってみる
ISN/RPS分類 で予後の検討
CHAPTER 5 関節リウマチと腎病変
■関節リウマチ治療薬と腎病変のパラダイムシフト
RA治療薬の変遷
腎病理所見の変遷
■関節リウマチと腎病理
〔1〕発症例数が減った疾患
〔2〕発症頻度が変わらない疾患
〔3〕発症例数が増えてきた疾患
■RAに合併しうる腎障害の予後
RAとCKD
生物学的製剤の登場によってRA患者さんの腎予後は改善するのか?
CHAPTER 6 シェーグレン症候群の腎病理
■シェーグレン症候群の臨床像
■シェーグレン症候群の腎合併症
■シェーグレン症候群の腎病理
尿細管間質性腎炎
糸球体疾患
■シェーグレン症候群の腎予後
CHAPTER 7 強皮症の腎病理
■強皮症と腎合併症
自己抗体と臨床像
強皮症腎クリーゼ(Scleroderma Renal Crisis; SRC)の合併率
SRC発症のリスクファクター
■強皮症腎クリーゼの病理所見
SRCの発症メカニズム
高血圧性血管障害(narrowly defined SRC; nd-SRC)の病理像
強皮症関連血栓性微小血管症(SSc-TMA)の病理像
■強皮症腎クリーゼの予後
CHAPTER 8 リウマチ・膠原病治療における薬剤性腎障害の病理
■薬剤性腎障害のメカニズム
■薬剤性腎障害の病理
1.非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
2.メトトレキサート
3.金製剤,ペニシラミン,ブシラミン
4.サラゾスルファピリジン
5.生物学的製剤
6.シクロスポリン・タクロリムス水和物
7.抗結核薬
コラム
1.標本の厚さ
2.プレパラートへの標本の乗せかた
3.形に残す大切さ
4.症例報告がその後の医師人生に多大な影響を与えた1例
あとがきにかえて
資料「虎の門病院腎センターで執筆された英語論文〜リウマチ・膠原病編〜」
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書籍情報
- ISBN:9784498224605
- ページ数:242頁
- 書籍発行日:2021年3月
- 電子版発売日:2021年3月10日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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