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- フローチャートでみる神経眼科診断
商品情報
内容
頼られるドクター、中馬先生による診断ガイド
眼科の外来で比較的多くみる神経眼科の主要な所見ごとに,診断手順をフローチャート形式に凝縮した.フローチャートのステップごとに,豊富な症例写真とポイントを絞った解説を加え,診断に至る早道と鑑別すべき所見を提示.難解きわまる神経眼科診断をクリアカットにまとめた一冊.
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序文
はじめに
この本を書き始めるにあたり,神経眼科診療の実践的な内容をまとめようと思い立ちました.そのために,まず日常診療で遭遇する状況別に章を構成し,それぞれの章のなかででフローチャート式に診断へ至るように示してみました.さらに,フローチャートの各ステップで理解が膨らむように,図や写真を豊富に掲載しました.
この本に掲載した内容は,私が神経眼科診療の臨床フェローとしてのトレーニングを受けて以来,ずっと継続して実践している診断法をベースにして,これまでに得た知見を加えてアレンジしたものです.
本書の内容は,多忙な外来のなかで効率的に診断をつけて,次にどうすべきかということを優先してまとめることを基本に置いているために,一見するとシンプルなようにみえます.しかし,実診療で活用するには,このアプローチを,本書を見ずに暗唱でき,実践できるくらいにならなければなりません.また,論文の紹介はあえてしておらず,神経眼科の一般的な解剖,生理,神経学的病態,治療については,参考図書を推薦するにとどめています.この本が少しでも,読者の神経眼科診療に役立てば幸いです.
シンプルなフローチャートを補足するために,ここで,私が診療中に心にとめている言葉を紹介します.1. 医者は,放置すれば命(視力喪失)にかかわるが,安全に治療できる疾患は絶対に見逃してはいけない2. すべての医師は薬である.診察時の医師の行動は,①副作用を起こしうる,②効果を持続させることができる,③中毒をきたしうる,④適応となりうる,⑤禁忌となりうる,⑥過量に与えられることがある,⑦不足量になることがある,⑧適切な間隔で与えられることがある,⑨そしてなによりも,プラセボ効果をもたらすことができる,医師であることの薬理作用を学びなさい.
原稿を書き終えて,改めて私に神経眼科をご教示いただいたミシガン大学眼科学のJonathan Trobe 先生にお礼を申しあげます.加えて,私を神経眼科へ導いていただいた尾㟢峯生先生,機会あるごとにご指導いただいている柏井 聡先生,日本神経眼科学会理事,評議員の先生がた,留学の機会を与えていただいた直井信久先生と澤田 惇先生,池田康博教授をはじめとする宮崎大学眼科の先生がたとORT やスタッフのかた,何があっても私を支え,応援してくれる私のフェローと宮崎大学眼科同窓会の先生がた,宮崎県眼科医会の先生がたにお礼申しあげます.
また,普段よりわたくしを支えてくれる家族に感謝します.
最後に,この本の執筆をお声がけいただき,また多大なご助力をいただいた株式会社中山書店のかたがたに深謝申しあげます.
2021年7月
宮崎大学医学部感覚運動医学分野眼科学
中馬 秀樹
目次
00 神経眼科診察の基本
00a ていねいな病歴聴取
00b 神経眼科スクリーニング検査
00c 単眼眼球運動のしくみ
00d 存在する所見から,解剖学的に病変部位を特定
00e 病態生理からの観点(“VINDICATE+P”)で,どんな病変かを特定
神経眼科にかかわる所見の診かた
01 複視の患者の診かた
01a 単眼性複視
01b 斜視が共同性か非共同性かの見分けかた
01c 甲状腺眼症
01d 重症筋無力症
01e 外転神経麻痺パターン
01f 動眼神経麻痺パターン
01g 滑車神経麻痺パターン
02 外転神経麻痺の診かた
02a 強制引っ張り試験(FDT)
02b テンシロン®テスト
02c Duane症候群
02d 外転神経麻痺にみえる内斜視
02e 近見けいれん
02f 小児の外転神経麻痺
02g Horner症候群を合併した外転神経麻痺
02h 両眼性の視神経乳頭腫脹を合併した外転神経麻痺
02i 虚血性の外転神経麻痺の特徴
03 動眼神経麻痺の診かた
03a 海綿静脈洞症候群,眼窩先端症候群
03b 中脳動眼神経関連症候群
03c 動眼神経異所再生
03d 成人の急性発症単独動眼神経麻痺
03e 小児の単独動眼神経麻痺
03f 虚血性の動眼神経麻痺の特徴
04 滑車神経麻痺の診かた
04a 麻痺筋の同定
04b 中脳滑車神経関連症候群
04c 滑車神経麻痺とskew deviationの鑑別
04d 先天性滑車神経麻痺または非代償性滑車神経麻痺
04e 両眼性滑車神経麻痺
04f 虚血性の滑車神経麻痺の特徴
04g 滑車神経麻痺の管理,治療
05 細隙灯顕微鏡,眼底所見で説明できない霧視,視力低下の患者の診かた
05a ピンホールテスト
