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- メディカルスタッフのための医療禁忌なるほどブック
商品情報
内容
外来や病棟での処方と注射、検査、処置、透析室での禁忌を「なぜ」してはいけないのか、どうすればいいのか、わかりやすく解説しました。日々の業務にひそむ落とし穴を今すぐcheck!
序文
はじめに
医療現場でのチーム医療の重要性が叫ばれてから久しいのですが,医療に携わるすべての人は,安心で安全な医療の推進に努力しています.大学病院や特定機能病院から中核の基幹病院,医院・診療所・クリニックまでその診療内容には役割分担がありますが,それぞれのレベルにあったチーム医療のハード面・ソフト面での整備がなされています.私はこれまで大学病院の看護師・医師とともに,看護師がやってはならない禁忌事項について『根拠がわかるナースのための医療禁忌セルフチェック』,『はじめての根拠がわかる看護実践禁忌ナビ』,『根拠がわかるナースのための透析ケア』(全て南江堂),『ナースのためのタブーマニュアル108(Excel nurse)』(メディカルレビュー社),『これだけは知っておきたい透析ナーシング Q&A』(総合医学社)を上梓し,臨床現場で活用していただきました.これまで,皆さまからご好評をいただき患者さんと家族のための診療に活かされてきたと聞き,編集者の1人として大変嬉しく思っています.
それらの発刊からわずかな年月しかたっていないのですが,その間にわが国の医療界を取り巻く環境は大きく変わり,高齢者医療の重要性が増してきました.高齢化社会(全人口に占める65歳以上の割合が7%を超えた場合)と言っていたのが高齢社会(その割合が14%を超えた場合)を経て,超高齢社会(その割合が21%を超えた場合)へと変化しました.また,平均寿命や健康寿命にも大きな変化が生まれ,現在100歳を超える人は約6万7千人となり,最多になったと伝えられています.益々元気で現役時代と変わらず就業されている方が増えている一方で,認知症を発症したり,うつ病などのメンタルに問題を抱える方も増えています.また,末期腎不全透析療法患者さんも高齢化がすすみ,筋力や栄養状態の低下により透析のための通院が厳しくなっている方も多くなってきました.それらのため,精神科(メンタル)病棟や長期療養病棟に入院しなくてはならない人やさまざまな介護サービス(訪問介護・看護,デイサービス,特別養護老人ホームなど)を必要としている人も増えています.一方,医療現場に電子カルテが導入されるようになり,IT機器を駆使しなくてはなりません.また,AI(人工知能)を診断と治療に応用する時期に来ています.
そうした医療環境のなかで,チーム医療の担い手として勤務する看護師の果たす役割は,一層複雑になっています.今回,慢性期病棟・血液透析室での看護業務に注目し『メディカルスタッフのための医療禁忌なるほどブック』を刊行することになりました.禁忌の一般事項(確認,心のケア)をまとめたうえで,処方・注射,検査,処置,血液透析医療に分け,禁忌事項となぜ行ってはいけないのかを臨床現場から解説いたしました.本書が慢性期病棟と血液透析室での診療のリスクマネジメントにお役立ていただければ望外の喜びです.また,急性期・亜急性期(回復期)の外来・病棟でも活用できると思います.執筆内容の過不足もあろうかと思いますので,読者の皆さまのご意見をいただければ幸いです.
最後に,ご多忙ななか編集者としてご協力いただきました医療法人社団松和会池上総合病院 佐藤美加看護部長,ご執筆いただきました医師,看護師,薬剤師ならびにご協力いただきました臨床工学技士・放射線技師の皆さま,本書の刊行にご尽力いただきました中外医学社の皆さまに厚く御礼申し上げます.
