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- 骨折治療基本手技アトラス~押さえておきたい10のプロジェクト~
商品情報
内容
第一線で活躍する豪華執筆陣が教える「手術手技の基本」を新AO分類といった最新情報を取り込んで一冊に凝縮しています。
手技だけでなく、術前計画やインプラント、診断ツールなど骨折治療すべての基本を押さえられる一冊です。
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
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序文
骨折治療を志すあなたに・・・
この出来上がった「骨折治療基本手技アトラス」を眺めながら,整形外科に入局したときのことを思い出しています.当時は今と違って,国家試験に合格するとほとんどが大学の医局に入局するので,早々に「整形外科研修医」としての仕事が始まりました.といっても,国試レベルの医学知識だけでは病棟・外来・手術などの臨床上のあれこれは全くお手上げの状況です.そのため,前年入局した先輩(研修医2 年目)おすすめの各種医学書や当直・基本手技用のマニュアルなどをしこたま買い揃えました.今と違ってスマホやタブレット,ラップトップパソコンなどもない時代ですので,これらをすべてボストンバッグに詰め込んで,医局のみならず外勤・当直先にまで持ち運んでおりました(笑).
そもそも外科医を志したわけですから,入局してからの関心の多くは「手術」にありました.そのうち執刀医として手術をさせて頂く機会が増えましたが,多くは「骨折」の手術でした.そのときのバイブルが「骨折手術法マニュアル―AO 法の実際(山内裕雄ほか翻訳/シュプリンガー・フェアラーク東京)」でした(※その後の改訂版もすべて私の本棚に収まっております).見開きの左に文章が,右にイラストが配置され,基本となる骨折手術のすべてがコンパクトにまとまっておりました.これをベースに手術計画を立て,上司にプレゼンしてOK がもらえると執刀を許されました.また,骨折に限らず手術の手技を学ぶうえで大いに感銘を受けた2 冊があります.「基本腰椎外科手術書(辻 陽雄著/南江堂)」と「私の手の外科―手術アトラス(津下健哉著/南江堂)」です.いずれもふんだんに著者手書きの詳細な手術シェーマが盛り込まれ,“見せる”体裁が施されておりました.特に前者からは脊椎手術に留まらず整形外科手術に用いる“器械の種類・使用方法”を,後者からは“atraumatic な操作”の重要性を学ばせてもらいました.もうひとつ,研修医当初,白衣のポケットにいつも入っていたのが「整形外科病棟勤務ハンドブック(林 浩一郎著/南江堂)」です.整形外科研修医が病棟内で必要になる指示出しや検査の手順,基本手術手技・麻酔・アプローチ,術後管理から合併症対策,直達牽引やギプス巻きの作法,最後には疾患分類表と文献リストも載っていて,大層重宝致しました.残念ながらこれらの書籍は今では絶版や改訂終了となっております.
さあ~,本書を手に取りここまで読まれた方は,今一度本書をパラパラと眺めてみてください.私が何を目指して本書を企画したかご理解いただけるものと思います.文字から読み取る情報よりもビジュアルから入る情報のほうが極めて鮮明で理解しやすいものです.そこで意識したのは「文字数を極力抑え,イラスト・写真を多用した“魅せる(見せる)”アトラス本」です.読者層は,骨折治療の主軸となる研修医から卒後10 年超の整形外科医・救急外傷医の先生を対象にしました.また,各種骨折の具体的治療手技を習得するうえでまず前提となる知識,例えば骨折治療の目的,診断ツール,保存療法,手術器械,ダメージコントロール,治療ツール(インプラント),スケジューリングといった,一見知っているのが当たり前と思われ,見過ごされてきた“基本の基本”的事柄も多く存在します.そこで,雑誌という限られた枠組みのなかで取り扱うには難しいこれらの事柄を,骨折を扱う整形外科医・救急外傷医がひとつひとつ身につけるべき「プロジェクト(計画)」に見立て,初めから順に読み進めることで「クリア(習得)」していける書物をつくりたいと考えました.果たして,Monthly Book Orthopaedics 誌の特色である“ビジュアルMOOK”の特長を活かした渾身の一冊が完成致しました!
本書を構成するにあたり執筆依頼をさせて頂いた諸先生は,皆その分野のトップランナーであり,私がその人柄も実力も熟知している骨折治療スペシャリストばかりです.にもかかわらず,ご投稿頂いた原稿に厚かましくも所々の修正・変更をお願いし,その都度快く(渋々?)お聞き入れ頂きましたことをこの場をお借りしてお詫び申し上げます.加えて,巻末にまとめた「参考文献一覧」において,苦手意識を持たれがちな英語文献に簡潔なサマリーを付与して頂きました執筆者の一人である岡田寛之先生には心より御礼申し上げます.
本書が骨折治療を志すあなたの,心に残る一冊になることを願って・・・
2019年2月
編集企画
順天堂大学医学部附属静岡病院整形外科先任准教授
最上敦彦
目次
プロジェクトI
■骨折治療の目的とは何か?
