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- 図説 分子病態学 5版
商品情報
内容
大改訂された第5版は、より簡潔に解説した内容、分かり易い図を多用。
時代の流れに即応して新しい項目を追加、例えばノーベル賞発表の3日前に訪問した、あの京都大学iPS細胞研究所の江藤先生も執筆されています。
序文
5版の序
使い古された言葉ではあるが,初版刊行から約20年を経て「分子病態学」という名称が定着し,市民権を得たと実感する今日この頃である.例えば,2013年3月現在,yahooで「分子病態」をキーワードにして検索すると,何と約1,430,000件がヒットする.大学の講座,研究室,研究所でも名称に「分子病態」という文字を冠したものが少なくない.1992年に米国から帰国し,「新しい酒は新しい革袋に盛れ」と,「分子病態学」を旗に掲げて日夜愚直に努力してきた者として大変喜ばしい限りであるが,その責任の重さに身が引き締まる思いでもある.「分子病態学」を21世紀の分子医学の軸として将来にわたり発展させることが編著者らの使命であり,「分子病態学」の教科書はその最大,最強の武器=広告塔と考えて全力を傾注してきた.分子病態学講座からの各種の論文,学会発表もその努力の一環である.2013年5月末からの第35回日本血栓止血学会学術集会の中でも,「会長要望シンポジウム; 症例から学ぶ血栓止血の分子病態; 診断困難であった凝固・線溶異常症の症候とメカニズム」などを開催した.
さて今回は,第5版を区切りとしてこの教科書の大改訂を目指した.漏れ聞いた「この教科書はエッセンスがまとめてあるので助かります」という,非常勤講師の方への学生達の言葉がエネルギー源となった.彼等の「重たい,詳し過ぎる教科書」という感想に素直に耳を傾け,頁数の大幅削減を第一目標とした.先ず,方法論の章全部を削除し,他の章で簡潔に解説するように工夫した.また,何よりも「図説」であるから,分かり易い図を多用して頂き,その説明に徹して下さるよう執筆者の皆さんにお願いした.一方,時代の流れに即応して新しい項目を追加し,例えばノーベル賞発表の3日前に訪問した,あの京都大学iPS細胞研究所の江藤先生に新規に執筆して頂いた.各項目にも日進月歩の「分子病態学」的知見を盛り込んで改訂して頂いた.最後の染色体地図も最新のものの転載許可を得ることができた.将に新しい「図説・分子病態学」の誕生である.
第4版より重量は軽くなったものの内容はより重くなったこの教科書が,医学,薬学,生命科学を学ぶ学部生,大学院生,研修医など若い学究の皆さんの小さな助けとなることをひたすら望むものである.
2014年1月吉日
一瀬 白帝
鈴木 宏治
目次
I.分子病態学の新しい展開
1.ゲノム時代の分子病態学
A.ヒトゲノムの俯瞰図
B.ゲノム変異と疾患病態
C.エピゲノム異常と疾患病態
D.医療の革新
2.ゲノミクスと病態解析
A.マイクロアレイ技術と種類
B.マイクロアレイ解析が契機となった大腸癌予防に関与する新規マイオカインSPARCの発見
C.Nutri-genomics/Pharmaco-genomics
D.SNP解析
3.プロテオミクスと病態解析
A.プロテオミクスとは何か?
B.プロテオミクスの解析技術
C.プロテオミクスによる病態解析とその展望
4.ヒト人工多能性幹細胞を用いた疾患モデルによる分子病態解析と創薬の可能性
A.iPS細胞の基礎
B.疾患特異的iPS細胞を用いた疾患モデルの構築
C.創薬への応用
D.解決するべき課題
II.分子病態学の基礎知識
1.遺伝子の構造と発現調節機構
A.DNAとは?
