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- 病理と臨床 2022年7月号（40巻7号）皮膚の炎症性疾患
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内容
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序文
特集：皮膚の炎症性疾患
炎症性皮膚疾患を診る際に，皮膚科医はその臨床像と経過から，臨床診断，鑑別疾患を考え，必要に応じ生検を行っています．そして，生検検体の示す病理組織所見から病態を見極め，再び臨床所見に立ち返り，確定診断に至る，というステップで診断を進めています．いうまでもなく臨床像とその経過は，診断のための必須の情報です．
一方，病理医にとって，皮膚の炎症性疾患は最も診断に難儀する領域です．その理由は，病理医は臨床像を見ることなく，皮膚生検によって採取された小さな検体のみから皮膚に起こっている病態を推測しなければならないからです．さらに皮膚の炎症性疾患では，病理医は皮疹の転帰を追うことや，予後を病理解剖により省察する機会も与えられません．内臓であれば，病理医が切除検体の肉眼像を観察し，切り出しを行い，それを自分で組織診断するのですから，肉眼所見の情報をもとに病理診断を下すのは難しいことではありません．
また，皮膚科医にとっては当たり前のことなのですが，炎症性皮膚疾患においては，疾患名と病理組織所見が1：1に対応するわけではありません．例えば，湿疹・皮膚炎群の病理組織所見は，海綿状態に特徴づけられる急性の所見を示す場合や，表皮肥厚で特徴づけられる慢性の所見を示す場合があります．前者の代表疾患がアレルギー性接触皮膚炎，後者の代表疾患が慢性単純性苔癬ですが，貨幣状湿疹やアトピー性皮膚炎では，採取した皮疹の性状により，急性から慢性の病理組織所見を含むこととなり，病理医にとって，わかりづらいところです．
そこで，本企画では，炎症性皮膚疾患の病理組織パターンの分類に沿って，表皮の変化：①乾癬型，②海綿状態，③表皮真皮境界型，水疱形成性疾患，血管の障害，肉芽腫，脂肪織の変化，皮膚の感染症の8項目につき，第一線でご活躍の皮膚科の先生がたに，臨床像，特に皮疹の特徴と病理組織像を可能な限り対比させて，ご解説いただきました．また，炎症性皮膚疾患においては，病理診断が必ずしも最終診断にならない場合もあることから，病理診断の限界について触れていただいたところもあります．さらに病理医や病理診断に望む点などについて，皮膚科医からの助言やご要望も記載していただきました．
本企画が皮膚の炎症性疾患に対する病理医の苦手意識を少しでも払拭する一助となれば幸いです．
泉 美貴 ［昭和大学医学部 医学教育学講座］
檜垣祐子 ［若松町こころとひふのクリニック］
目次
【特集】
［表皮の変化］
乾癬型……種瀬啓士
海綿状態……中島喜美子
表皮真皮境界型……谷川瑛子
水疱形成性疾患……山上 淳
血管の障害……田中麻衣子
肉芽腫……岡本祐之 他
脂肪織の変化……菅野恭子
皮膚の感染症……清島真理子
【連載】
マクロクイズ［159］……沼倉里枝 他
鑑別の森［10］子宮内膜の異型ポリープ状腺筋腫（APAM）と子宮内膜異型増殖症（AEH）
Answer 1：加藤哲子
Answer 2：清川貴子
若手病理医のためのキャリアパス講座［8］
え!? 病理にいたんですか？……藤谷洋平
【今月の話題】
小児・AYAがん患者の生殖細胞系列変異と遺伝性腫瘍症候群……大喜多 肇
DNAミスマッチ修復酵素とマイクロサテライト……桑田 健
【第111回 日本病理学会総会 開催報告記】
病理学 時代を超えた課題，次代を見据える課題……横崎 宏
【CPC解説】
Epstein-Barr virusを原因とする急速進行性の血球貪食性リンパ組織球症の一剖検例……中島穣太郎 他
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書籍情報
- ISBN：9784011204007
- ページ数：112頁
- 書籍発行日：2022年7月
- 電子版発売日：2022年7月8日
- 判：B5変型
- 種別：eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数：3
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