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- 実験医学別冊 マウス表現型解析スタンダード
商品情報
内容
「いち早く表現型を知りたい!」「何から始めたらいいかわからない…」「どの系統を使えばいいんだろう?」に応えます。効率的な表現型解析のノウハウを集約した決定版!ゲノム編集時代の必読書!
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序文
プロローグ
ヒトやマウスの全ゲノム配列が解き明かされた今,二万数千ともいわれる遺伝子(タンパク質をコードしていないものを含むともっと多い)の機能を明らかにすることが,生命科学研究の大きな課題である.遺伝子機能を調べるには,試験管・細胞レベルでのアプローチが重要であることは疑う余地がないが,やはりダイナミックな高次生命現象を解き明かすには,動物個体を用いたアプローチが必要となる.マウスは,遺伝的に均一な近交系が古くから数多く樹立されており,表現型から原因遺伝子を特定する順遺伝学と同時に,遺伝子を改変して表現型との関連を明らかにする逆遺伝学のアプローチもさかんである.また,早くにES細胞が樹立されたこともあり,相同組換えによる標的遺伝子改変が可能である.2007年にノックアウトマウス技術にノーベル生理学・医学賞が授与されたことは記憶に新しい.まさにマウスは哺乳類を代表する実験動物である.
さらに最近では,黒船襲来ともいうべきゲノム編集技術が生み出された.ゲノム編集技術とはDNA二本鎖の切断と修復を利用した遺伝子改変技術であり,単なる遺伝子破壊だけでなく,点変異や外来遺伝子の導入など,一塩基レベルから染色体レベルまで任意の遺伝子改変ができる夢のようなツールである.なかでも2013年のはじめに,RNAにより標的配列を認識するCRISPR/Cas9システムが報告されて以来,爆発的に利用が広がっている.産学を問わず期待されるところも大きく,わが国でも日本ゲノム編集学会が設立され,第1回大会が2016年9月に広島で開催された.
しかしどんなに簡便にマウスの遺伝子改変が行えるようになっても,目的遺伝子の機能を特定し,ヒト疾患の病態モデルとして解析を行うことは容易ではない.マウスは私たちのように身体の不調を伝えてはくれない.見た目は全く正常で,ある条件下においてのみ異常な所見を示す場合もある.そして,それらの表現型に影響を与える要因は山のようにあるのが現実だ.そこで本書は,医学・生命科学系の学生・若手研究者が,この好機を逃さずにゲノム編集を活用したマウス逆遺伝学をはじめる際の入門書となることを期待して編集した.なお動物実験を行う際には,動物福祉の観点を忘れてはならない.尊い犠牲のうえに成り立つ研究であることを忘れずに,逆遺伝学アプローチによくみられる予期せぬ表現型を見落とさず,医学・生命科学研究の未来を切り開いていただきたい.本書の趣旨に賛同しご協力いただいた多くの先生方,羊土社編集部の皆様に心より感謝いたします.
2016年10月
編者一同
目次
プロローグ
概論①マウス表現型解析の前に考えるべきこと 効率的で美しいマウス実験のために
概論②動物愛護管理法・倫理的な動物実験
第1章 マウスを知ろう
1 実験用マウスの起源とマウス遺伝学
2 さまざまなマウス系統 遺伝的多様性と表現型への影響
3 マウスの解析に役立つデータベース・ウェブツール
4 マウスとヒトの違い
5 ヒト化マウス
6 疾患モデルマウス 分類と特徴,使用上の注意点
column① ヒト疾患モデルとしてのラットの利点
第2章 遺伝子改変マウスを創ろう
1 遺伝子改変マウス作製の歴史とその方法
2 ゲノム編集技術を使った遺伝子改変マウスの作製
3 遺伝子型とジェノタイピング
4 遺伝子組換え実験にかかわる法令
column② CRISPR/Cas9に関する特許と法律
column③ ウイルスベクターとゲノム編集
第3章 マウスをみよう
1 マウス表現型情報を正しく伝えるために
2 目視による観察:Modified-SHIRPA法
3 血液検査 血算検査と生化学検査
4 組織学的解析
5 イメージングによる形態解析 X線micro-CTを用いた形態イメージング
6 胚性致死(胎生致死)
7 行動解析 遺伝子の脳機能における役割を探索するための網羅的行動テストバッテリー
第4章 マウスを詳しく調べよう
臓器・器官別解析
1 骨組織系の表現型解析
2 骨格筋の表現型解析
3 循環器系の表現型解析
4 消化管系の表現型解析 特に腸管炎症と腸内環境について
5 神経系の表現型解析
6 造血器系の表現型解析
7 免疫系の表現型解析
疾患・現象別解析
8 生殖不全の表現型解析
9 がんの表現型解析
10 病原体感染の表現型解析
11 肥満と糖尿病の表現型解析
12 老化の表現型解析
13 着床前後の胚発生の表現型解析
14 エピゲノム異常が疑われる際の解析方法
15 睡眠と覚醒の表現型解析
第5章 表現型へ影響を与える要因を知ろう
1 飼育環境と実験再現性
2 日内変動・生物リズム 体内時計と表現型
3 常在細菌の多様性とその影響
column④ マウスを用いた日本発の宇宙実験
第6章 マウスを育てよう
1 繁殖と維持,系統管理
2 胚および配偶子の凍結・冷蔵保存とその応用
3 顕微授精・核移植クローン技術 配偶子・体細胞からの産仔作出
第7章 解析に役立つリソース
1 系統共有のためのリソース機関 理研BRCを例に
2 熊本大学CARDマウスバンクシステム
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書籍情報
- ISBN:9784758101981
- ページ数:351頁
- 書籍発行日:2016年11月
- 電子版発売日:2018年5月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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