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- ひと味違うSGLT2阻害薬の使い方
商品情報
内容
血糖安定化作用を含めて他の糖尿病治療薬との効果的な併用とは?
糖尿病患者の合併症に対してどう使うのか?
何を目安にSGLT2阻害薬の有効性や安全性を評価するのか?
フレイル、サルコペニア、認知症等の老年症候群、性器感染症など,適応に配慮が必要な例ではどうする? など効果を最大限に引き出し,安全に治療するために必須の臨床・基礎の理解が深まる一冊.
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序文
序文
循環器領域において,SGLT2阻害薬の大規模臨床研究の結果を鑑みると,ACE阻害薬,スタチンに次ぐ心血管病予防の第三の波とも考えられる.
降圧薬であるACE阻害薬がSOLVD試験,SAVE試験において心不全予後を改善したことにより,全身のレニン・アンジオテンシン系(RAS)に加えて局所のRASが注目され,心不全進展に神経体液因子が関与することが明らかになる端緒となった.高コレステロール血症治療薬のスタチンが4S試験やMEGA試験で総死亡や心筋梗塞発症が低下したことは,動脈硬化進展にRhoキナーゼ活性化という分子機構が関与すること,不安定プラーク破綻が急性冠症候群発症の病因であることを明らかにした.
糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬が,EMPAREG試験,CANVAS試験やDAPA―HF試験で心血管死や心不全入院を抑制したことは,糸球体高血圧や尿細管障害による腎機能障害が心不全発症や増悪に関わっていることを示すと共に,SGLT2阻害薬の血糖降下作用以外の血行動態に対する効果が心不全改善の機序に関わることを示唆している.
最近のSGLT2阻害薬のエビデンスから考えると,本薬剤が心腎不全治療薬の如き印象があるが,本来糖尿病治療薬である故に,本剤の血糖安定化作用を含めて他の糖尿病治療薬とどのように併用するのが効果的なのか,糖尿病合併症に対してどう使うのか,何を目安にSGLT2阻害薬の有効性や安全性を評価するのかが重要である.
一方,フレイル,サルコペニア,認知症等の老年症候群,性器感染症では使用を控えるなど使用を慎重に考慮することも必要である.
本書では臨床と基礎の最新のデータを基に,この領域の第一線の先生方に「ひと味違う」SGLT2阻害薬の使い方について御執筆頂いた.
本書が読者の糖尿病治療のヒントになり,糖尿病患者の安全な血糖管理,合併症管理,予後改善の一助になれば幸いである.
2020年2月
佐賀大学循環器内科教授
野出 孝一
目次
1 期待される作用
1.心血管保護作用について
1.SGLT2阻害薬の基本的な薬理学的作用とその波及効果
2.大規模臨床試験におけるSGLT2阻害薬の心血管イベント抑制
3.心血管保護作用のメカニズム
4.循環器病予防へ向けたSGLT2阻害薬の立ち位置と今後の展望
2.膵臓・膵β細胞保護作用について
1.糖尿病と膵β細胞機能障害
2.SGLT2阻害薬と膵β細胞保護作用(基礎研究の結果から)
3.SGLT2阻害薬と膵β細胞保護作用(臨床研究の結果から)
3.SGLT2阻害薬の腎組織保護作用 <中野大介,西山 成> 18
1.腎糖排泄による血糖降下作用
2.SGLT2阻害薬の臓器保護作用
3.SGLT2阻害薬による尿細管糖代謝への影響
4.利尿・尿酸降下作用について
1.トランスポーターとは
2.促進拡散型グルコーストランスポーターGLUTファミリー(SLC2)
3.Na+依存性グルコーストランスポーターファミリー(SLC5)
4.腎尿細管上皮細胞におけるグルコース輸送
5.SGLT2阻害薬の導入
6.SGLT2阻害薬による利尿作用
7.SGLT2阻害薬による尿酸降下作用
5.神経系に関する作用について
1.糖尿病性神経障害とは
2.SGLT2阻害薬の糖尿病性神経障害への可能性について
3.SGLT2阻害薬が下肢切断を増やす可能性は?
6.SGLT2阻害薬の肝疾患改善・予防効果について(NASHなど脂肪肝改善・肝癌抑制効果など)
<城島輝雄,麻生好正>
1.糖尿病とNAFL/NASH
2.糖尿病に合併したNAFL/NASHの治療
3.SGLT2阻害薬とNAFLD/NASH
7.SGLT2阻害薬の体重減少作用について
1.SGLT2阻害薬による体重減少効果
2.SGLT2阻害薬の体組成への影響
3.体重減少量と尿糖排泄量とのギャップ
4.SGLT2阻害薬の体重減少に関わる別のメカニズム
8.SGLT2阻害薬が摂食・エネルギー代謝に与える影響
1.SGLT2阻害薬がインスリン感受性に及ぼす作用
2.糖質制限食が体組成,エネルギー代謝に与える影響
3.SGLT2阻害薬と体重減少効果と摂食量の関係
4.SGLT2阻害薬と肝臓‒脳‒脂肪組織の神経回路を介したエネルギー消費
9.高齢者糖尿病におけるSGLT2阻害薬の使用と注意点
1.高齢者糖尿病とは
2.高齢者糖尿病の薬物処方の一般的な注意点
3.SGLT2阻害薬の効果
4.SGLT2阻害薬の高齢者における注意点
5.SGLT2阻害薬とサルコペニア
6.SGLT2阻害薬と認知機能障害
7.高齢者糖尿病のカテゴリー分類と血糖コントロール目標
8.カテゴリー分類を用いたSGLT2阻害薬の使用法
2 名医の処方例―こんな使い方もあったのか!
