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Acute Care Surgery 認定外科医テキスト
商品情報
内容
Acute Care Surgery は,trauma surgery,emergency surgery,surgical critical care を扱う新たな外科領域として2005年に米国外傷外科学会が提唱した領域であり,時代のニーズに合致したことから,短期間で広く世界に広がりました。わが国では,外科系医師と救急系外科医が協力して2009年に日本Acute Care Surgery 研究会を立ち上げ,2013年からは日本Acute Care Surgery 学会としてその診療領域と専門領域を明確にしながら,わが国のAcute Care Surgeryのあるべき姿を模索しています。
本書は、Acute Care Surgeryの診療領域である外傷外科,救急外科,外科集中治療およびsurgical rescue のすべてを網羅し,Acute Care Surgeonを目指す若手外科医に向けたテキストとして、またAcute Care Surgeryの診療に携わりより高度で専門的なAcute Care Surgery の実践を行う外科医の日々の診療に役立つ内容となっています。
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序文
巻頭言
Acute Care Surgery は,2005年に米国外傷外科学会によって提唱された新たな外科領域であるが,そのころ外科領域の専門細分化が過度に進んだことにより,外科的緊急事態に適切に対処可能な外科医へのアクセスが危機的な状況に陥っていた。その結果,社会のニーズとしてAcute Care Surgeryへの期待が高まった。Acute Care Surgery は外科学の一分野として魅力を保ち,外科レジデントの価値観にも合致していたことから,現在,米国の外科系志望の医学生へのアンケート調査でも,Acute Care Surgery は整形外科や小児外科と並んで,もっとも多くの志望者数を数えている。また,米国内のみならず,急速に世界に広がりつつある。
日本では,2009年2月に日本Acute Care Surgery 学会(当初Acute Care Surgery 研究会)が発足した。わが国でも外科医の数が増えない状況下で,外科診療の専門細分化が進み,一方で外科ジェネラリストが減少した結果,外科医不足という弊害が,全国各地の外科診療施設からの声としてあげられるようになり,その声は年々増加している。こういった米国と同様な危機意識の広まりが,わが国におけるAcute Care Surgery に対する関心の高まりの理由である。しかし,わが国の外科学/ 外科診療の発展および救急医療体制は,米国のそれとは大きく異なることから,日本独自のAcute Care Surgery体制の整備・発展が必要であった。Acute Care Surgery をわが国に導入・普及するにあたって,その解釈の相違から,多少の混乱が生じていた。このため,日本Acute Care Surgery 学会では,AcuteCare Surgery の基本概念は踏襲しつつ,わが国におけるAcute Care Surgery に関して,その「診療領域」「専門領域」を明確に示した。この専門領域が明確となったことにより,わが国でのAcute Care Surgeon とは,この専門領域を臨床実践できる外科医と規定することで,そのアイデンティティーを確立することが可能となった。
わが国では,Acute Care Surgeon を目指す若き外科医が急増している。彼らが標準的なAcute Care Surgery を実践できるようになるための指針とその手順を明確にすることが日本Acute Care Surgery 学会の責務であると考え,さらにそれを実践できる能力をもった外科専門医を「Acute Care Surgery 認定外科医」として認定する制度を整備した。日本Acute Care Surgery 学会は,2019年12月に「Acute Care Surgery 認定外科医」の認定試験を実施し,167名(2020年4月現在)を認定した。本テキストは,この認定試験の出題範囲として用いられることを目的として上梓するものであるが,日々緊急外科手術に携わる外科医が,レベルの高いAcute Care Surgery を実践するための一助となることも期待している。
重症胸腹部体幹外傷および重篤な非外傷急性疾患に対する外科手術を執刀する外科医は,一定の修練を経た適切な能力を備えている必要がある。一定の指針に基づき修練を積んだAcute Care Surgeonを多く世に輩出することは,わが国における外傷外科,救急外科診療レベルの向上につながり,これを受ける国民の利益にもつながる。
2021年4月
一般社団法人日本Acute Care Surgery 学会
理事長 大友康裕
刊行にあたって
Acute Care Surgery は,trauma surgery,emergency surgery, surgical critical care を扱う新たな外科領域として2005年に米国外傷外科学会が提唱した領域であり,時代のニーズに合致したことから,短期間で広く世界に広がりました。わが国では,外科系医師と救急系外科医が協力して2009年に日本Acute Care Surgery 研究会を立ち上げ,2013年からは日本Acute Care Surgery 学会として,その診療領域と専門領域を明確にしつつ,わが国におけるAcute Care Surgery のあるべき姿を明確にしてきました。
