しびれが診える−エキスパートのアプローチ

  • ページ数 : 263頁
  • 書籍発行日 : 2020年3月
  • 電子版発売日 : 2020年4月10日
4,620
(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 252pt ( 6 %)
m3ポイント:1%相当 point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

Commonな訴えのひとつであるしびれ感.一見単純だが実は複雑な症状のため,アプローチに難渋することがあるのではないだろうか.本書では、部位による鑑別診断を整理し,各領域のエキスパートが,しびれ感の正確な理解と適切な対応を解説した.日常診療に役立つ知識が網羅された充実の一冊だ.

序文

しびれ感は最もcommonな症状・訴えであり,主訴として脳神経内科・脳神経外科・整形外科さらには一般内科あるいは総合診療科を受診する患者はきわめて多い.しかし,しびれ感は,患者の訴えとして正確に把握することが困難であったり,身体部位によって原因が異なり多岐にわたることが多かったり,意外にアプローチに難渋することの多い症状である.

しびれ感は,感覚神経の陰性徴候としての「感覚低下」あるいは「感覚鈍麻」と,逆に自発的に異常感覚が発生する感覚神経の陽性徴候としての「異常感覚」がある.異常感覚には,感覚過敏(hyperesthesia),異常感覚(dysesthesia),錯感覚(paresthesia)などが含まれる.ただし,異常感覚(dysesthesia),錯感覚(paresthesia)については,現状では用法が一定せず,定義が確定していない.「日本神経学会用語集 改訂第3版(日本神経学会用語委員会 編)」においては,日本語の異常感覚および錯感覚と海外(英語圏)ではその逆のニュアンスで使用されていることから,dysesthesia,paresthesiaに対し異常感覚,錯感覚のいずれかを対応させることはしない,としている.症状が一般的であるが故に,その表現方法がむしろ複雑化しているという一例であろう.

本書では,しびれ感という訴えを正確に理解し,その部位による鑑別診断を整理して日常診療に役立つハンドブックとすることを目的とした.このような状況を踏まえ,しびれ感の全貌を俯瞰し理解していただくために,しびれ感の意味と意義,原因と病態,診断へのアプローチの仕方,疾患総論,発症の病態生理そしてしびれ感の評価法,そして,縦断的に主要疾患における特有のしびれ感,横断的に身体各部位におけるしびれ感について,それぞれ本領域の専門家に執筆していただいた.

本書により,読者の方々には,しびれ感という一見単純で実は複雑な訴えを正確に理解し,その出現身体部位における鑑別診断を行い,個々のしびれ感に適切に対応し,患者の苦痛を軽減しうるようになっていただけることを願ってやまない.また,脳神経内科専門医,脳神経外科専門医あるいは総合診療専門医の方々においても,しびれ感の多様性を再認識されることを期待したい.


2020年3月吉日

医療法人社団健育会 湘南慶育病院院長
慶應義塾大学名誉教授
鈴木 則宏

目次

A しびれ感総論

1.しびれ感の意味と意義

「しびれ/しびれ感」の意味

しびれ感の意義

2.しびれ感の原因とその出現機序(しびれ感出現の機序について)

