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- 足部・足関節痛のリハビリテーション
商品情報
内容
序文
序
私が足関節・足部疾患の講演をすると,初学者から以下に示すご質問をいただくことがあります.「歩行時に円滑な蹴り出しを促通するにはどうすればよいですか?」「足関節の不安定性を改善するにはどうすればよいですか?」などです.これらの質問に対して,私は「足関節・足部の可動域制限は回復していますか?」と逆に聞き返します.すると,大抵の方は「可動域制限はまだ残っています」と返答します.しかし,先程のご質問の内容を改善させるには,適切な可動域が獲得されていることが条件であり,それが達成することでようやく適切な蹴り出しや安定性・支持性を高めることが可能となります.
また,「スポーツ動作を改善するにはどうすればよいか?」とのご質問もよくいただきます.スポーツ動作は日常生活で行われる一般的動作よりも難易度がはるかに高く複雑ですので,基本的な歩行や立ち上がり動作を改善できるスキルがなければ難しいでしょう.スポーツ障害の1 つである捻挫は,たとえテーピングをして修復期間を待っても,再断裂や疼痛が残存する可能性があります.このような症例を詳細に観察すると,第三腓骨筋腱・背側立方靭帯・踵立方靭帯,足根洞などの圧痛,ショパール関節の回外拘縮,距腿関節の底屈拘縮など,多くの機能障害が存在します.もし,「捻挫後のスポーツ復帰のタイミングはいつからか?」とご質問をいただいた場合は,「これらの機能障害の回復に合わせて段階的な復帰をさせる」と返答をします.これらの回復が十分でない段階で,時期がきたため完全復帰させているケースが多いのが現状です.機能回復が十分でない段階での完全復帰は,パフォーマンスを十分に発揮できず,再断裂や疼痛の慢性化の要因となります.
初学者が足関節・足部疾患のリハビリテーションを悩むことが多いのは,足関節・足部の可動域制限が残っているなかで次のステージに進んでしまっているからです.足関節・足部の可動域制限を回復できれば,足部内在筋の強化,パフォーマンスの向上,足底挿板の作成などが容易となることが多いのです.焦らずにまずは1 つひとつの筋肉・靭帯・関節包の伸張性や滑走性を改善させることに専念してみてください.この書籍は,初学者が目の前にいる患者さんの機能を回復させる王道として作成をしました.また,触診技術はセラピストにとって最も重要です.運動器機能解剖学的研究所の林典雄 先生は私の恩師であり,セラピストを中心に触診セミナーを行っています.初学者は触診技術を高めることが大切ですので,ご参加することをお勧め致します.また私が所属している整形外科リハビリテーション学会の理事の先生方は日本を代表するスペシャリストです.全国研修会を各地域で行っていますので,これに参加することも触診技術を高めるのに有効です.
膝や股関節の症状について,運動連鎖を含めて観察する能力を高めることも大切です.園部俊晴 先生は私の友人であり,運動連鎖から力学を中心とした運動療法のセミナーを行っています.運動連鎖を診るだけでなく足底挿板を用いて瞬時に治す技術をもつ園部先生は,間違いなく日本を代表するスペシャリストです.足関節・足部疾患に対するリハビリテーションの報告は多く,書籍も数多く出版されています.足関節・足部には複数の関節が存在するため,関節運動も複雑ですし,その分,筋肉や靭帯が豊富にあります.そのため,覚える用語が多いのも事実であり,足関節・足部を苦手とする初学者は少なくないのが現状です.この書籍は,このような苦手意識をもつ若手セラピストが,理解しやすい内容に仕上げようと試みました.できるだけ難しい用語や表現は避けています.
しかし運動器を専門とするセラピストは,目の前にいる症例をしっかりと治さなければならず,そのためには機能解剖の知識は必要となります.また,その知識をベースとした適切な評価と,得られた情報に基づいた的確な運動療法を実施しなければなりません.この書籍は,そのようなセラピストのバイブルになることを期待して作成しました.最後に,今回この書籍の企画を私に依頼していただいた羊土社編集部の鈴木美奈子さん,粘り強く私と付き合っていただいた横内和葉さん,整形外科リハビリテーション学会の理事の先生方,症例のまとめや写真撮影を手伝っていただいた医療法人さとう整形外科の小瀬勝也先生をはじめとしたスタッフの皆さまには本当にお世話になりました.この場をお借りして深謝を申し上げます.
2020年2月
さとう整形外科
赤羽根良和
目次
第1章 解剖と臨床の接点
1 基本的骨格構造
2 関節構造と臨床との接点
3 筋肉の機能解剖
4 神経の解剖
5 筋区画の解剖
6 脂肪体の機能解剖
7 靭帯・関節包の機能解剖
8 滑液包の機能解剖
第2章 疼痛や可動域制限を理解するための基本知識
1 運動連鎖と足アーチ構造
2 炎症期の病態
第3章 疼痛や可動域制限に対する評価と治療
1 疼痛部位や可動域制限からみた障害部位の特定
2 グローバルな評価
①関節操作を用いた疼痛の要因の特定
②非荷重位での評価
③荷重位での評価
④足関節・足部の観察
3 ローカルな評価と治療
①求めるべき徒手療法と運動療法
②皮膚・皮下包・滑液包に対する評価と治療
③筋肉に対する評価と治療
④神経に対する評価と治療
⑤コンパートメント症候群に対する評価と治療
⑥脂肪体に対する評価と治療
⑦靭帯・関節包に対する評価と治療
第4章 ケーススタディ
Case1 下腿骨遠位端骨折〜距腿関節周囲の評価と運動療法
Case2 踵骨骨折〜距骨下関節の評価と運動療法
Case3 浅後側コンパートメントと筋断裂〜縫合術後の評価と運動療法
Case4 踵部痛〜Sever病の評価と運動療法
Case5 中足部痛〜足部底面と背面の評価と運動療法
Case6 前足部痛〜横アーチ,運動連鎖,歩行(ホイップ)の見かたとMorton病
巻末付録
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