- m3.com 電子書籍
- スポーツ障害 予防と治療のための体幹モーターコントロール
商品情報
内容
序文
近年,体幹機能は注目され様々なエクササイズ,トレーニングあるいはプラクティスが普及してきている.体幹機能は,体幹筋の活動と脊柱・胸郭の可動性によって獲得されるが,最適な筋活動様式を行わせるモーターコントロール機能も重要となる.体幹筋機能は腰痛のリハビリテーションの方法として注目され,多くの研究がなされ,腰椎に直接付着するLocal(ローカル)筋群と胸郭と骨盤を直接繋ぐGlobal(グローバル)筋群のモーターコントロール機能が重要であることが示されている.また体幹機能のもう一つの側面として,四肢の活動とモーターコントロール機能が挙げられる.投球動作においては下肢の力を体幹を通して上肢に伝える運動連鎖という言葉で説明され,四肢筋群と体幹筋群のモーターコントロール機能が重要となる.
これらの腰椎や四肢のモーターコントロール機能が適切に働かないと,安定性を欠いた関節において関節障害や外傷が発生し,代償的に過活動となり遠心性収縮を強いられる筋には筋損傷が生じる.また最適な動作を行うことができなくなることから競技パフォーマンスの低下をも招くことになる.このため競技スポーツの現場においては障害予防やパフォーマンスの向上のために,"体幹をうまく使えるようにする"ことを目的として様々な介入方法が実践されている.
しかし,"本当に体幹の機能向上すれば外傷や障害の発生を予防できるのか?","今やっている体幹エクササイズがベストなのか?","この障害に最適な体幹エクササイズはなんだろう?" といった疑問を現場のアスレティックトレーナーは感じているのではないだろうか?
そのため,これらの疑問に応えることを目的に,本書では各スポーツ障害・外傷について,以下の構成でモーターコントロール機能向上を目的とした体幹トレーニングのエビデンスと介入方法の紹介を行った.
1:スポーツ外傷・障害の病態,発生機序,整形外科的治療法,メディカルリハビリテーション,アスレティックリハビリテーションの概説
2:各部位の障害に対する体幹筋トレーニング介入効果のエビデンス紹介
3:各部位の障害に対する体幹トレーニング方法の紹介
1の各病態解説は,足部・下腿は阿久澤 弘先生,膝・大腿は小泉圭介先生,股関節・鼠径部は蒲田和芳先生,骨盤・仙腸関節は成田崇矢先生,腰部・体幹は金岡恒治,肩・肩甲帯は石川博明先生・村木孝行先生,肘は坂田 淳先生に担当していただいた.2のエビデンス紹介はすべての部位に渡って今井 厚先生が文献を検索し渉猟した.実際にはエビデンスに乏しい部位があり,今後も情報収集やエビデンス獲得に向けた研究活動が求められる.3の体幹トレーニングの紹介は国立スポーツ科学センターや競泳競技の現場で長年活動している小泉圭介先生に執筆していただいた.このように本書は競技の現場や医療機関でスポーツ傷害を診る方がエビデンスに裏付けられたモーターコントロール機能向上エクササイズを処方できるように,また代表的なトレーニングの方法を紹介している.
本書を活用することで,アスリートのみならず多くの運動器の障害をもった方々に対して,エビデンスに基づいた障害予防に役立つアスレティックリハビリテーションやコンディショニングを処方することができると考える.
また本書が活用されることで,運動器障害をもつ方々の身体機能が改善しより快適な人生を送ることができるようになり,アスレティックリハビリテーションの重要性が多くの方に認識され,普及し,より健康的で活動的な社会になっていくことが期待される.