B.DNAは遺伝子を構成する
C.遺伝子とゲノムプロジェクト
D.遺伝子発現は特異性がある
E.遺伝子の基本構造
F.遺伝子発現の基本システム
G.転写因子の一般的な特徴
H.ヌクレオソームとクロマチン
I.クロマチンとエピジェネティクス
J.転写因子の構造と機能
K.転写コファクターの構造と機能
L.修飾酵素の作用
M.読み取る分子(アダプタータンパク質)
N.エピゲノムとゲノム
O.遺伝子発現の特異性
P.エピゲノム制御と代謝の密接な関係
Q.タンパク質をコードしないnon-coding RNA(ncRNA)
2.タンパク質の合成と輸送機構
A.タンパク質合成の概要
B.遺伝暗号
C.遺伝暗号の解読機構とtRNA
D.タンパク質合成装置: リボゾーム
E.タンパク質合成の分子機構
F.タンパク質合成後の細胞内輸送
G.タンパク質翻訳後の修飾
3.細胞の構造と分裂周期
A.細胞の構造
B.細胞分裂周期
4.タンパク質の構造と機能の関係
A.タンパク質の構造
B.ポリペプチド鎖の折りたたみと分子シャペロン
C.タンパク質の機能
D.タンパク質の構造と機能相関
E.タンパク質の構造と機能の単位
F.タンパク質ファミリーとスーパーファミリー
5.細胞内シグナル伝達機構
A.signal transductionの意味
B.受容体
C.細胞内シグナル伝達の基本形
D.セカンドメッセンジャー
E.代表的細胞内シグナル伝達経路
6.細胞の増殖・分化と再生医学
A.細胞増殖と分化
B.増殖・分化による組織の恒常性維持
C.増殖因子
D.幹細胞の増殖
E.再生医療への幹細胞利用
7.老化の分子生物学
A.老化とはなにか
B.老化をどのように理解するのか
C.老化はいかにおこるのか―老化のhow仮説
D.老化をどのように理解するのか―老化のwhy仮説
8.アポトーシスと疾患
A.アポトーシスの概念
B.アポトーシスの過程
C.アポトーシスの役割と疾患
D.アポトーシスのシグナル伝達経路
E.アポトーシスとがん分子標的薬
9.生体防御機構
a.免疫の分子機構
A.免疫系とは
B.自然免疫系と獲得免疫系
C.免疫担当細胞とその分化
D.自然免疫系での非自己の認識機構
E.獲得免疫系での非自己の認識機構
F.抗原受容体の多様性獲得機構
G.MHC分子の機能
H.T細胞の活性化と機能
I.B細胞の活性化と機能
J.免疫記憶
K.免疫寛容の成立機序
L.免疫系の異常と疾患
b.炎症の分子機構
A.微小循環系の変化
B.血管透過性亢進
C.白血球の血管内皮細胞への接着・遊出
D.白血球の遊走
E.好中球の活性化,貪食・消化
F.炎症の終息
G.炎症の全身への影響
c.補体系の分子機構
A.補体系の概説
B.補体系の活性化経路と膜傷害複合体の形成
C.補体系の制御
D.補体系の生体防御における役割
10.遺伝性疾患の概念と分子機構
A.遺伝性疾患
B.遺伝性疾患の分子機構
11.遺伝子変異の機構
A.遺伝子変異の種類
B.突然変異生成の経路
12.遺伝子治療
A.遺伝子治療の方法論
B.遺伝子導入技術
C.遺伝子治療の臨床研究
D.遺伝子治療の課題
III.疾患の分子病態学
A.悪性腫瘍
1.癌遺伝子
A.ウイルスの癌遺伝子
B.癌細胞の癌遺伝子
C.癌における癌原遺伝子の構造変化
D.癌原遺伝子の正常機能
E.分子標的治療
2.癌抑制遺伝子
A.癌抑制遺伝子という概念
B.癌抑制遺伝子の同定
C.癌抑制遺伝子と称されるものの実際の機能
D.近年の発展
3.多段階発癌
A.イニシエーションとプロモーション
B.肝発癌のイニシエーションとプロモーション
C.大腸発癌のイニシエーションとプロモーション
4.癌転移の分子機構
A.細胞の原発巣からの離脱
B.細胞の運動能に関わる分子
C.細胞の接着に関わる分子
D.基質タンパク質分子の転移における機能
E.転移における分子の機能の網羅的解析
5.造血器腫瘍
a.慢性骨髄性白血病
A.慢性骨髄性白血病の概論
B.慢性骨髄性白血病の分子病態
C.慢性骨髄性白血病の分子標的療法
b.急性骨髄性白血病
A.急性骨髄性白血病の概論
B.急性骨髄性白血病の分子病態
C.急性骨髄性白血病の分子標的療法