しびれ感の原因

しびれ感の病態・出現機序

3.しびれ感を呈する疾患

"しびれ感"のメカニズムと病巣部位

神経学的感覚検査の概要と留意点

4.しびれ感発症の解剖と病態生理

しびれの発生機序

しびれの分布と神経障害部位との関係

5.しびれ感の評価

病歴

神経学的所見

補助検査

B 主要疾患としびれ感,その対応

1.脳血管障害

脳血管障害としびれ感の疫学

神経学的所見:感覚障害の分布と病巣

脳血管障害の病巣

治療と予後

2.脊髄腫瘍・脊髄血管障害

脊髄病変による感覚障害

脊髄腫瘍

脊髄血管障害

しびれ感,慢性疼痛に対する治療

3.脊髄空洞症

Syrinxの発生機序

成因に基づく分類

疫学および自然史・治療

「宙づり型」解離性感覚障害

「タマネギ皮型(Balaclavaヘルメット型)」感覚障害

延髄空洞症

4.多発性硬化症/視神経脊髄炎および脊髄炎

一般的なしびれのメカニズムについて

MS/NMOSDにおけるしびれの責任病変と病態

MS/NMOSDにおけるしびれの性状

MS/NMOSD以外の脊髄炎

治療

5.パーキンソン病

感覚障害としての痛み

痛み・しびれ感などの感覚障害の病因・病態

しびれ感,痛みなどの感覚障害への対応

6.ALS

ALSの診断基準における感覚障害の位置づけ

ALS患者における自覚的感覚症状,感覚障害所見

ALS以外の病態が存在している可能性

ALSにおける感覚障害

7.糖尿病性ニューロパチー

病型分類

症候と病態

病理所見

治療

8.GBS/CIDP/抗MAG抗体関連ニューロパチー

Guillain--Barré症候群

GBSにおけるしびれ感

GBS特殊病型等におけるしびれ感

GBSにおけるしびれ感の治療

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎

CIDPにおけるしびれ感

CIDPにおけるしびれ感の治療

抗myelin--associated glycoprotein(MAG)

抗体関連ニューロパチー

抗MAG抗体関連ニューロパチーにおけるしびれ感

9.Small fiber neuropathy

疫学

病態

臨床的特徴

検査 

診断の実際

治療の実際

10.遺伝性ニューロパチー

疫学と臨床症状

CMTの痛み・しびれ感

CMTの痛み・しびれ感の治療法

11.アミロイドニューロパチー

遺伝性ATTRアミロイドーシス

野生型ATTRアミロイドーシス

(老人性全身性アミロイドーシス)

免疫グロブリン軽鎖(AL)アミロイドーシス

β2--ミクログロブリン(Aβ2M)アミロイドーシス

C 部位によるしびれ感とその対応

顔面

1.三叉神経障害

三叉神経の解剖

顔面のしびれ感の診察

顔面のしびれ感の鑑別

Numb chin症候群


上肢

2.頸椎疾患(頸椎神経根症,頸椎症性脊髄症)

〈石塚直樹 工藤雅子 前田哲也 寺山靖夫〉

"しびれ"の診察

頸椎神経根症

頸椎症性脊髄症

治療とその効果判定

3.腕神経叢障害

腕神経叢に関連する表在神経

電気生理診断の原則

腕神経叢と関連し,しびれをきたす病態

症例

4.圧迫性(絞扼性)ニューロパチー

胸郭出口症候群

手根管症候群

前骨間神経麻痺

肘部管症候群

ギオン管症候群

橈骨神経麻痺

後骨間神経(PIN)麻痺


下肢

5.腰椎疾患

腰椎疾患による下肢しびれ 

代表的な腰椎疾患 

6.圧迫性(絞扼性)ニューロパチー(外側大腿皮神経痛,

梨状筋症候群,大腿神経絞扼障害,閉鎖神経症候群,他)

外側大腿皮神経痛 

梨状筋症候群

大腿神経絞扼障害

閉鎖神経症候群

7.下腿を中心としたしびれ感(伏在神経障害,腓骨神経障害,

浅腓骨神経障害,外側腓腹皮神経障害)

伏在神経障害

腓骨神経障害

浅腓骨神経障害

外側腓腹皮神経障害

8.足を中心としたしびれ感(前足根管症候群,モートン神経腫,

足根管症候群)

足根管症候群の概念

前足根管症候群(ATTS)

後足根管症候群(PTTS)

モートン神経腫(モートン病,モートン中足痛)

9.Restless legs症候群(異常感覚)

RLSの異常感覚の多様性とその範囲

脳血管障害後のRLS/RLS亜型

Painful form RLS

痛みの受容と伝達

RLSにおける異常感覚の病態機序

オピオイド,ドパミン,鉄,グルタミン酸,

アデノシンの関与

幻肢のRLS


索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:10.8MB以上(インストール時:27.6MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:43.2MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:10.8MB以上(インストール時:27.6MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:43.2MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784498328501
  • ページ数:263頁
  • 書籍発行日:2020年3月
  • 電子版発売日:2020年4月10日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。