2019年初夏
早稲田大学スポーツ科学学術院
金岡恒治
目次
I 総論―身体の安定性とスポーツ傷害―
1 運動器障害の発生メカニズム
2 運動器障害の推定されるstage分類
3 身体機能と活動性・競技パフォーマンス
4 スポーツ障害の発生メカニズム
A.牽引性障害(引っ張り障害)
B.関節運動の不安定性による関節障害,インピンジメント障害
II 体幹筋トレーニングのエビデンス
1 体幹筋の構造・機能についての基礎的知見
A.体幹筋の分類(ローカル筋・グローバル筋)
B.各体幹筋の機能解剖
C.身体運動時の体幹筋機能
2 体幹筋トレーニングの筋活動様式
A.ドローイン
B.ブリッジエクササイズ
C.筋筋膜経線に沿った体幹筋トレーニング
D.腹筋運動
E.Active SLR
III 各論
第1章 足部・下腿
1 足関節捻挫
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.足関節(距腿関節,距踵関節)の解剖学的特徴
E.足関節捻挫発生と安定化機構や下肢アライメントとの関連
F.足関節捻挫のメディカルリハビリテーション
G.足関節捻挫のアスレチックリハビリテーション
2 足底腱膜炎
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.足部アーチの解剖学的特徴
E.足底腱膜炎発生と安定化機構や下肢アライメントとの関連
F.足関節捻挫のメディカルリハビリテーション
G.足底腱膜炎のアスレチックリハビリテーション
3 アキレス腱障害
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.距腿関節の解剖学的特徴
E.アキレス腱障害発生と安定化機構や下肢アライメントとの関連
F.アキレス腱障害のメディカルリハビリテーション
G.アキレス腱障害のアスレチックリハビリテーション
4 シンスプリント
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.足関節(距腿関節,距踵関節)の解剖学的特徴
E.シンスプリント発生と安定化機構や下肢アライメントとの関連
F.シンスプリントのメディカルリハビリテーション
G.シンスプリントのアスレチックリハビリテーション
5 足部・下腿部の障害に対する体幹筋トレーニング介入効果のエビデンス
6 足部・下腿部の障害に対する体幹筋トレーニング方法の紹介
A.骨盤後傾・股関節伸展エクササイズ
B.股関節伸展・外転・外旋エクササイズ
C.バックブリッジ
D.片脚デッドリフト/杖支持
E.バランススクワット
F.母趾球スタンディング 1
G.母趾球スタンディング 2:上肢スイング
第2章 膝・大腿
1 靱帯損傷
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.メディカルリハビリテーション
E.アスレティックリハビリテーション
2 半月板損傷
A.病態と状態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.メディカルリハビリテーション
E.アスレティックリハビリテーション
3 大腿部肉離れ
A.病態と状態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.メディカルリハビリテーション
E.アスレティックリハビリテーション
4 膝・大腿部の障害に対する体幹筋トレーニング介入効果のエビデンス
A.膝関節部の障害
B.大腿部の障害
5 膝・大腿部の障害に対する体幹筋トレーニングの紹介
A.股関節伸展・外転・外旋エクササイズ
B.スリング 1:On elbow swing
C.スリング 2:インサイドブリッジ
D.スリング 3:Spine climber
E.片脚デッドリフト 1
F.片脚デッドリフト 2:反対側つま先支持
第3章 股関節・鼠径部
1 股関節唇損傷
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.リハビリテーション
2 グローインペイン
A.グローインペイン治療小史
B.症状と病態
C.メカニズム
D.整形外科的治療法
E.リハビリテーション
3 股関節・鼠径部の障害に対する体幹筋トレーニング介入効果のエビデンス
4 股関節・股関節の障害に対する体幹筋トレーニング方法の紹介
A.ワイドスクワット
B.ワイドスクワット&ツイスト
C.アウトサイドブリッジ
D.インサイドブリッジ
E.インサイドエクステンション
F.スクワット内転誘導・外転誘導
G.四股ふみ
第4章 骨盤・仙腸関節
1 仙腸関節障害
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療方法
D.仙腸関節の解剖学的特徴
E.仙腸関節障害のメディカルリハビリテーション
F.仙腸関節障害のアスレティックリハビリテーション
2 仙腸関節障害に対する体幹筋トレーニングの紹介
A.骨盤後傾・股関節伸展エクササイズ
B.バックブリッジ:両脚〜片脚
C.スリングによるバックブリッジ:両脚〜片脚
D.オーバーヘッドデッドリフト
第5章 腰部・体幹
1 腰椎椎間関節障害・腰椎椎弓疲労骨折(分離症)
A.腰椎の解剖学的特徴と構造的安定化機構
B.体幹筋による機能的安定化機構
C.腰椎隣接関節の可動性
D.ニュートラルゾーン
E.腰椎椎間関節障害・腰椎椎弓疲労骨折(分離症)
F.体幹安定性や腰椎アライメントとの関連
G.アスレティックリハビリテーション
2 腰椎椎間板障害・椎間板ヘルニア
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療方法
D.構造的安定化機構
E.機能的安定化機構・腰椎アライメントとの関連
F.アスレティックリハビリテーション
3 筋筋膜性腰痛・筋付着部障害・体幹筋肉離れ
