クリアランスギャップの活用術

  • ページ数 : 126頁
  • 書籍発行日 : 2012年5月
  • 電子版発売日 : 2013年1月1日
4,620
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商品情報

内容

透析療法に関わるすべての医療従事者のための必携書!

透析量(Kt/V)の質的管理法である「クリアランスギャップ(CL-Gap)」の理論は、透析効率の算出、バスキュラーアクセス(VA)機能不全症例の検出、シャント血再循環の把握などに有用な概念として注目されている。本書は,この考え方を提言・推進し、より良い透析医療を目指すための活動を行っている「クリアランスギャップ研究会」のメンバーが、その理論と実際についてまとめたもの。

序文

「クリアランスギャップの活用術」発刊にあたって

「クリアランスギャップ」とは,非常に聞こえのよい響きのある言葉です.

小野淳一先生が提言され,鵜川豊世武先生が推進されたこの「クリアランスギャップ」は,現在は,日本透析医学会全国規模学術集会として認定を受けています.

「クリアランスギャップ」は,充分な透析が行われているのかどうかの透析効率を算出したり,シャント血の再循環の把握方法などとして,有用とされてきています.そして,何よりもこれらVA機能低下やシャント部再循環を早期に発見できる簡易な方法として注目されています.

この「クリアランスギャップ研究会」の目的は,あくまで,透析効率を有効に生かす方法の検討会であり,バスキュラーアクセスの管理と正しい使用法,透析回路の工夫,各種血液浄化器の適正使用法など,その研究領域は広々としています.この研究会は,透析医のみならず,臨床工学技士,看護師,検査技師など,血液浄化療法のあらゆる職種の知恵と努力の結集の場であります.

「クリアランスギャップ研究会」は,2006年に高松で第1回を開催して以来2012年度の高知開催で第7回を迎えます.折りしも,全国の透析現場で働く方々から「クリアランスギャップの実際」あるいは,「クリアランスギャップの活用術」のような,より現場で活用できる小冊子を希望する声が多く聞こえてきました.

そこで,今回,クリアランスギャップ研究会の役員の有志より,本小冊子を刊行する運びとなりました.

透析現場で広く活用されることを願っています.


2012年5月吉日

クリアランスギャップ研究会 会長
天野 泉

目次

1章 クリアランスギャップの理論

透析量の質的管理法「クリアランスギャップ」の基礎

A.透析量(Kt/V)の質的管理法「クリアランスギャップ」(CL-Gap)の理論

B.CL-Gap法の臨床的有用性について

C.適切にKt/Vを使用するために注意すべきこと

D.算出されたクリアランスギャップ値の解釈について

E.CL-Gapとその他の指標を用いたVA機能不全の検出プログラムの

2章 クリアランスギャップの臨床応用(1)

1.PTAの適応について

A.バスキュラーアクセス再循環率の評価方法

B.バスキュラーアクセスにおける透析効率Kt/Vと流入動脈血流速度との関連性

C.PTAの適応と効果判定

2.透析効率の指標であるKt/VおよびクリアランスギャップからみたPTAの適応

A.VAIVTと透析効率の関連

B.KT/VとCL-Gapとの関連

C.血管拡張の程度と透析効率は関連しない?

D.アクセスの形態と狭窄部位がVAIVTによる透析効率の改善を決定する

E.VAIVTで透析効率が改善するのはどのような症例か?

F.透析効率の低下した患者はVAIVTにより透析効率が改善する

G.KT/VとCL-Gapの関連

H.まとめ

3.アクセス機能評価,クリアランスギャップとCLIT-LINEモニター

A.CLIT-LINEモニター

B.RR測定およびRRを利用したVA血流量の算出

C.CRIT-LINE III TQAによる測定法44

4.クリアランスギャップを用いたバスキュラーアクセス管理について

A.対象と方法

B.結果

C.考案

D.結語

5.穿刺針とクリアランスギャップ

A.方法

B.穿刺針と血液流量,Kt/V,CL-Gap

C.設定血液流量ごとの穿刺針と血液流量,Kt/V,CL-Gap

D.まとめ

6.カフ型(長期留置目的)カテーテルとクリアランスギャップ

A.カフ型カテーテルとは

B.カフ型カテーテルの種類と選択の基準

C.カフ型カテーテルとガイドライン

D.カテーテル透析におけるクリアランスギャップの意義

7.クリアランスギャップとRI

A.RIの意味とその測定法

B.RIカットオフ値とVA開存率

C.RIとCL-Gapの関係

D.VA開存率の検討(RIとCL-Gapの関係から)

E.各群のVA開存率

F.RIとCL-Gapの臨床応用①

G.RIとCL-Gapの臨床応用②

8.クリアランスギャップを用いたクリニカルパス

A.VA観察におけるデータ(CL-Gap)導入の経緯

B.VA管理パス(くらしき透析連携の会VAWG作成)の紹介

C.今後のVA管理パス運用について

3章 クリアランスギャップの臨床応用(2)―症例呈示

1.クリアランスギャップに関与する因子

A.総論

B.各論

2.クリアランスギャップと生体適合性

A.透析膜の生体適合性について

B.HD中の微小循環動態について

C.HD中の微小循環障害の臨床的意義

3.透析条件とクリアランスギャップ,Kt/V

A.透析量を決定する因子

B.透析条件の変更

C.透析条件の変更による影響―血液流量の増量

D.透析条件の変更による影響―透析器膜面積の増量

E.まとめ

4.クリアランスギャップ変形式

A.CL-Gap変形式への展開

B.実際の利用と評価

C.今後の利用と可能性

5.クリアランスギャップと体液量

A.CL-Gapの計算式からわかること

B.推定体液量と実体液量が乖離している場合

C.過剰な体液量がKt/V実測値を低下させる場合

D.推定体液量そのものが正確でない場合

E.臨床データからみたCL-Gapと体液量

4章 クリアランスギャップのこれから

1.クリアランスギャップとカフ型カテーテルの将来

2.クリアランスギャップの現状とこれから

A.クリアランスギャップのピットフォール

B.設定Kt/VがCL-Gapの肝である

C.経時的CL-Gap測定が重要

D.CL-Gapの本質は質的透析量の指標である

E.CL-Gapに期待するもの

3.クリアランスギャップの意義と将来展望

A.アクセス管理の主体―診断と治療の概念

B.透析効率Kt/VとVA

C.透析心不全とVA


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書籍情報

  • ISBN:9784498124868
  • ページ数:126頁
  • 書籍発行日:2012年5月
  • 電子版発売日:2013年1月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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