ブラッシュアップ多発性骨髄腫

  • ページ数 : 246頁
  • 書籍発行日 : 2015年10月
  • 電子版発売日 : 2016年1月22日
5,280
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商品情報

内容

多発性骨髄腫の診察に関する基本知識・最新知見を網羅したbrand-new manual

日常診療でとかく問題となる合併症へのアプローチや、治療法の確立されていないアミロイドーシスやマクログロブリン血症などの類縁疾患も取り上げ、総合的に多発性骨髄腫診療に役立ちます。
多忙な日常を送る臨床医や、医療従事者が、多発性骨髄腫の診療に関わる新しい知見を再発見し、より良い診療を実践するための一冊に。

序文

多発性骨髄腫の治療は,1960年代から行われているMP療法を超える治療は長らく存在しなかったが,2000年以降サリドマイド,レナリドミド,ボルテゾミブといった新規治療薬が導入され,その治療成績は大幅に改善された.その結果,国内外の多くの臨床試験の結果に基づき多発性骨髄腫の治療戦略はかなり確立されたものとなってきた.しかしながら,それ以降も新規治療薬は次々に開発されており,わが国においても,最近になりポマリドミドおよびパノビノスタットの薬価収載が行われ,さらにcarfilzomibやixazomibといった新しいプロテアソーム阻害薬やいくつかの抗体医薬の治験が行われており,今後さらに多くの治療選択肢が増えることが想定される.

このように多発性骨髄腫をめぐる診療環境は急速に進歩しており,導入されてから15年が経過したサリドマイド,レナリドミド,ボルテゾミブは,もはや新規治療薬とは言えないような状況になっている.このような背景の中で,これからの多発性骨髄腫に対する診療のより良い向上を目的に,これまでの骨髄腫に関わる基礎および臨床面の重要事項を整理し,改めて検証することも含めて本書『ブラッシュアップ多発性骨髄腫』を刊行することとなった.本書は,病態解析研究の進歩や新しい診断基準,治療奏効の意義やその測定法に関する知見をもとに,多発性骨髄腫の新たな治療展開を理解できるように編集を行った.初発例や再発・難治例に対する寛解導入療法や治療戦略はもちろんのこと,MGUS/くすぶり型骨髄腫をいかに治療すべきか,地固め・維持療法をいかにすべきか,risk-adapted strategyや移植医療の位置づけなどの議論のある課題についても最新の考え方をまとめるようにした.さらに,日常診療でとかく問題となる合併症へのアプローチや,治療法の確立されていないアミロイドーシスやマクログロブリン血症などの類縁疾患も取り上げ,総合的に多発性骨髄腫診療に役立つ書籍となるように工夫した.執筆者はすべて第一線で活躍されているエキスパートにお願いし,各項目について最新の知見や臨床試験の結果に基づいて,できるだけわかりやすくかつわが国における現状に即した形での解説をお願いした.

われわれ臨床医は極めて多忙な毎日を送っている.新たに導入されつつある専門医制度もおそらく忙しさにさらに拍車をかけるものと思われる.どんなに忙しくなり,自分の時間が取れなくなっても,目の前の患者に最善の医療を提供するのが臨床医の責務である.本書は,このような多忙な日常を送っている臨床医や医療従事者が,多発性骨髄腫の診療に関わる新しい知見を再確認し,より良い診療を実践するのに必要な書籍である.多発性骨髄腫診療に関わっている多くの現場の方々に本書が広く活用され,多発性骨髄腫診療に役立つことを編者として願っている.

最後に,忙しい中に執筆いただいた先生方に心より感謝申し上げます.


