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- 保健・医療従事者が被災者と自分たちを守るためのポイント集
商品情報
内容
序文
編集にあたって
2011年3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます.また,復旧・復興作業をされておられる地元の方々,ならびに救援に駆けつけておられる方々のご努力に深く敬意を表します.
東日本大震災は地震と巨大な津波を伴ったことにより未曾有の災害となり,沿岸は壊滅した地域もあり,また約15万人以上が避難生活を余儀なくされています.また地域によっては医療機関や保健所などが被害を受けているため外部から様々な医療従事者が支援に入り,立て直しが行われています.本書はこれから現地に入る医療従事者が知っておきたいエッセンスを短時間で学ぶことを目的としています.そのため,既存の様々な資料をもとに日本や現地の情報に合わせてまとめを行い「10のポイント」といった形式をとりました.
1章では,災害に関する総論的知識を紹介しました.2章では,まず被災者を支援するとして,被災者の安全や心身の健康,そして特に課題となる感染症に対する予防策を取り上げました.3章では,現場に入る医療従事者だけでなく,今後増えるであろうボランティアや作業者の健康を守るための対策や知識を紹介しました.これまでにも,災害後にこうした方々の健康が害されたことが報告されていますので,ボランティアや作業者の健康を守るための啓発が求められます.もちろん医療従事者は自分自身を守ることを忘れてはなりません.4章では実際に東日本大震災の現場で医療従事者をコーディネートしたり,現場で活動をした方々にこれから支援に入る医療従事者に伝えたいことを紹介いただきました.そして5章では現段階では必要ないかもしれませんが,やがて起こりうる新たな災害の直後の対応を今回の教訓をもとにまとめました.
被災地といっても,場所によって様々です.未だに電気も水道もガスもない地域もあれば,すでに日常生活ができているところもあります.また時が経てば状況も変わります.本書では限られた紙面であることから共通する事項を中心に取り上げました.個別の対応については現場の担当者とよく相談されるとよいと思われます.
本書が,支援者の,そして医療従事者,ボランティア,作業者の健康が守られ一日でも早い復興や復旧のお役に立てればこの上ない喜びです.また,本書のすべての執筆者のご賛同のもと,本書の印税のすべては津波遺児支援のために寄付されます.本書は,震災直後にはじめたホームページ「津波・地震において自分,家族,同僚,地域の健康を守るヒント集」をもとに出版されました.個人ではじめたブログですが,その後多くの方の協力を得て,最終的には書籍となりました.産業医学推進研究会からの助成によりホームページの拡充することができ,また技術的な支援をいただきましたことに感謝します.また,本書が世に出るきっかけを作ってくださった企画部岩松宏典氏に感謝します.
2011年 5月
編者ら
目次
第1章 地震や津波などの災害に関する基本的知識
1.集団を対象にした公衆衛生対応について知っておきたい5つのポイント
2.被災地における短中期の保健医療福祉再建計画策定支援シート
3.被災地に対する医療体制の考え方
4.支援に入った医師・看護師が知っておきたい保健師等の活動と連携
5.支援に入る保健・医療従事者の持ち物リスト
6.一般ボランティアの役割と連携
7.インターネットの有用性と課題
第2章 被災者の安全と健康を守る
A.安全を確保する
1.被災した建物に入る際に知っておきたい10のポイント
2.がれきの焼却をする際に知っておきたい5つのポイント
3.一酸化炭素中毒を予防するために知っておきたい7つのポイント
4.被災地の治安を守るために予防すべき4つの暴力
5.放射線について知っておきたい10のポイント
B.心身の健康を守る
1.避難所生活改善のために知っておきたい10のポイント~阪神・淡路大震災の教訓より~
2.炊き出しをする際に知っておきたい10のポイント
3.避難所でできる簡単な5つの運動(ストレッチ)
4.被災者の心のケアに関して知っておきたい7つのポイント
5.被災した子どもの心のケアに関して知っておきたい7つのポイント
6.遺族や遺児と話すときに知っておきたい7つのポイント
7.高齢者を支援する際に知っておきたい10のポイント
8.妊娠・出産された方に伝えたい10のポイント
9.避難所の清潔・生活環境評価シート
C.感染症から守る
1.手洗いできないときの手指の清潔ケア
2.歯みがきできないときのお口のケア
3.感染予防のための8カ条
4.避難所の感染対策─避難所のウイルス胃腸炎対策
5.みんなのトイレみんなできれいに気持ちよく
6.避難所のインフルエンザ対策6つのポイント
7.水害後の家屋におけるカビ(真菌)について知っておきたい7つのポイント
第3章 医療従事者・作業者(ボランティア)の安全と健康を守る
1.津波の後の復旧において安全と健康を守る10のポイント~2004年インド洋大津波に学ぶ
2.医療従事者・ボランティアなどが知っておきたいほこり(粉じん)に関する7つのポイント
3.復旧作業や片付けを行う作業者が知っておきたいほこり(粉じん)・アスベストに関する7つのポイントと防じん
4.災害によって放出された化学物質について知っておきたい3つのポイント
5.電気を使わずに暑さから身を守る7つの方法
6.熱中症を予防するための5つのポイント
7.寒さのなかで作業する人が知っておきたい10のポイント
8.復旧作業を行う人を疲労から守るための7つのポイント
9.支援者のためのセルフケアの7つのポイント
10.災害現場で救援活動をされた方が帰ってきた際に知っておきたい10のポイント
11.ご遺体を取り扱う際に知っておきたい10のポイント
第4章 これから支援に入る方に伝えたいこと
1.支援を自分で完結する難しさ
2.自己完結と重層的な仕組みで「現場のためになる」支援を
3.災害亜急性期から慢性期に災害医療支援を初めて行うプライマリケア医師へ
4.支え合う力を活かす社会へ
5.被災地における感染症対策の実際
第5章 災害直後(1週間)に命や生活を守る
1.命を守るために優先すべき10のポイント
2.被災直後の生活飲用水に関する10のポイント
3.仮設トイレが未整備の被災地における10のポイント
4.災害直後の食糧支援に関する10のポイント
5.初期のシェルター(避難所)の運営に関する10のポイント
6.外部との連絡手段と安否確認
7.災害直後の感電予防に関する4つのポイント
8.医療従事者が普段から家庭で備えておきたい物品リスト
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書籍情報
- ISBN:9784498071124
- ページ数:148頁
- 書籍発行日:2011年6月
- 電子版発売日:2011年12月17日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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