急性腎不全・AKI診療 Q&A

  • ページ数 : 204頁
  • 書籍発行日 : 2012年6月
  • 電子版発売日 : 2013年2月2日
5,280
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商品情報

内容

急性腎不全・AKIの「現在」を知りたい読者に!

ARF(急性腎不全)、および2000年代以降新たに提唱された概念であるAKI(急性腎障害)についての疑問をまとめた最新のハンドブック。「AKIとARFの違いは?」といった基本的なQuestionから、よりプラクティカルな診断・検査・治療・血液浄化療法に関する疑問・難問までを最新の知見をもとにまとめた。

序文

はじめに

いわゆるパラダイムシフトが医学や医療において生じるのは,例えば循環器領域では心臓カテーテル検査が導入されてきた1980年代後半やリウマチに対してモノクローナル療法が導入された2000年代前半のように,一般には革新的な診断方法が導入されたり決定的な効果を有する薬剤が開発されたりした時であると思う.これまで,従来からの診断方法や治療方法はそのままで,それらに対する考え方が変わることにより,パラダイムシフトが生じたことは殆どなかったのではないかと思う.

ところで,格言はお好みであろうか? AKI(Acute Kidney Injury)の現状を見つめながら先人の名言を眺めてみよう.

まず,日常診療で用いている血清クレアチニンから

●(AKI)発見を妨げる最大の障害は無知ではなく,知っていると錯覚することである(Daniel J. Boorstin).

●我々は過去への思い出によってではなく,未来に対する責任によって賢くなるのである(G. Bernard Shaw).

●ひとつの事柄についてすべてを知るより,すべての事柄について何らかのことを知るほうがずっとよい(Blaise Pascal).

血清クレアチニン値は,確かに腎疾患を診断する上でのgold standardであるが,幅広い視野をもった理解が次世代を切り拓くということであろう.

次に,AKIバイオマーカーでは

●(AKIの)世界は一冊の本だ.(バイオマーカーの)旅をしない者はその本を1ページしか読めないであろう(Aurelius Augustinus).

●真実が進行中である.いまや何ものもそれを止めることはできない(Emile F. Zola).

●想像力は知識よりも重要である(Albert Einstein).

古代キリスト教の神学者から20世紀最大の物理学者のお言葉を並べてみた.AKIの分類やバイオマーカーは想像の産物ではないが,20世紀最大の物理学者の言葉が一番大胆に感じられる.

それでは,AKI診断に対する万能なバイオマーカーを期待して良いのであろうか?

●革命の基本的な動機は,天国を建設することではなくて,地獄を破壊することである(Carl Oglesby).

●もっといい時代はあるかも知れないが,これは我々の時代なのだ(Jean―Paul Charles Aymard Sartre).

Oglesbyは相変わらず過激な表現だが,AKIの現状を打破することがよりよい患者治療に最優先であると示唆しているのかも知れないし,その一方でSartre流の現実感も必要ということであろう.

AKIと新規バイオマーカーをとりまく一連の流れは,まさにパラダイムシフトの中にあるといっても過言ではないと思う.これは,格言の力を借りないとそう思えないというわけではなく,より密接に感じることができる.このタイミングこそ,知識の確認や整理がどこからでも簡単にできるQ & A形式の本書が資するであろう.曰く

●未来はすでに始まっている(Robert Jungk).


2012年 5月31日

野入英世(NOIRI, Eisei)

目次

§1 疾患

Q1.AKI(急性腎障害)とARF(急性腎不全)の違いは何ですか?

Q2.乏尿性と非乏尿性AKIの違いは何ですか?

Q3.Volume―responsive AKIとはどのような疾患概念ですか?

Q4.正常血圧虚血性急性腎不全とはどのような病態を指すのですか?

Q5.AKIが長期的にCKDに進展する可能性について教えて下さい.

§2 診断

Q1.現病歴を聴取するときに注意すべきことは何ですか?

Q2.糸球体障害と尿細管障害の鑑別を,どのように切り分けますか?

Q3.腎前性と腎性を区別する上でどのような点について注意すればいいですか?

Q4.RIFLE基準とAKIN基準とは何ですか?

Q5.重症高血圧を伴ったAKIの原因としては何を考えるべきですか?

Q6.造影剤腎症に対するリスクをどのように評価しますか?

§3 検査

Q1.どのような画像診断が有用で,今後臨床応用が期待されていますか?

Q2.超音波診断法にはどのようなものがあり,特にAKIにおける留意点はなんですか?

Q3.AKIにおける腎生検の適応は何ですか?

Q4.腎病理をみるときに特にどんな点に注意して観察しますか?