平成27年9月

新しい教授室より頭を垂れつつある稲穂を見つつ

木崎昌弘

目次

1 病態

1-1 多発性骨髄腫の発症と進展のメカニズム

B細胞分化とMMの起源

MMの病勢の進展

1-2 骨髄腫幹細胞

骨髄腫幹細胞

Clonotypic B cells

Clonotypic non-B cell plasma cells

Side population

造血幹細胞・造血前駆細胞

1-3 骨髄腫細胞のシグナル伝達経路と増殖機構

骨髄微小環境との相互作用を介したシグナル伝達経路

NF-κBの活性化による細胞死の抑制

骨髄腫細胞の接着耐性獲得時のシグナル伝達経路

1-4 多発性骨髄腫における染色体・遺伝子異常

B細胞分化と骨髄腫細胞

MMの染色体異常

マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析

次世代シークエンサーとクローン進化

1-5 多発性骨髄腫における骨病変の発症機構

骨吸収促進因子

骨形成抑制因子

1-6 多発性骨髄腫における腎障害の発症機序

免疫グロブリンによる腎障害

免疫グロブリン以外による腎障害

2 診断

2-1 多発性骨髄腫の診断と病期分類

MMの診断

MMおよびSMMの診断基準

MGUSおよび類縁疾患の診断基準

MMの病期分類

2-2 微小残存病変測定と奏効の意義

微小残存病変(MRD)検出法

MRD検出法とそれを用いた臨床研究

2-3 多発性骨髄腫における画像診断

骨髄腫における画像診断の役割

各画像検査の特徴

3 治療

3-1 多発性骨髄腫に対する治療目標

MMの治療目標

MMの治療成績を向上させるために

3-2 治療効果判定基準

EBMT/IBMTRの治療効果判定基準

血清フリーライトチェーンの利用

IMWGの治療効果判定基準

新たに加わった治療効果判定基準

3-3 MGUS/くすぶり型骨髄腫へのアプローチ

診断基準

形質細胞腫瘍および類縁疾患への進行

形質細胞腫瘍および類縁疾患へ進行するリスク因子

治療

3-4 初発移植適応多発性骨髄腫の治療

治療

新規薬剤の導入によって自家移植を回避できるか

3-5 初発高齢者・移植非適応多発性骨髄腫の治療

MPT療法:MP+サリドマイド療法

MPB療法:MP+ボルテゾミブ療法

MPL療法:MP+レナリドミド療法

Ld療法:レナリドミド+少量デキサメタゾン療法

通常化学療法(新規薬剤を用いないレジメン)

3-6 再発・難治多発性骨髄腫の治療

再発の定義

再発難治性骨髄腫の治療選択

承認されている骨髄腫治療薬

殺細胞薬

サルベージ治療としてのHDT-SCT

再発時の治療選択に影響する因子

3-7 多発性骨髄腫における地固め・維持療法

移植適応症例

移植非適応症例

これからの地固め・維持療法の展望

3-8 自家末梢血幹細胞移植の実際と課題

新規薬剤導入後の自家移植の意義

自家造血幹細胞移植の適応

移植前寛解導入療法

自家造血幹細胞採取

移植前処置

タンデム自家移植

新規薬剤の時代における自家移植の位置づけ

3-9 多発性骨髄腫に対する同種造血幹細胞移植

骨髄破壊的同種移植

骨髄非破壊的同種移植

タンデム移植

自家末梢血幹細胞移植後の再発に対する同種移植

MMに対する同種臍帯血移植

今後の展望

3-10 多発性骨髄腫に対するRisk-adapted strategyの

現状と展望

MMの予後因子とリスク分類

ISS-iFISH分類

自家造血幹細胞移植(自家移植)適応患者におけるMMの進行による

早期死亡のリスク因子

t(4;14),del(17p)の付加的染色体異常の意義

ハイリスクMMにおける新規薬剤の意義

The Mayo stratification for myeloma and risk-adapted therapy

classification(mSMART)に基づくrisk-adapted strategy

今後期待されるrisk-adapted strategy

3-11 形質細胞白血病の治療

臨床像

治療法

3-12 合併症への対策

感染症

腎障害

高カルシウム血症

骨病変

貧血

血栓症

神経障害

その他

3-13 多発性骨髄腫に対する放射線治療

放射線療法の特色・適応

放射線照射効果に関する生物学

骨髄腫に対する放射線治療方針

放射線治療との併用療法

放射線治療による有害事象

3-14 多発性骨髄腫に対する新規薬剤による治療

carfilzomib(CFZ),ixazomib(IXZ)など新規PIs

新規IMiD,ポマリドミド(Pom)

3-15 多発性骨髄腫に対する抗体療法

抗SLAMF7抗体elotuzumab

抗CD38抗体

4 類縁疾患:病態,診断,治療

4-1 原発性マクログロブリン血症

疫学,症状

診断,リスク分類

治療

WMのゲノム解析

4-2 原発性アミロイドーシス

病態

診断

治療

4-3 POEMS症候群

概念・定義

疫学

症候

病態

診断と鑑別診断

治療と予後

4-4 Castleman病

病理組織分類

病型分類と臨床像

診断

治療・予後


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書籍情報

  • ISBN:9784498125964
  • ページ数:246頁
  • 書籍発行日:2015年10月
  • 電子版発売日:2016年1月22日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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