外科医全般の減少が憂慮されるなか,若い外科医のなかにはAcute Care Surgery に興味をもつ医師が少なからずいます。彼らの診療能力を保証するとともに,アイデンティティーを確立するという観点から,日本Acute Care Surgery 学会において,Acute Care Surgery 認定外科医制度が制定され,必要とされる修練のもと,求められる診療実績と知識を有する外科医への資格認定が進められています。これにともない,Acute Care Surgeon にとって必要となる分野を網羅し,標準的な知識を修得できるテキストが不可欠であると考えられたことから,日本Acute Care Surgery 学会にテキスト作成小委員会が設置され,本書の編集が開始されました。
本書は,Acute Care Surgery の領域である,外傷外科,救急外科,外科集中治療およびsurgical rescue のすべてを網羅するものです。Acute Care Surgery 領域において豊富な経験と実績を有し,日々の診療に取り組んでおられる多くのエキスパートの先生にご執筆いただきました。さらに,委員会において原稿内容を査読し,数回の修正を依頼させていただいた後に刊行に至ったものです。
わが国において,いまだAcute Care Surgery のテキストとなる書物が上梓されていないことから,本書は単にAcute Care Surgery 認定外科医を目指す若手外科医だけでなく,日々Acute Care Surgery診療に携わり,より高度で専門的なAcute Care Surgery の実践を目指している外科医にも手にとっていただきたいと考えています。本書が,先生方の日々の診療に役立つものとなれば幸いです。またAcute Care Surgery の領域は絶えず進歩しています。本書は今後も改訂を行う予定ですが,その内容について多くの先生からご意見をいただきたいと思います。
最後になりましたが,本書の執筆および査読,編集にご協力いただきました先生方に深謝申し上げますとともに,事務局として立案から発刊までの作業をご支援いただきました,へるす出版の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。
2021年4月
一般社団法人日本Acute Care Surgery 学会
テキスト作成小委員会
委員長 溝端康光
目次
Ⅰ Acute Care Surgery
1 Acute Care Surgeryの対応病態
A 出血
出血の原因/出血の病態/ショックの分類/出血時の血液凝固/出血に対する診療体系/出血に対する輸液・輸血戦略/出血量の推定/出血性ショックに対する蘇生/大量出血に対する制御
B 感染
敗血症/外傷と感染/外傷における感染制御/救急外科における感染制御
2 Acute Care Surgeryにおけるdecision making
A 治療方針決定のプロセス 手術・NOM・IVR
ABCDEアプローチ/C(循環)の初期評価/ショックの初期治療/C(循環)の再評価/治療方針の決定
B ダメージコントロール戦略 DCSとDCR
ダメージコントロール戦略の概念/Damage control surgery(DCS)/外傷死の三徴/Damage control resuscitation(DCR)/ダメージコントロール戦略の適応
C Open abdomen management
OAMの適応/一時的閉腹のdecision making/一時的閉腹/根治的閉腹
D 倫理的・社会的問題
高齢者への対応/インフォームドコンセント(IC)における特殊性・緊急性/犯罪に関連する場合の警察対応
3 Acute Care Surgeryに必要な手技
A 外科的気道確保
適応と目的/実施のタイミング/手術手技
B 蘇生的開胸術
適応と目的/実施のタイミング/手術手技/実施時の注意点
C Crash laparotomy
適応と目的/実施のタイミング/手術手技
D REBOA
IABOとREBOA/適応と目的/実施のタイミングと遮断位置/手技/わが国の状況と今後の課題
E Open abdomen management
適応と目的/手技
4 Acute Care Surgeyにおける内視鏡外科手術
適応の検討/胸部疾患への適応/腹部疾患への適応/将来展望
Ⅱ 外傷外科
1 頸部外傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
2 胸部外傷
A 肺損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
B 気管・気管支損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
C 心損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/周術期管理
D 大血管損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/周術期管理
E 食道損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
F 胸郭・横隔膜損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
3 腹部外傷
A 肝損傷
肝損傷の解剖学的特徴/病態と診断/治療戦略/手術手技/周術期管理
B 脾損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
C 膵損傷
病態と診断/治療戦略/手術手技/周術期管理
D 十二指腸損傷
病態と診断/治療戦略/手術手技/周術期管理
E 胃・腸管・腸間膜損傷
病態と診断/治療戦略/手術手技/周術期管理
F 腎損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
G 尿管・膀胱損傷
尿管損傷:病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
膀胱損傷:病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
H 腹部血管損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