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療方法
D.機能的安定化機構
E.メディカルリハビリテーション
F.アスレティックリハビリテーション
4 腰部障害に対する体幹筋トレーニング介入効果のエビデンス
5 腰部障害に対する体幹筋トレーニングの紹介
A.ドローイン
B.ドローイン+骨盤後傾
C.骨盤固定からの片脚スイング
D.Side trunk arc
E.Side bilateral SLR
F.フロントブリッジ 1:Hand-knee/Elbow-knee
G.フロントブリッジ 2:Leg-high Hand-knee/Elbow-knee
第6章 肩・肩甲帯
1 肩峰下インピンジメント症候群
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療方法
D.肩峰下インピンジメントに関連する解剖学的特徴
E.肩峰下インピンジメントとアライメントや安定化機構との関連
F.肩峰下インピンジメント症候群のメディカルリハビリテーション
G.肩峰下インピンジメント症候群のアスレティックリハビリテーション
2 関節唇損傷
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療方法
D.関節唇損傷に関連する解剖学的特徴
E.関節唇損傷とアライメント(関節位置)の関連
F.関節唇損傷のメディカルリハビリテーション
G.関節唇損傷のアスレティックリハビリテーション
3 肩関節不安定症
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療方法
D.肩関節不安定症に関連する解剖学的特徴
E.肩関節不安定症とアライメント(関節位置)の関連
F.肩関節不安定症のメディカルリハビリテーション
G.肩関節不安定症のアスレティックリハビリテーション
4 肩関節障害に対する体幹筋トレーニング介入効果のエビデンス
5 上肢(肩・肘)障害に対する体幹筋トレーニングの紹介
A.腹臥位での上肢運動に対し腹筋群が収縮するか
B.肩甲帯での支持による体幹安定性
C.肩甲帯での支持下での上肢挙上と体幹安定性
D.上肢での支持下での上肢挙上と体幹安定性
E.上下肢による支持下での体幹安定性 ― 様々な肢位における上肢挙上位での体幹安定化
第7章 肘部
1 内側側副靱帯損傷
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.肘関節の解剖学的特徴
E.MCL損傷と安定化機構や上肢アライメントとの関連
F.MCL損傷のメディカルリハビリテーション
G.MCL損傷のアスレティックリハビリテーション
2 離断性骨軟骨炎
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.肘関節外側の解剖学的特徴
E.OCDと安定化機構や上肢アライメントとの関連
F.OCDのメディカルリハビリテーション
G.OCDのアスレティックリハビリテーション
3 上腕骨外上顆炎
A.症状と病態
B.障害発生メカニズム
C.整形外科的治療法
D.手関節・手部の構造安定化機構
E.ECRBの解剖と手関節の機能的安定化機構
F.上腕骨外上顆炎と安定化機構や上肢アライメントとの関連
G.上腕骨外上顆炎のメディカルリハビリテーション
H.上腕骨外上顆炎のアスレティックリハビリテーション
4 肘関節障害に対する体幹筋トレーニング介入効果のエビデンス
索引
便利機能
- 対応
- 一部対応
- 未対応
-
全文・
串刺検索 -
目次・
索引リンク - PCブラウザ閲覧
- メモ・付箋
-
PubMed
リンク - 動画再生
- 音声再生
- 今日の治療薬リンク
- イヤーノートリンク
-
南山堂医学
大辞典
リンク
- 対応
- 一部対応
- 未対応
対応機種
-
iOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:25.0MB以上(インストール時:56.0MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:100.0MB以上
-
AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:51.2MB以上(インストール時:106.6MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:204.8MB以上
- コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
- コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
- Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
- Androidロゴは Google LLC の商標です。
書籍情報
- ISBN:9784498073166
- ページ数:223頁
- 書籍発行日:2019年7月
- 電子版発売日:2019年7月24日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
お客様の声
まだ投稿されていません
特記事項
※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。
※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。
※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。
※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。