イラストで理解する みんなの血液内科学

  • ページ数 : 220頁
  • 書籍発行日 : 2018年7月
  • 電子版発売日 : 2018年9月7日
5,500
(税込)
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商品情報

内容

イラストを眺めるだけでも基本が学べる!

主に医学生を対象に「血液学の面白さ」「血液学の病態生理」など、要点をわかりやすく伝えたいという著者の思いが詰まった一冊。病態生理から疾患まで、著者の経験から生まれたツボを押さえた工夫と解説で血液内科学の基本がマスターできる好書!

■関連書籍
血液内科 ただいま診断中!

序文

はじめまして.埼玉医科大学総合医療センター血液内科の渡邉と申します.

この度,2 冊目の本を執筆させていただけることになりました.前作である『血液内科 ただいま診断中!』は医師,特に若手医師や非血液専門医の先生を主な対象として「診断学」を中心に記述しました.多くの先生の手に取っていただき,お役に立っているということで大変嬉しく思っております.

2 冊目の本は主に医学生を対象に「血液学の面白さ」「血液学の病態生理」などの要点をわかりやすく伝えたいと考え,書かせていただきました.特に母校の血液内科で学生に指導をしながら,「こういうところの理解が足りない」「このような勘違いを学生はしている」ということを多くの学生に還元したいと思い作成しました.

執筆にあたり,いくつかの学生向けの教科書を購入して読みましたが,わかりやすいものの情報が多く,初学者・学生には確かに難しいかもしれないと思いました.また,血液内科は新しい薬が続々開発されるなど治療の進歩が早く,教科書の記載と実際に病棟でみる治療法が異なっているということも学生が混乱する理由になるようでした.

この教科書は実臨床でも役立つようにという考えで作成すると同時に,医学生時代に国試対策委員長として国家試験対策を行った経験から,「国家試験」にも役立つ本を執筆したつもりです.理解しやすく,狙った知識が比較的簡単に手に入ることを狙いとして,1 項目1 ページまたは2 ページで,知りたい内容がそこにあるような形にしました.そして半分はイラストにすることで気楽に読めて,理解しやすくしたいと考えました.

その狙いは血液内科を学び始めた医学生が「頭でイメージしやすい」ようにすることで,血液内科という分野がそれほど難しくなく,考え方によっては楽しいことを伝えることです.わかりやすくするために,細かい内容を省いて大まかな記載をしているところもあります.むしろ単純化することを心がけました.この本だけでも国家試験に必要な知識は網羅しますが,大筋を理解できることが最大の目標です.この本で「他の教科書が読みやすくなる」ようになればと思っています.そして血液内科という領域を理解し,楽しむ助けとなる本になれば幸いです.


2016年1月

熊本大学大学院生命科学研究部放射線診断学分野
山下 康行

目次

総論

1 血液内科とは

2 血液内科の楽しさ

3 ベイズの定理と診断学

4 血液内科における診断学

5 血液内科の治療

6 血液とは

7 血球分離と末梢血検査

8 赤血球について

9 赤血球の膜蛋白とヘモグロビン

おまけ1 腫瘍の免疫回避機構

10 鉄代謝とヘプシジン

11 白血球の分類

12 顆粒球の機能と機能異常

13 単球・マクロファージの機能・分布・機能異常

14 リンパ球の機能と機能異常

15 T細胞レセプター・B細胞レセプター・免疫グロブリンの多様性

16 血小板とその機能

17 血小板機能不全と抗血小板薬

18 凝固系と二次止血

19 抗凝固と線溶系

20 骨髄と造血機能

21 造血幹細胞と血球分化

おまけ2 造血ニッチ

22 胸腺・脾臓・リンパ節の構造と機能

23 リンパ節におけるリンパ球活性化の仕組みと悪性リンパ腫

症候学・診断学

24 貧血

25 出血傾向

26 リンパ節腫脹

27 脾腫

28 血栓症

おまけ3 CAR‒T

29 末梢血血球算定と血液像検査

30 骨髄穿刺と骨髄生検

31 リンパ節生検の適応と検査項目

32 フローサイトメトリー(表面マーカー)の原理と見方

33 重要な細胞表面マーカー(学生でも覚えておいたらよいもの)

34 フローサイトメトリーの目的

35 染色体分析(G分染法とFISH法)

36 有名な染色体異常とその面白さ

37 遺伝子検査(特にサザンブロットとPCR)

38 遺伝子検査(遺伝子変異解析やマイクロアレイ,次世代シーケンサーなど)

39 HLA検査

40 血小板機能検査とクロスミキシングテスト

41 血液内科における画像検査

おまけ4 FLT3変異

治療

42 抗癌剤総論

43 一般的な血液抗癌剤治療の考え方

44 放射線治療(放射線免疫療法を含む)

45 免疫抑制療法の考え方

46 輸血療法,ヒト血液由来成分の補充療法

47 サイトカイン療法

おまけ5 抗体医薬あれこれ

48 感染症治療と予防(発熱性好中球減少症を中心に)

49 造血幹細胞移植の考え方

50 自家移植と同種移植(ドナーソースも併せて)

