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- めまいの診かた,治しかた
商品情報
内容
めまい診療における基礎知識から診断の方法や治療法、日常頻繁に遭遇するめまい疾患まで、めまい診療をとりまくあれこれを第一人者が系統立てて解説します。
序文
はじめに
「めまい」は症候名である.つまり,患者さんが訴える症状そのものであり,診断名ではない.一方,「めまい症」は診断名である.ただし,それは,確定診断に至らなかった症例に暫定的につける診断名である.「診断不明」と言っているのと大きな違いはない.患者さんはとりあえず納得してくれるが,筆者自身は,内心忸怩たるものがある.すでにめまいの臨床に携わっている方々は,皆経験されていることと思う.筆者の外来でも10%程度は「めまい症」である.
「めまい症」の比率は,新しい疾患概念の登場や,新しい診断機器の開発などにより,かなり減少してきたと思う.本書は,この「めまい症」をできるだけ減らしたいと願い,臨床医の方々が,めまい・平衡障害の基礎から実際の診断・治療にいたるまで,基本的な考え方や知識の整理ができるようまとめたつもりである.疾患としては,日常比較的頻繁に遭遇するめまい疾患を中心にさせていただいた.したがって,目次を一読すると,よく知られた疾患や興味ある疾患のなかにもとりあげられていないものがあると感じられるかもしれない.前者の代表が聴神経腫瘍であり,後者の代表が上半規管裂隙症候群であろうか.聴神経腫瘍は,「めまい」を主訴として受診することは比較的まれな疾患であり,上半規管裂隙症候群は,話題の疾患ではあるが頻度としては決して高くはない疾患であり,章立てしてとりあげることはしなかった.しかし,これらの疾患については章立てはしていないものの,いくつかの章のなかで記載している.章立てのない疾患については,索引を活用していただきたい.また,本書は,筆者の考え方に基づき執筆したものであり,いくつかの考え方やいくつかの治療法を総花的に記載することは必ずしも行っていない.1つの考え方として読んでいただきたい.
「めまい」は高齢者に多い症候であり,超高齢化社会の到来した現在の日本において,その診療の重要度は増してきている.本書が,めまいの臨床に携わる方々に少しでも役立てば,幸いである.
2016年10月
室伏 利久
目次
第1部 総論
1 めまい診療のための基礎知識
(1)めまいとは何か
(2)身体の平衡はどのように維持されているか
前庭迷路
前庭神経
前庭神経核と加速度刺激増強機構
前庭系反射
前庭代償
小脳と大脳基底核
前庭皮質
(3)めまいを感じるときには何が起こっているのか
2 めまい診断の方法
(1)問診
(2)診察室・ベッドサイドでの検査
眼運動系の検査
体平衡(四肢体幹)系の検査
その他の神経系の検査
問診票・心理テスト
(3)検査室での検査
3 めまい治療の方法
(1)めまいにはどのような治療法があるのか
(2)生活療法
睡眠
食事・嗜好品
運動
(3)薬物療法
発作急性期の非特異的薬物治療
回復期・安定期の非特異的治療
疾患特異的な薬物治療
(4)外科的療法
鼓室内(薬物)注入療法
内リンパ嚢開放術
迷路摘出術・前庭神経切断術
半規管遮断術
内耳窓閉鎖術
(5)理学療法
平衡訓練(前庭リハビリテーション)
BPPVに対する頭位治療
メニエール病に対する中耳加圧治療
(6)心理療法・「ムンテラ」
第2部 各論
1 めまい平衡障害疾患の全体像
・めまい症例の統計的データ
・末梢前庭性めまいを起こすものにはどのようなものがあるか,どのような症状があるか
・中枢性めまいを起こすものにはどのようなものがあるか,どのような症状があるか
・末梢前庭性めまいでも中枢性めまいでもない「めまい」を起こすものにはどのようなものがあるか,どのような症状があるか
2 メニエール病
疾患概念・症状
病態・分類・診断基準
検査所見
鑑別すべき疾患
治療法
3 良性発作性頭位めまい症
疾患概念・症状
病態・分類・診断基準
鑑別すべき疾患
治療法
4 前庭性片頭痛
疾患概念・症状
病態・診断基準
検査所見
鑑別すべき疾患
治療法
5 前庭神経炎
疾患概念・症状
病態・診断基準
検査所見
鑑別すべき疾患
治療法
6 中枢性めまい
概説
診断
脳血管障害によるめまい
脳腫瘍によるめまい
脱髄疾患によるめまい
変性疾患によるめまい
その他の中枢性めまい
7 小児のめまい
概説
診断
小児に特有のめまい疾患
8 高齢者のめまい
概説
加齢性平衡障害
9 心因性めまい
疾患概念
分類
症状と診断
治療・対処法
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書籍情報
- ISBN:9784498062764
- ページ数:152頁
- 書籍発行日:2016年10月
- 電子版発売日:2017年6月9日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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