特集：スポーツクリニックでのアスリート治療

近年，アスリート治療や専門医療に特化したクリニックが各地に設立されている．時にアスリート治療は保険診療の枠に収まらない治療を求められることがある．そういう意味では，大学病院や総合病院，あるいは整形外科に特化した専門病院よりも，クリニックレベルのほうがフットワークよく対応できる場合が多い．本特集では，そのようなクリニックを紹介し，それぞれのクリニックの特徴について解説していただいた．

まず，八王子スポーツクリニックの間瀬泰克先生には，スポーツクリニックの魁として，まだスポーツ整形外科という概念がない時代にクリニックを設立された際の苦労話とクリニック設立の動機，そして現在に至るまで選手を現場に戻すというぶれない信念と今後のビジョンを述べていただいた．名古屋スポーツクリニックの杉本勝正先生，山手クリニックの服部幹彦先生，B ＆ J クリニックお茶の水の洞口敬先生にはエコーを活かした診療について述べていただいた．特に，杉本勝正先生には15 年前の開業時から現在に至るまで，エコー専門クリニックの先駆けとして間瀬先生に通じる熱意を感じ，スポーツクリニック経営の先達として敬意を表したい．

武田淳也先生の整形外科スポーツ・栄養クリニックはピラティスを前面に押し出した国内初のユニークなクリニックであり，そのほとばしる熱意に感服する．仁賀定雄先生のJIN 整形外科スポーツクリニックは，長年のJ リーグドクターの経験を活かし，トップアスリートから一般人まで等しく同じコンセプトで診療に当たるという，素晴らしい施設・設備と診療に対する熱意に敬服する．次いで，野球選手の治療に定評のある三重県のみどりクリニックの瀬戸口芳正先生，現場に出向きながら手術のような後方支援も行う複合型のスポーツドクターであることを主眼とする三条整形外科スポーツクリニックの宮武慎先生，ユニークなベースボール＆スポーツクリニックを開設された馬見塚尚孝先生，プロ野球のキャンプサポートで定評のある沖縄のKIN スポーツ・整形クリニックの新庄琢磨先生にもそれぞれ解説していただいた．

さらに，最先端の整形外科保存療法と細やかなリハビリテーションをモットーに女性医療と自由診療を推進するDr. KAKUKO スポーツクリニックの中村格子先生，自由診療・再生医療専門クリニックである船橋整形外科みらいクリニックの小倉誉大先生，お茶の水セルクリニックの寺尾友宏先生，またアスリートに対する血管内治療についてはオクノクリニックの奥野祐次先生にそれぞれのユニークなアプローチについて解説していただいた．私自身も僭越ながら開院後間もない自らのクリニックについて，開院に至る経緯と現状と将来展望について述べさせていただいた．

本特集で，すべての先生方に感ずるのは，その熱意とエネルギーである．一昔前の“メスを置いて開業”とは180 度異なる，総合病院や大学病院ではできない“自分のやりたいことを具現するクリニック”をそれぞれ実現されており，これが21 世紀の新しい整形外科クリニック像なのではないかと考える．本特集が，今後独立を考えている先生方やアスリートをサポートする立場の読者の参考になれば幸いである．

特集編集：菅谷啓之（東京スポーツ＆整形外科クリニック院長）