c.骨髄異形成症候群
A.骨髄異形成症候群の概論
B.骨髄異形成症候群の分子病態
C.骨髄異形成症候群の分子標的療法
d.悪性リンパ腫
A.悪性リンパ腫の分子病態
B.脂質異常症・生活習慣病
1.肥満
A.定義
B.メタボリックシンドローム
C.肥満関連遺伝子・代謝産物(アディポサイトカイン)
D.診断
E.治療
2.脂質異常症
A.リポ蛋白の構造・代謝とアポ蛋白の機能
B.外因性リポ蛋白および内因性リポ蛋白代謝経路とそれに関連する受容体・酵素・転送蛋白
C.脂質異常症(高脂血症)の表現型分類と診断の意義
D.リポ蛋白リパーゼ(LPL)および関連アポ蛋白の異常症
E.LDL受容体ないし関連蛋白の異常症
F.アポ蛋白Eの異常症―家族性III型高脂血症
G.HDL-Cの低下症と増加症
3.動脈硬化症
A.粥状動脈硬化の概念
B.粥状動脈硬化プラーク形成の分子機構
C.酸化LDLと粥状動脈硬化プラークの破綻
4.糖尿病
A.1型糖尿病の臨床分類,経過
B.1型糖尿病の疾患感受性遺伝子
C.2型糖尿病の臨床分類,経過
D.2型糖尿病の疾患感受性遺伝子
E.単一の遺伝子異常により生じる糖尿病の原因遺伝子
F.糖尿病性血管合併症と高血糖の記憶
G.AGEsと糖尿病性血管合併症
C.止血異常・血栓症
1.血小板の異常
A.血小板の形態・構造と機能
B.血小板の先天性異常症
2.von Willebrand病,血栓性血小板減少性紫斑病
A.VWFの遺伝子とタンパク質の構造と機能
B.von Willebrand病(VWD)
C.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
3.血液凝固系の異常
A.凝固系の発動
B.凝固異常に基づく出血性疾患
C.凝固因子と血栓症
4.血液凝固制御系の異常: アンチトロンビン欠損症,プロテインC欠損症,プロテインS欠損症,APCレジスタンス
A.血液凝固制御系の概要
B.先天性血栓性素因
5.線溶系の異常
A.線維素溶解(線溶)反応
B.線溶因子とその異常
C.線溶抑制系の異常
D.循環器疾患
1.循環器疾患
A.ゲノム多様性と循環器疾患
B.心筋症
C.不整脈
D.先天性心血管疾患
E.冠動脈疾患
F.高血圧症
E.内分泌疾患
1.副腎性ステロイドホルモン産生異常症・作用発現異常症
A.副腎性ステロイドホルモンとは
B.副腎性ステロイドホルモン産生異常症
C.標的組織におけるステロイドホルモン作用発現異常症
D.治療
2.低身長症
A.骨疾患
B.内分泌疾患
3.甲状腺ホルモン受容体異常症(甲状腺ホルモン不応症)
A.甲状腺ホルモン受容体(TR)
B.甲状腺ホルモンの作用機構
C.RTHの病因・分子病態
D.RTHの症状
E.RTHの診断・治療
F.呼吸器・消化器疾患
1.【嚢】胞性線維症
A.CFの臨床
B.責任遺伝子の同定
C.CFTRの機能
D.CFTRの機能異常の分子病態
E.CFTRの異常と各臓器(汗腺,呼吸器,膵外分泌腺)の異常
F.CFTRは細胞内で他のタンパク質と複合体を形成して相互作用する
G.筋神経疾患
1.筋神経疾患と三塩基反復配列
A.表現促進現象anticipationと三塩基反復配列triplet repeats
B.トリプレットリピート病triplet repeat disease
2.筋ジストロフィー
A.筋ジストロフィーとは
B.Duchenne/Becker型筋ジストロフィー(DMD/BMD)
C.肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)
D.先天性筋ジストロフィー(CMD)
E.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)
F.Emery-Dreifuss型筋ジストロフィー(EDMD)
3.ミトコンドリア病
A.疾患概念
B.病因としてのmtDNA異常と核DNA上の原因遺伝子
C.ミトコンドリア病の病型分類と遺伝子異常との関係
H.脳神経疾患
1.Alzheimer病
A.Alzheimer病の発症病態生理