Q5.血清クレアチニンや尿素窒素(BUN)の値を解釈する上で注意する点は何ですか?

Q6.尿中NAG測定で何がわかりますか?

Q7.尿中L―FABPはどのようなタイミングで測定すればよいですか?

Q8.新規バイオマーカーNgal(尿・血液)について教えて下さい.

Q9.シスタチンC(血液・尿)について教えて下さい.

Q10.尿アルブミンのAKIにおける意義について教えて下さい.

Q11.尿沈渣はどのように評価すれば役立ちますか?

§4 疾患各論

Q1.抗菌薬によるAKIとよくいわれますが,その病態について教えて下さい.

Q2.NSAIDsによるAKIはどのような病態生理を考えるべきですか?

Q3.カルシニューリン阻害薬によるAKIについて教えて下さい.

Q4.ビタミンD製剤によるAKIについて教えて下さい.

Q5.どの分子標的薬がAKIをきたす可能性がありますか?

Q6.ネフローゼ症候群によるAKIについて教えて下さい.

Q7.コレステロール塞栓症の診断と治療はどのように行いますか?

Q8.横紋筋融解症によるAKIの特徴と治療法を教えて下さい.

Q9.腫瘍崩壊症候群の予防・治療はどのように行いますか?

Q10.骨髄腫に伴うAKIの特徴と治療法を教えて下さい.

Q11.肝腎症候群に伴うAKIはどのように診断し治療しますか?

Q12.敗血症におけるAKIの病態生理について教えて下さい.

Q13.心臓手術後に生じるAKIは予後に影響しますか?

Q14.急性非代償性心不全にAKIを生じた場合の対応について教えて下さい.

Q15.産科領域のAKIとHELLP症候群について教えて下さい.

Q16.妊娠高血圧症候群における可溶性flt―1の病的意義について教えて下さい.

Q17.運動後に生じるAKIとは何ですか?

Q18.有機溶媒によるAKIについて教えて下さい.

Q19.農薬によるAKIとその特徴について教えて下さい.

Q20.人獣共通感染症におけるAKIについて教えて下さい.

§5 治療

Q1.AKIで注意すべき電解質異常について教えて下さい.

Q2.高K血症はどういう治療法があり,どのように考えて行いますか?

Q3.栄養管理はどのように考えて処方しますか?

Q4.造影剤腎症予防にはどのような処置を行えばよいですか?

Q5.造影剤の選択についてはどのように考えたらよいですか?

Q6.利尿薬の選択と投与のタイミングについて教えて下さい.

Q7.低用量ドパミンはAKIに有効ですか?

Q8.AKIにテオフィリンを用いることはありますか?

Q9.hANPがAKIに有効であると期待される理由は何ですか?

Q10.N―アセチルシステイン(N―acetylcysteine:NAC)はどういう病態に対して処方しますか?

Q11.ACE阻害薬・ARBは中止したほうがよいですか?

Q12.ESA製剤はAKIにおける有用性が示されていますか?

Q13.抗がん薬治療の際の注意点を教えて下さい.

Q14.AKI症例に腎毒性薬剤を用いるのはどのような場合ですか?

§6 血液浄化療法

Q1.血液浄化療法の開始時期はいつが適切でしょうか.

Q2.血液浄化療法のモダリティはどのように決めればよいですか?

Q3.持続的血液浄化と間欠的血液浄化それぞれの長所・短所を教えて下さい.

Q4.浄化量をどこまで増やせば臨床効果が期待できますか?

Q5.CRRTのフィルターを選択する際に考慮すべき点を教えて下さい.

Q6.血液浄化療法からの離脱はどのようにして判断しますか?

Q7.呼吸障害のあるAKI患者にCRRTを行う際に留意すべきことは何ですか?

Q8.CRRT施行中の薬物動態はどのように予測しますか?

§7 疫学その他

Q1.ベースラインの血清クレアチニンはどのように決めますか?

Q2.APACHEスコア,SOFAスコアとは何ですか?

Q3.RIFLE,AKIN基準を用いた重症度分類で陥りやすい問題点は何でしょう?

Q4.KDIGOによるAKIガイドラインでAKI診断基準が改善されましたか.

Q5.AKIにおける臨床研究を行う場合,研究デザインをどのように考えて組み立てますか?

Q6.検査項目の評価にはROC解析で十分ですか?

Q7.診断や治療の費用対効果はどのようにして評価すべきですか?

Q8.AKI診療における診療報酬はどのようになっていますか?


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書籍情報

  • ISBN:9784498124882
  • ページ数:204頁
  • 書籍発行日:2012年6月
  • 電子版発売日:2013年2月2日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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