プロジェクトII
■骨折診断ツール
プロジェクトIII
■メスを使わない骨折治療法
プロジェクトIV
■骨折手術のための器械(役割と使い方)
プロジェクトV
■ダメージコントロールとしての直達牽引・創外固定の実際
プロジェクトVI
■骨折治療ツール(インプラントの役割と使い方)
プロジェクトVII
■骨折手術の計画の立て方
プロジェクトVIII
■押さえておくべき基本 骨折治療テクニックの実際
■新AO分類について
1.鎖骨骨折
1)髄内ピン
2)プレート
2.上腕骨近位部骨折
1)ロッキングプレート
2)髄内釘
3.上腕骨骨幹部骨折
4.上腕骨遠位部骨折(高齢者)
5.上腕骨顆上骨折(小児)
6.肘頭骨折
7.前腕骨骨折
8.橈骨遠位端骨折
9.手部骨折
10.骨性マレット指
11.大腿骨頚部骨折
12.大腿骨転子部骨折
13.大腿骨転子下骨折
14.大腿骨骨幹部骨折
15.大腿骨遠位部骨折
1)ロッキングプレート
2)髄内釘
16.膝蓋骨骨折
17.脛骨プラトー骨折
18.脛骨骨幹部骨折
19.足関節骨折
20.踵骨骨折
21.リスフラン関節脱臼骨折
プロジェクトIX
■感染のない,きれいなキズアトを目指す
プロジェクトX
■診断・治療に困ったときの対処法Q&A
プロジェクトⅧ執筆者
これが私の秘密テク
Q1 ブラッシングの正しい手順とは?
Q2 K-wireを上手く挿入する方法を教えてください.
Q3 ピンニングがうまくできません.どうすれば良いでしょうか?
Q4 感染巣に対する洗浄の実際について教えてください.
Q5 術中所見を正確に記録するための工夫は何かありますか?
Q6 皮弁術後の感染を減らすもうひと工夫はない?
Q7 イリザロフやMIPOのための骨折部整復にハーフピンで一時的創外固定を組んでいますが,他に方法はないでしょうか?
Q8 髄内釘固定後のdynamizationの適応と方法について教えてください.
Q9 早期競技復帰を希望するバスケットボール選手の骨性マレット指.骨片の橈側が大きく,尺側が小さい非対称な形態.治療方針は?
Q10 橈骨遠位端骨折に対する手術療法において,遠位骨片の橈側偏位とradial inclinationの整復が不十分となることがあります.整復のコツを教えてください.
Q11 上腕骨近位端骨折のplateでの内固定をするとき,体格の良い筋量の多い患者に対して皮切,展開をどうしたら? Delto-pectoralだと展開が大がかりになりそう.前外側皮切だと小結節が届かないかも…
Q12 鎖骨骨幹部骨折に対するMIPO,整復はどの程度行えば良いでしょうか?
Q13 大腿骨の髄内釘で正面像はきれいに整復固定できるのですが,術後に側面像を見ると前弯が消失してしまっていることがよくあります.どうやったら側面像もきれいに整復できるでしょうか?
Q14 脛骨粗面の骨折を有する脛骨プラトー骨折において,粗面の骨片をどのように固定すれば良いでしょうか?
Q15 足関節脱臼骨折で内果骨片が粉砕しているとき,どのように固定すれば良いでしょうか?
Q16 足関節脱臼骨折で外果が粉砕している場合,どのように固定すれば良い?
Q17 踵骨開放骨折の初期固定はどうしたら良いでしょうか?
こんなときこうすると良い
Q18 研修会,勉強会で教わった内容と,上司の指導内容が異なるのですが,どうしたら良いでしょうか?
Q19 神経血管が近い部分の展開が必要な場合,良い方法はありますか?
Q20 偽関節手術のときのinlay bone graftの適応について教えてください.
Q21 指の鋼線固定の端がラジオペンチで掴めない,リーミング時にガイドワイヤーが骨内で折れたときなどにその抜去のために何か良い道具がありますか?
Q22 粉砕の高度なAO分類C3タイプの橈骨遠位端骨折に対するおすすめの方法は?
Q23 9歳,男児.Salter Harris typeII(SH-II)の橈骨遠位骨端線損傷が整復後1週間で再転位しました.どうすれば良いでしょうか?
Q24 関節面背側の圧壊がメインで,中央が陥没し,掌側は辺縁(rim)骨折を認める橈骨遠位端骨折の治療戦略は?
Q25 上腕骨近位端骨折で,髄内釘を挿入後もアライメント不良が残存してしまいました.
Q26 Garland分類3型小児上腕骨顆上骨折の転位が容易に整復できないときの手技は?
Q27 鎖骨や腓骨の骨折でラグスクリューや鉗子が使えない小さな第3骨片がある場合,どのように仮固定を行いますか?
Q28 大腿骨転子部骨折や転子下骨折で,近位骨片がこのようにスパイク状で,前方に跳ね上がっているものはどのように整復すれば良いですか?
Q29 大腿骨近位部骨折の手術で骨頭に向けて挿入するスクリューのドリル(ガイドピン)が何度やっても思った方向に入りません.かっこよく一発で決める方法はないでしょうか?
Q30 大腿骨骨幹部骨折にinterlocking nailを入れようとしましたが,同部には骨移植を含む手術歴があり,遠位骨片の髄腔が閉塞していてガイドロットが入りません.どうすれば良いですか?
Q31 高齢者大腿骨遠位部骨折で,内顆骨片が大きく,矢状面剪断骨折を伴った骨折でどうすれば良いでしょうか?
Q32 転位した膝蓋骨骨折でのtension band wiring法.制動困難な下極の骨片はどうすれば良いでしょうか?
Q33 脛骨の分節骨折を髄内釘で内固定するとき,マルアライメントや遷延癒合をきたさないためには?
Q34 足関節周囲骨折を二期的手術にするとき“やぐらいらず”を組んでいますが,大きくて邪魔です.何とかなりませんか?
Q35 足関節後果骨折で関節面が圧壊しているときに関節面の整復位を確認するためには?
Q36 リスフラン関節脱臼骨折に立方骨や楔状骨の粉砕骨折を伴う場合,スクリューやK-wire固定では固定しきれないように思うときはどうするべきですか?
■参考文献一覧・索引
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書籍情報
- ISBN:9784865192575
- ページ数:518頁
- 書籍発行日:2019年4月
- 電子版発売日:2021年7月30日
- 判:A4変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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