B.Alzheimer病関連遺伝子
C.治療薬開発戦略のターゲット
2.Parkinson病
A.Parkinson病の疾患概念
B.家族性Parkinson病の病因遺伝子
C.孤発性Parkinson病の病因・病態
D.Parkinson病の治療
3.遺伝性アミロイドーシス
A.TTR型FAPの疾患概念および臨床症状
B.TTRのアミロイド形成機構
C.TTR型FAPの検査所見および診断
D.TTR型FAPの治療
4.プリオン病
A.プリオン病(伝達性海綿状脳症)
B.プリオンタンパクとその遺伝子
C.プリオンの感染増殖機序
D.プリオン病の分子病態
E.プリオン病の治療法
I.精神疾患
1.統合失調症と双極性障害
A.統合失調症
B.双極性障害
C.今後の展望
J.視覚異常症
1.視覚異常症
A.正常三色型色覚
B.色盲と色弱
C.色素性網膜炎retinitis pigmentosa
D.コロイデレミア病因遺伝子
K.結合織タンパク異常症
1.結合織タンパク異常症
A.骨形成不全症
B.先天性表皮水疱症
C.Ehlers-Danlos症候群
D.Marfan症候群
E.Alport症候群
F.脳出血および脳空洞症
L.代謝異常症
1.核酸代謝異常
A.プリン代謝異常症
B.ピリミジン代謝異常症
C.痛風
2.遺伝子修復機構とその異常
A.遺伝子修復機構
B.色素性乾皮症
C.Cockayne症候群
D.紫外線高感受性症候群
E.硫黄欠乏性毛髪発育異常症
F.ミスマッチ修復
3.アミノ酸代謝異常
a.フェニルケトン尿症
A.臨床症状
B.検査所見
C.遺伝と疫学
D.治療
E.ヒト◆PAH◆遺伝子の構造と病因変異
F.遺伝子診断
G.遺伝子変異と生化学的表現型
H.未治療患者の精神遅滞の程度と遺伝子型
I.テトラヒドロビオプテリン投与に反応するPKU患者
b.ホモシスチン尿症
A.ホモシスチン尿症の生化学
B.臨床症状
C.診断
D.治療
E.責任遺伝子と病因変異
c.メープルシロップ尿症
A.分岐鎖アミノ酸の代謝
B.分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素
C.メープルシロップ尿症
D.MSUDの臨床分類と分子病態
4.糖質代謝異常: 糖原病
A.グリコーゲン代謝
B.解糖系と糖新生系
C.糖原病
5.ムコ多糖・糖脂質・糖タンパク質代謝異常症(リソソーム病)
A.リソソーム病の概念・分類・病因
B.リソソーム酵素の合成と局在
C.ムコ多糖体の代謝
D.糖脂質の代謝
E.糖タンパク質の代謝
F.リソソーム病の臨床症状
G.リソソーム病の診断
H.リソソーム病の治療
6.無機質(重金属)代謝異常
a.銅代謝異常症(Wilson病とMenkes病)
A.Wilson病の臨床
B.Wilson病の治療
C.Wilson病の発症メカニズム・銅代謝とその異常
D.Wilson病の分子遺伝
E.Wilson病の動物モデル
b.ヘモクロマトーシス
A.ヘモクロマトーシスとは
B.ヘモクロマトーシス発症の分子機構
C.ヘモクロマトーシスの症状・診断・治療
D.類縁疾患―フェロポーチン病
M.免疫疾患
1.アレルギー反応と疾患
A.気管支喘息と原因遺伝子
B.気管支喘息の分子病態
C.診断法
D.治療法
2.自己免疫疾患(膠原病)
A.自己免疫と自己免疫疾患
B.免疫寛容の破綻
C.臓器特異的自己免疫疾患と全身性自己免疫疾患
D.膠原病とは
E.自己免疫疾患における疾患感受性遺伝子
3.HIV-1感染症
A.HIVの分子生物学
B.AIDSの化学療法の進展と問題点
IV.疾患の原因遺伝子の染色体地図
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書籍情報
- ISBN:9784498008489
- ページ数:406頁
- 書籍発行日:2014年5月
- 電子版発売日:2015年5月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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