1.SGLT2阻害薬はこう使う
1.体重減少効果を高めるために
2.一粒で何度もおいしい
3.ベネフィットの最大化とリスクの最小化
4.高齢者における使用
5.他の糖尿病治療薬からの切替えと併用
6.費用対効果
7.1型糖尿病患者に対する処方
2.エビデンスをふまえた新たな治療戦略―どのような患者に適しているのか
1.2型糖尿病治療のエビデンスの夜明け
2.2型糖尿病治療薬の転機となったロシグリタゾン
3.新規糖尿病治療薬のエビデンス
4.SGLT2阻害薬のエビデンス
5.エビデンスをふまえた新たな治療戦略
6.量から質の治療へ
3.BMI・年齢別にみる使い方のポイント
1.BMI別にみるSGLT2阻害薬の使い方のポイント
2.年齢別にみる使い方のポイント
4.他科の視点からSGLT2阻害薬の臨床的位置づけを探る
? 循環器内科からみた考え方,使い方
1.糖尿病合併心血管疾患患者における二次予防戦略
2.従来薬およびインクレチン関連薬でのエビデンス
3.SGLT2阻害薬における大規模臨床試験
4.ESC/EASD糖尿病・耐糖能異常・心血管疾患に関する診療ガイドライン
5.慢性心不全患者におけるSGLT2阻害薬の有用性
? 脳卒中・脳神経内科からみた考え方,使い方 <北川一夫> 111
1.糖尿病,境界型糖尿病がリスクとなる脳神経内科疾患
2.SGLT2阻害薬に脳卒中発症,再発予防のエビデンスはあるのか
3.脳卒中既往患者にSGLT2阻害薬を開始する際の留意点
4.脳卒中既往患者で糖尿病,境界型糖尿病患者への処方例
? 腎臓内科からみた考え方,使い方
1.背景
2.SGLT2阻害薬の作用機序
3.SGLT2阻害薬の腎保護作用に関するエビデンス
4.SGLT2阻害薬の使い方
? 肝臓内科からみた考え方,使い方
1.肝臓内科がSGLT2阻害薬に注目している背景
2.NAFLD/NASHという疾患
3.NAFLD/NASHの治療
4.NAFLD/NASHを合併した2型糖尿病に対するSGLT2阻害薬
5.実臨床での経験
5.SGLT2阻害薬を処方する際の禁忌や注意点
1.適正使用に関するRecommendationと発売からの経緯
2.副作用の事例と対策
3 SGLT2阻害薬と他の糖尿病薬の併用療法
1.ビグアナイド薬との併用
1.わが国では糖尿病治療薬に第1選択薬は定められていない
2.欧米ではメトホルミンが第1選択薬
3.ビグアナイド薬,SGLT2阻害薬には共通する注意点が多い
4.ビグアナイド薬併用の有無に注目した体組成変化の検討は少ない
2.DPP‒4阻害薬との併用
1.DPP‒4とは
2.DPP‒4阻害薬の糖尿病治療薬としての特徴
3.DPP‒4阻害薬とSGLT2阻害薬:糖代謝ホルモンへの影響
4.CARMELINA試験のインパクト
3.GLP‒1受容体作動薬との併用
1.GLP‒1受容体作動薬併用によるSGLT2阻害薬の体重減少作用の増強
2.SGLT2阻害薬併用によるGLP‒1受容体作動薬のインスリン分泌促進作用の軽減
3.SGLT2阻害薬併用によるGLP‒1受容体作動薬の作用増強
4.インスリンとの併用
1.インスリンとの併用で得られるメリット
2.1型糖尿病患者への使用
3.インスリンと併用する際の注意
5.チアゾリジン薬との併用
1.チアゾリジン薬の薬理作用と臨床効果
2.臨床試験成績
3.副作用
4.SGLT2阻害薬と併用の意義
6.SGLT2阻害薬とSU薬との併用
1.SU薬の作用機序
2.SU薬の適応症例
3.SU薬の特徴
4.糖尿病治療薬のアルゴリズム
5.SGLT2阻害薬とSU薬との併用
6.まとめ
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書籍情報
- ISBN:9784498123908
- ページ数:203頁
- 書籍発行日:2020年4月
- 電子版発売日:2020年4月6日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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