I 腹壁損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
4 骨盤外傷
病態と診断/治療戦略/骨盤開放骨折の治療/骨折に対する治療と周術期管理
5 四肢外傷
A 四肢の血管損傷
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
B コンパートメント症候群
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
6 高齢者・小児・妊婦の外傷
A 高齢者外傷
社会背景/高齢者の生理学的特徴/初期診療/注意すべき高齢者外傷/高齢者外傷の予後予測/QOL(quality of life)からQOD(quality of death)へ
B 小児外傷
解剖学的特徴/生理学的特徴と初期診療における注意点/病態と診断,治療戦略
C 妊婦外傷
疫学と受傷機転/妊娠に伴う生理学的変化/妊婦外傷の診療/妊婦に特有な病態
7 爆傷
爆傷の特徴/各部位・臓器の損傷と病態/初期対応・救護と多数傷病者対応/爆傷治療と手術適応
8 銃創
病態と重症度/初期対応/手術時の対応/周術期管理/多数傷病者対応/その他の対応
9 外傷の重症度評価と予後
Injury Severity Score(ISS)/Revised Trauma Score(RTS)/Trauma Injury Severity Score(TRISS)
Ⅲ 救急外科
1 Oncologic emergency
Oncologic emergency/診断と治療
2 外因病態への救急外科
A 腐食性物質による病変
病態/症状/診断と初期評価/治療戦略/遅発性合併症
B 気道・消化管異物
気道異物:病態と診断/検査/治療戦略/予防
消化管異物:病態と診断/検査/治療戦略
3 胸部疾患
A 胸部大動脈瘤・急性大動脈解離
胸部大動脈瘤:病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期・慢性期管理
急性大動脈解離:病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期・慢性期管理
B 縦隔気腫・縦隔炎
縦隔の区分 縦隔気腫:病態と診断/治療戦略 縦隔炎:降下性壊死性縦隔炎/病態/診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理 開胸術後縦隔炎 食道憩室,食道腫瘍の穿孔による縦隔炎
C 食道破裂
病態と診断/治療戦略と手術手技/手術のタイミング/周術期管理
D 気胸・膿胸
気胸:病態と診断/治療戦略/手術手技と周術期管理/緊張性気胸と特発性気胸
膿胸:病態と診断/治療戦略/手術のタイミング
4 腹部疾患
A 腹部大動脈瘤
病態と診断/治療戦略/手術手技/周術期管理
B 腹腔動脈・上腸間膜動脈疾患
病態と診断/治療戦略/手術手技/周術期管理
C 胃・十二指腸穿孔
病態と診断/治療戦略/周術期管理
D 上部消化管出血
病態と診断/治療戦略/非静脈瘤性出血の治療戦略/静脈瘤性出血の治療戦略
E 小腸・大腸の穿孔・穿通
病態と診断/治療戦略/手術手技/周術期管理
F 小腸・大腸の虚血・壊死
病態と診断/治療戦略/手術手技/周術期管理
G 腸閉塞
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理
H 急性虫垂炎
病態と診断/治療戦略/手術のタイミング/手術手技/周術期管理/妊婦の虫垂炎
I 肝膿瘍
病態と診断/治療戦略
J 急性胆管炎・急性胆囊炎
急性胆管炎:病態と診断/治療戦略 急性胆囊炎:病態と診断/治療戦略
K 急性膵炎
病態と診断/治療戦略/手術手技と周術期管理
L ヘルニア疾患
病態と診断/治療戦略/手術手技/周術期管理
5 壊死性軟部組織感染症
分類と病態/診断/治療戦略/手術のタイミング/手術と周術期管理/抗菌薬/高気圧酸素療法
Ⅳ 集中治療
1 呼吸管理
呼吸不全の病態生理/人工呼吸前の呼吸管理/人工呼吸療法/人工呼吸中の補助療法/人工呼吸器離脱
2 循環管理
循環の評価/基礎生体情報/循環管理
3 感染管理
隔離予防策/滅菌と消毒/感染経路と薬剤耐性/薬剤耐性菌/抗菌薬投与
4 DIC
病態と臨床像/敗血症性DIC/外傷性DIC/頭部外傷での特殊な凝固・線溶反応/外傷性DICにおける凝固・線溶の診断/外傷性DICにおける凝固・線溶異常の治療
5 栄養管理
エネルギー代謝変動/エネルギー消費量の推定と投与エネルギー量/各栄養素の投与量/栄養投与経路/栄養状態の評価/血糖値管理
6 腹部コンパートメント症候群と腹腔内圧管理
IAHとACSの病態/腹腔内圧上昇(IAH)時の臓器障害/ACSの予防/IAPの測定法/IAH /ACSマネジメントアルゴリズム
7 Open abdomen managementの管理
初回手術~再手術までの集中治療管理/閉腹を行えなかった場合の集中治療管理
8 静脈血栓塞栓症の診断・治療・予防
疫学と病態/診断/治療/予防
Ⅴ Surgical rescure
Surgical rescure
定義/背景/対象/代表的疾患/Failure to rescue/Surgical rescueの実際
Ⅵ Appendix
1 Acute Care Surgery認定外科医制度
Acute Care Surgeryの必要性/Acute Care Surgery修練の現状/Acute Care Surgeryの専門領域と診療領域/日本Acute Care Surgery学会認定外科医制度
2 AAST/OIS分類
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書籍情報
- ISBN:9784867190173
- ページ数:536頁
- 書籍発行日:2021年4月
- 電子版発売日:2021年5月20日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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