2018年初夏
編集者を代表して
富野 康日己
目次
I 共通事項
A.確認
・自分だけの判断で物事を処理してはならない
・指示を実施したら,必ずその場で,実施済みのサインをしなければならない
・「山田さん」と呼んで患者さんが「はい」と返事をしても,その患者さんが山田OOさんだと思い込んではならない
・緊急時の口頭指示では,復唱と確認を怠ってはならない
・患者さんの治療内容や個人情報を,むやみに口に出したり他言したりしてはならない
・携帯電話やスマートフォンは,院内の指定されたエリア以外で使用してはならない
・日常の業務のなかで「おや?」「何かおかしい?」と感じたことを,そのままにしてはならない
・病(医)院のなかで盗難事件などが発生するはずはないと思ってはならない
・患者さんは看護師の思ったとおりに説明を理解したり,行動すると思い込んではならない
・危険物をベッドサイドに置いてはならない
・軽い転倒では骨折しないと,思い込んではならない
B.心のケア
・せん妄の患者さんに対して,安易に身体拘束を行ってはならない
・抑制指示のある患者さんでは抑制を解除したまま,ベッドサイドを離れてはならない
・精神科病棟に入院中の患者さんが興奮しているからといって,看護師だけの判断で身体を拘束したり部屋に鍵をかけたりしてはならない
・認知症の患者さんを安易に身体拘束してはならない
・認知症の患者さんに否定や叱責をしてはならない
・抑うつ状態やうつ病の患者さんを,励ましてはならない
・精神疾患をもつ患者さんの家族に対し,精神的なサポートを忘れてはならない
・拒食症の患者さんの言動すべてを信じきってはならない
・がん患者さんを,1人で悩ませてはならない
・終末期の患者さんには,否定や安易な肯定をしてはならない
II 処方・注射
・医師の処方があったからといって,食物アレルギーや薬物アレルギーの既往を問診せずに薬剤を投与してはならない
・医師からの注射・投薬(注射,内服,パッチなど)の指示であっても,用量や単位に疑問をもったまま投与してはならない
・薬剤を準備するときは,1つの名称が1種類の薬剤しかないと,思い込んではならない
・薬剤の準備では,外観が似た薬剤との取り違えを起こしてはならない
・毒薬,麻薬,向精神薬は,ほかの薬剤と一緒に保管・管理してはならない
・麻薬の空アンプルや残薬は,廃棄してはならない
・インスリン用注射器と1mL注射器を間違えてはならない
・経腸栄養剤を静脈ルートから注入してはならない
・抗がん薬の調整や点滴ボトルへの注入は,防護などの曝露対策をせずに行ってはならない
・カルシウム製剤と炭酸水素ナトリウムは,静脈内投与の際に混合してはならない
・脂肪乳剤を速い速度で投与してはならない
・脂肪乳剤はフィルターを通して投与してはならない
・採血や注射の後,注射針にリキャップをしてはならない
・内服薬を,安易に水以外の飲み物で服用させてはならない
・ステロイドや降圧薬,抗てんかん薬などの薬剤は,飲み忘れがあってはならない
・点滴の滴下数は,体位変換や体動により変化することを忘れてはならない.つまり,点滴の滴下数を一度調節したからといって,同じ速度で滴下し続けていると思ってはならない
・輸液が滴下しない場合には,フラッシュをしてはならない
・ダブルバッグ製剤で隔壁を開通させないまま投与してはならない.必ず2槽を混合してから投与しなければならない
・輸液や輸血をしている側では,採血をしてはならない
III 検査
・内服薬も中止になると考えてはならない
・消化管穿孔や大腸の通過障害・穿孔が疑われる患者さんには,バリウムによる造影検査をしてはならない
・MRI検査では,磁気や電磁波の影響を受ける金属類を挿入した患者さんを入室させてはならない
・MRIに対応していない心臓ペースメーカーの植え込み患者さんをMRI検査室に入れてはならない
・腰椎穿刺検査直後の患者さんに,坐位や歩行を許可してはならない
・救急で患者さんの検査を行う場合は,個人防護具(personal protective equipment:PPE)を使用し,標準予防策を怠ってはならない
・誤嚥した患者さんは,その後も注意深い観察を怠ってはならない
IV 処置
・閉塞の有無の管理を怠ってはならない
・挿管時,スタイレットの滑りをよくする目的で気管チューブにリドカイン(キシロカイン®)スプレーを噴霧してはならない
・口腔内を吸引したチューブで気管内を吸引してはならない
