EBM循環器疾患の治療2015-2016

  • ページ数 : 468頁
  • 書籍発行日 : 2015年4月
  • 電子版発売日 : 2015年6月12日
13,200
(税込)
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商品情報

内容

EBM循環器疾患の治療2012-2013から、3年ぶりの改定!

第一線で活躍中の先生が、普段臨床において多くの方が疑問に持っている問題を適確に取り上げています。
本書は単なるエビデンスの紹介に終わることなく、逆に臨床上遭遇する疑問(クリニカル クエスチョン)から項目を立て、それに回答を与える複数のエビデンスを紹介、さらにそのエビデンスの問題点と限界を解説することによって、より普遍性を与えるようにしたのが本書であり、その点が類書とは大きく異なる特徴です。
循環器疾患の治療指針を示す実践書となる一冊。

EBMシリーズ

序文


 「EBM循環器疾患の治療2015―2016」が完成しました.今回は3年ぶりの改定になりますが,編集者も一新しました.虚血性心疾患 阿古潤哉先生(北里大学),心不全 坂田泰史先生(大阪大学),不整脈 池田隆徳先生(東邦大学),高血圧・肺高血圧・脂質異常症 長谷部直幸先生(旭川医科大学)です.いずれも第一線でご活躍の先生であり,普段臨床において多くの先生方が疑問に思っている問題を適確に取り上げていただけたと思います.


改めて「EBM循環器疾患の治療」の特徴をお話ししたいと思います.EBMに基づいた診療の重要性がいわれて20年余りがたちますが,それを実践するには,3つのステップを踏む必要があります.まず1つ目のステップは,エビデンスを知ることです.最近では,数多くの大規模臨床試験が行われており,調査研究やメタ解析と合わせて,非常に多くのエビデンスが毎月のように発表されています.忙しく診療をしている医師がすべての論文に目を通すことは不可能です.そこで多くの解説書が出ているわけですが,本書も,多くのエビデンスを短時間に理解する上において,大いに役立つのではないかと思います.2つ目のステップは,そのエビデンスを薬籠中のものとすることです.エビデンスレベルの高い大規模臨床試験といえども,当然注意が必要です.前向きに介入することによりどうしても日常臨床とはかけ離れた治療をせざるを得ない場合もありますし,多くの臨床試験は欧米で行われていますので,その試験結果を日本人にそのまま当てはめてよいとは限りません.また似たような臨床試験であっても結果が異なる場合もよくあり,このような場合にどの報告を信じたらよいのか,はなはだ迷うことがあります.そのような問題に対して考慮したのが本書です.単なるエビデンスの紹介に終わることなく,逆に臨床上遭遇する疑問(クリニカル クエスチョン)から項目を立て,それに回答を与える複数のエビデンスを紹介しました.さらにそのエビデンスの問題点と限界を解説することによって,より普遍性を与えるようにしたのが本書であり,その点が類書とは大きく異なる特徴です.3つ目のステップは,エビデンスに個々の医師の経験を加えて,個々の患者に応用するステップです.患者は一人として同じではありません.本書においては,3つ目のステップに移りやすいように,エビデンスを本邦の患者に適用する際の注意点を示しています.


本書が,真にEBMに基づいた,個々の患者にとって最善の診療をしていただく一助になれば,望外の喜びとするところです.


2015年3月

監修者 小室一成

目次

I.虚血性心疾患

A.急性冠症候群

1.日本人のACSの特徴は何か?

2.日本人のACSの予後は欧米と比較してどのような違いがあるのか?

3.血管内イメージングでACS発症を予測可能か?(PROSPECT,PROSPECT II―ABSORB)

4.非侵襲的イメージングでACS発症は予測可能か?

5.ACSに対して新たな抗血小板薬が優れているか?

6.血管外の組織はACSの発症に関与しているのか?

7.たこつぼ型心筋症は心電図で診断可能か?

8.ACS患者に抗凝固剤の投与は有効か?(APPRAISE,ATLASなど)

9.Door―to―balloon timeを短縮するために有効な手段は何か?

10.ACSに対するカテーテル治療のアプローチは橈骨動脈がよいか?

11.ACSの心原性ショック時にIABPは必須か?

B.冠動脈疾患

12.OCTはIVUSにとって代わるか?

13.二次予防患者にはLDLの値に関わらずストロングスタチン投与が必須か?

14.BVSは冠動脈疾患の治療の主体となるか?

15.DCBに適した病変は?

16.心房細動患者のPCI時に抗血小板療法と抗凝固療法はいかにすべきか?

17.第二世代以降のDESでもneoatherosclerosisは問題か?

18.第一世代DESに比べ第二世代DESは心血管イベントを減少させたか?

19.心血管イベント抑制効果のある糖尿病治療薬はあるのか?

20.脂肪酸のバランスはどの程度冠動脈イベントを予測可能か?またそれを変化させるとイベントは抑制可能か?

21.血小板凝集能はどの程度心血管イベントに関与しているのか?

22.DESのDAPT期間はどこまで短縮可能か?

23.どのような患者に長期のDAPTが必要か?

24.日常臨床においてもSYNTAXスコアを適用して血行再建法を変更する必要があるか?

25.非心臓手術が予定されている冠動脈狭窄をどのようにするか?

C.大動脈疾患

26.大動脈解離はどの程度遺伝が関与しているか?

27.Stanford B大動脈解離に適した降圧療法はあるのか?

28.血管内治療を選択すべき胸部大動脈瘤,胸腹部大動脈瘤はどのようなものか?

D.末梢動脈疾患

29.BPAはCTEPHにどの程度有効か?またそれが適した病変は?