05b relative afferent pupillary defect(RAPD)
05c 検眼鏡で異常をみない黄斑ジストロフィ
05d 視野の異常
06 視神経疾患が疑わしい患者の診かた
06a 急性片眼性視神経疾患
06b 急性両眼性視神経疾患
06c 慢性片眼性視神経疾患
06d 視神経萎縮
06e 緑内障性視神経症
07 視神経乳頭腫脹の診かた
07a 偽性うっ血乳頭(乳頭腫脹)
07b 急性片眼性視神経乳頭腫脹
07c 急性両眼性視神経乳頭腫脹
07d 慢性片眼性視神経乳頭腫脹
07e 慢性両眼性視神経乳頭腫脹
08 瞳孔不同の診かた
08a 生理的瞳孔不同(正常)とHorner 症候群の鑑別
08b Horner症候群
08c 中脳背側症候群,Parinaud 症候群
08d 瞳孔緊張症
09 初めて診る眼球運動異常のパターンをもつ患者の診かた
09a 動眼神経異所再生
09b MLF症候群
09c one and a half症候群
09d 中脳背側症候群
09e Miller-Fisher症候群(MFS)
09f Wernicke脳症
09g ocular tilt reaction
09h congenital cranial dysinnervation syndrome
10 眼球振盪の診かた
10a 眼球振盪における,眼振と異常サッカードの混入との鑑別
10b 異常サッカードの混入
10c 先天眼振の特徴
10d 片眼性視力障害,上斜筋ミオキミア,解離性眼振
10e spasmus nutans
10f oculopalatal myoclonus
10g egg beater nystagmus
10h シーソー眼振
10i 前庭神経系(末梢性)障害の特徴
10j 周期交代性眼振
10k Bruns眼振
10l rebound nystagmus
10m upbeat nystagmus(上むき眼振),downbeat nystagmus(下むき眼振)
11 一過性視覚喪失の患者の診かた
11a 急に頭を上げた際に起こる一過性視覚喪失
11b 明るい光で誘発される一過性視覚喪失
11c 眼球運動で誘発される一過性視覚喪失
11d 軽度の頭部外傷で誘発される一過性視覚喪失
11e 頭部血管造影で誘発される一過性視覚喪失
11f 内服降圧薬の変更で生じる一過性視覚喪失
11g 両眼性に光が見え,片頭痛に特徴的な症状
11h 乳頭腫脹がなく,両眼性の閃輝暗点で画像診断を考慮すべき場合
11i 狭隅角または閉塞隅角がある場合
11j 網膜に虚血性変化がみられる場合
12 初めて診る視覚異常のパターンをもつ患者の診かた
12a 大脳性変視症
12b 大脳性多視症
12c 視覚保続
12d 失運動視症
12e 物体失認
12f 失読症
12g 大脳性色覚異常
12h 相貌失認
12i Balint-Holmes症候群
12j 幻視
13 眼瞼に異常のある患者の診かた
13a 眼瞼けいれん
13b 開瞼失行症
13c 眼瞼皮膚弛緩症
13d 対側の眼瞼挙上
13e 下斜視
13f 先天眼瞼下垂
13g 重症筋無力症
13h 慢性進行性外眼筋麻痺,筋ジストロフィー
13i 腱膜伸展性
13j 眼瞼下垂の評価
14 眼痛,眼周囲痛の主訴のある患者の診かた
14a 続発性眼痛・頭痛のチェックリスト
14b 原発性眼痛・頭痛のチェックリスト
14c “原発性眼痛・頭痛のそっくりさん”のチェックリスト
15 小児の視神経疾患の診かた
15a 小児の視神経疾患に多い,視神経乳頭異形成の臨床的なルール
15b 視神経低形成
15c 朝顔症候群
15d 偽性うっ血乳頭
15e うっ血乳頭
15f 乳頭腫脹(うっ血乳頭以外)をきたす疾患
15g 視神経炎
15h 視神経萎縮,遺伝性視神経症
16 小児の眼球運動異常の診かた
16a head thrustを診たら
16b episodic downward deviation
16c 動眼神経麻痺
16d 滑車神経麻痺
16e 外転神経麻痺
イラストでわかる神経眼科学の基礎
17 反射・反応と神経支配
17a 対光反射と散瞳
17b 近見反応
17c 角膜瞬目反射
17d 前庭眼反射
17e 涙分泌
17f 眼球心臓反射
18 視神経・視路障害と視野
19 神経眼科疾患理解のための解剖
19a 脳神経と神経核:Ⅲ(動眼神経),Ⅳ(滑車神経),Ⅵ(外転神経)
19b 脳神経と神経核:ⅴ(三叉神経)
19c 自律神経
19d 脳底部と海綿静脈洞
19e 眼窩先端部
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書籍情報
- ISBN:9784521749204
- ページ数:250頁
- 書籍発行日:2021年8月
- 電子版発売日:2021年9月8日
- 判:B6判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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