・気管チューブのカフ圧は,むやみに上げてはならない
・気管内の吸引は,2時間おきなどのルーチンとして行ってはならない
・高濃度の酸素は,長時間投与してはならない
・患者さんの血液や体液に接触・曝露する可能性がある場合には,標準予防策を怠ってはならない
・義歯の確認をしないで,高齢者に人工呼吸を行ってはならない
・寝たきりの患者さんや人工呼吸管理中の患者さんの義歯は不潔にしてはならない
・傾眠状態や意識レベルが低下している患者さんに,義歯を装着させてはならない
・絶食・経管栄養の患者さんには口腔ケアが不要と思い込んではならない
・口腔内の消毒は,むやみに行ってはならない
・口腔ケアは,マスク,手袋,ゴーグルを着用せずに行ってはならない
・口腔ケアは,口腔内が乾燥した状態で行ってはならない
・舌苔は,無理やりこすり落としてはならない
・嚥下障害の患者さんの食事では,食物を多量に口腔内に入れてはならない
・長期臥床の患者さんに対し,深部静脈血栓症の予防を怠ってはならない
・胸腔ドレナージでは,水封室のエアリークのサインや呼吸性移動の消失を見逃してはならない
・発赤を,軽度の褥瘡と思ってはならない
・脆弱な皮膚の患者さんに包帯交換を行う場合は,皮膚に直接テープを貼ってはならない
・天疱瘡の包帯交換では,皮膚に直接テープを貼ってはならない
・疥癬の患者さんに直接接触してはならない
・ヨード過敏の既往のある患者さんに,ポビドンヨードで皮膚の消毒をしてはならない
・便秘の患者さんに,安易に下剤の服用を勧めてはならない
・重度の便秘の患者さんに,安易に浣腸してはならない
・浣腸液は,温めずに注入したり,急速に注入してはならない
・高齢者には多量の浣腸液を用いた浣腸を行ってはならない
V 血液透析療法に関する禁忌・注意事項
・発熱や下痢・嘔吐の症状がある患者さんは,医師の許可なしに透析室へ入室させてはならない
・シャント(ブラッドアクセス)肢での血圧測定やシャント肢に腕時計をしたり重い荷物をかけたり,腕枕などでシャント肢に負担をかけてはならない
・シャント穿刺時に,動脈を誤穿刺してはならない
・動脈を穿刺した場合の抜針時は,いつもと同じように抜針してはならない
・血管確保後,血液回路をつなげる時は脱血(動脈)側(A)と返血(静脈)側(V)を逆に接続してはならない
・透析患者さんには,薬剤の種類によっては減量しなければならない
・透析中の濃厚赤血球(RBC-LR)の輸血は,血液回路の静脈側から注入してはならない
・透析中,血液回路から輸液(抗菌薬を含む)を投与する場合は,血液回路の動脈側(A)から注入してはならない
・出血傾向のある患者さんに,抗凝固薬であるヘパリンを使用してはならない
・ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)抗体陽性の患者さんには,抗凝固薬のヘパリンを使用してはならない
・メチル酸ナファモスタット製剤によるアナフィラキシーショック出現時は,返血をしてはならない
・積層型ダイアライザーを使用の場合は,メチル酸ナファモスタット製剤を使用してはならない
・積層型ダイアライザーの使用時は,ACE阻害薬を使用してはならない
・透析中には,過度な除水をしてはならない
・透析終了1時間前以降に血圧低下が発生した場合は,昇圧目的で10%NaClを注入してはならない
・透析中,血圧が低下している場合はトイレ離脱をしてはならない
・透析開始後の血液回路からの採血は,静脈側サンプリングポートから実施してはならない
・抗凝固薬投与後に,凝固系検査の採血をしてはならない
・透析患者さんには,通常の血液検査の基準(正常)値をあてはめてはならない
・透析中は,患者さんの自己抜針を見逃してはならない
・透析患者さんに,MRIの造影剤(ガドリニウム造影剤)を投与してはならない
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書籍情報
- ISBN:9784498175006
- ページ数:122頁
- 書籍発行日:2018年6月
- 電子版発売日:2018年10月5日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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