30.左心耳閉鎖術は心房細動患者の塞栓症を減らすことが可能か?

31.MitraClip systemによる経皮的僧帽弁形成術:どのような症例が適しているのか?

II.心不全

A.診断・予後予測

1.2型糖尿病患者における心血管疾患一次予防〜NT―proBNPは有用なマーカーとなりえるか〜

2.BNP値スクリーニングに基づく医師,看護師による多面的ケアは心不全発症予防に有効か?

B.急性心不全治療

3.腎機能障害を合併した急性心不全に対し,低用量ドパミン追加は有用か?

4.急性心不全治療において遺伝子組換え型ヒトリラキシン―2は症状を緩和するか?

C.慢性心不全治療

5.高リスクの高血圧患者においてレニン・アンジオテンシン系阻害薬とどの薬剤を組み合わせるのがよいのか?

6.左室駆出率が低下した心不全に対し,直接的レニン阻害薬は予後を改善するのか?

7.左室駆出率が保たれた心不全に対し,抗鉱質コルチコイド治療は有用か?

8.左室駆出率が保たれた心不全に対し,PDE5阻害薬は有用か?

9.可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬riociguatは慢性血栓塞栓性肺高血圧症に有用か?

10.非侵襲的陽圧換気療法は心不全患者に対してどのような効果があるのか?

11.重度の虚血性僧帽弁閉鎖不全症において,形成術と置換術のどちらが有用か?

12.退院後の慢性心不全患者は,看護師主導の在宅管理心不全専門外来のどちらでフォローすべきか?

D.心不全デバイス治療

13.ハイリスク症例ではTAVIとSAVR,どちらが有用か?

14.MitraClip®は僧帽弁閉鎖不全症の予後を改善するのか?

15.軽症心不全でもCRTの予後改善効果は認められるのか?

16.QRS幅の狭い症候性心不全患者において心エコーはCRTの有用性を予測できるか?

17.左室駆出率が低下している慢性心不全患者において,遠隔モニタリング機能つきICD/CRT―Dは有用か?

18.重症心不全症例に対する左室補助人工心臓によるdestination therapyは予後を改善するのか?

III.不整脈

A.徐脈性不整脈

1.ペースメーカ患者の遠隔モニタリング使用における現在の課題は何か?

2.徐脈性不整脈患者でのペースメーカ感染に対してはどう対応すべきか?

3.心室中隔におけるセレクトサイトペーシングは予後を改善させるか?

B.頻脈性不整脈

4.心房細動患者においてカテーテルアブレーションは薬物治療に優るのか?

5.心房細動患者の抗凝固療法において新規経口抗凝固薬の間で差はあるのか?

6.心房粗動患者の治療の中心はカテーテルアブレーションでよいのか?

7.発作性上室性頻拍患者の治療の中心はカテーテルアブレーションでよいのか?

8.心室頻拍の治療の中心は植込み型除細動器(ICD,CRT―D)でよいのか?

9.心室細動に対する急性期の対処法はどのようになっているのか?

C.不整脈症候群

10.Brugada症候群は実地レベルではどのように診断したらよいのか?

11.QT延長症候群は実地レベルではどのように診断したらよいのか?

12.QT短縮症候群はどのような疾患でどのような不整脈がみられるのか?

13.早期再分極(J波)症候群とはどのような疾患でどこまで明らかにされているか?

D.不整脈診断治療

14.心臓電気生理学検査はどのような患者に適応すべきか?

15.加算平均心電図(心室Late Potential)の適応とその解釈をどうすべきか?

16.T波オルタナンス検査の適応とその解釈をどうすべきか?

17.薬物によるリズムコントロール療法は不整脈治療において不要か?

18.カテーテルアブレーションは今後どのように進化して行くのか?

19.植込み型除細動器(ICD)作動患者では運転免許証を失効すべきか?

20.心房細動手術は,手術リスクを増加させるのか?

IV.高血圧・肺高血圧・脂質異常症

A.高血圧

1.高血圧の脅威は減ったといえるのか?

2.家庭血圧測定とABPMが明らかにしたこと・すべきことは何か?

3.男女何歳からが高血圧の予後影響因子になるのか?

4.高血圧診療における最適な血管障害指標は何か?

5.降圧に減塩は不可欠か?

6.若・中年の降圧目標は130/85 mmHgでなくてよいのか?

7.糖尿病の降圧目標は我が国だけ130/80 mmHgでよいのか?

8.β遮断薬はなぜ,合併症のない高血圧の第一選択薬ではないのか?

9.利尿降圧薬は第一選択薬であり続けるのか?

10.Ca拮抗薬の最良の併用降圧薬は何か?

11.虚弱高齢者の高血圧治療は不要か?

12.抗血栓療法中の高血圧はどこまで下げるべきか?

13.CKDの降圧薬はRA系阻害薬でなくてもよいのか?

14.妊娠合併高血圧の最新の治療法は?

15.治療抵抗性高血圧に腎デナベーションは有効ではないのか?(SYMPLICITY HTN―3を受けて)

B.肺高血圧

16.肺動脈性肺高血圧症で併用選択すべき薬剤の組み合わせは?

17.左心疾患に伴う肺高血圧に,PDE5阻害薬・エンドセリン受容体拮抗薬は有用か?

18.肺高血圧症の診断と経過観察に有用な心エコー図指標は?

C.脂質異常症

19.スタチンの差別化は確かなのか?

20.HDLを標的とする治療はどこまで進んだのか?

21.動脈硬化のターゲットはEPAか,DHAか?


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書籍情報

  • ISBN:9784498134201
  • ページ数:468頁
  • 書籍発行日:2015年4月
  • 電子版発売日:2015年6月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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