51 急性GVHDと慢性GVHD

赤血球系

52 鉄欠乏性貧血の診断

53 鉄欠乏性貧血の原因と治療

54 小球性貧血の鑑別と鉄代謝マーカー

55 巨赤芽球性貧血の症候と診断

56 ビタミンB12欠乏性貧血の治療と経過観察

57 溶血性貧血とその診断

おまけ6 NF‒kBシグナル

58 溶血性貧血の病型診断

59 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の特徴と治療

60 溶血性貧血+血小板減少(Evans症候群かTTPか)

61 発作性夜間血色素尿症(PNH)の原因と診断

62 PNHの症状と治療

63 遺伝性球状赤血球症(HS)とは

64 その他の国試対策用の遺伝性溶血性貧血

65 造血不全の疾患

66 赤芽球ろうとは

67 再生不良性貧血(AA)の病態

68 AAの診断と重症度

69 AAの治療

70 骨髄異形成症候群(MDS)とは

71 MDSの症候と診断

72 MDSの病型分類

おまけ7 Clonal Hematopoiesis of Indeterminate Potential(CHIP)

73 MDSに特徴的な異形成(カテゴリーAの異形成を中心に)

74 MDSに特徴的な染色体異常と遺伝子異常

おまけ8 MDSのドライバー変異

75 MDSの予後

おまけ9 エピジェネティック,RNAスプライシングなど

76 MDSの治療の基本

77 低リスクMDSの治療

78 高リスクMDSの治療

おまけ10 5q‒症候群

白血球系

79 急性白血病と慢性白血病

80 急性白血病とは

81 急性白血病の治療

82 急性白血病に対する抗癌剤治療と支持療法

おまけ11 チロシンキナーゼ

83 急性骨髄性白血病(AML)と急性リンパ性白血病(ALL)

84 AMLの発症メカニズムと遺伝子変異

85 反復遺伝子異常を伴うAML

おまけ12 MAPキナーゼカスケード

86 AMLの予後評価

87 急性前骨髄球性白血病(APL)とその治療

88 CBF白血病の治療

おまけ13 家族性造血器腫瘍

89 その他のAMLの治療

90 ALLの分類と治療

91 慢性骨髄性白血病(CML)とその特徴

92 CMLの症状と検査結果・リスク分類

93 CMLの治療薬

94 CMLの治療反応性

95 骨髄増殖性腫瘍(MPN)とは

96 真性多血症(真性赤血球増加症: PV)とは

97 PVの治療

98 本態性血小板血症(ET)とその治療

99 原発性骨髄線維症(PMF)の特徴と治療

おまけ14 JAK/STAT経路

100 好酸球増加症候群(HES)と関連疾患

101 慢性リンパ性白血病(CLL)と類縁疾患

102 CLLの診断と病期・予後分類

おまけ15 B細胞受容体とブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)

103 CLLの治療

104 悪性リンパ腫とは

105 悪性リンパ腫の診断と病期診断

106 CHOP療法とサルベージ治療

107 低悪性度リンパ腫とは

108 低悪性度リンパ腫の予後指標

109 MALTリンパ腫とその治療

110 濾胞性リンパ腫の治療

111 LPL/WMについて

おまけ16 アポトーシスシグナル(BCL‒2)

112 中等悪性度非ホジキンリンパ腫とは

おまけ17 MYD88

113 DLBCLの予後指標と予後因子・治療

114 MCLの予後と治療

おまけ18 サイクリンなど

115 高悪性度リンパ腫とは

116 T細胞リンパ腫

117 PTCLについて

118 ATLLの特徴

おまけ19 c‒Mycに関して

119 ATLLの分類と治療

120 HTLV‒1キャリア対策

121 ホジキンリンパ腫とは

122 多発性骨髄腫とは

123 骨髄腫の多段階発癌と染色体異常

おまけ20 免疫チェックポイント阻害薬

124 骨髄腫の病期分類と予後

125 多発性骨髄腫の治療(ボルテゾミブとレナリドミド)

126 多発性骨髄腫の新薬

127 形質細胞が関与する疾患(POEMS症候群と原発性アミロイドーシス)

128 血球貪食症候群(HPS)とは

129 リンパ節腫脹をきたす良性疾患(キャッスルマン病など)

おまけ21 ユビキチンとプロテアソーム

130 伝染性単核球症(IM)の診断と抗原・抗体の推移

おまけ22 IMiDsのメカニズム

止血血栓

131 特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(ITP)の病態と治療の原則

132 ITP治療の流れと治療薬のメカニズム

133 播種性血管内凝固(DIC)とそのメカニズム

134 DICの診断と治療

おまけ23 p53シグナル

135 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)

136 溶血性尿毒症症候群(HUS)と非典型HUS(aHUS)

137 血友病

おまけ24 学生向け医療統計

138 von Willebrand病(vWD)

おまけ25 P値,信頼区間

139 抗リン脂質抗体症候群(APS)

おまけ26 相関,寄与率,多変量解析

140 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)

おまけ27 生存曲線

141 血栓症を起こす先天性疾患


参考文献


あとがき


索引

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書籍情報

  • ISBN:9784498225107
  • ページ数:220頁
  • 書籍発行日:2018年7月
  • 電子版発売日:2018年9月7日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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