序にかえて―がん免疫療法開発の進展と腫瘍免疫学の進歩

腫瘍免疫学とがん免疫療法の歴史

第1章 腫瘍免疫における免疫細胞と免疫分子

1 腫瘍免疫におけるT細胞―免疫疲弊とその代謝制御を中心に

2 腫瘍免疫における制御性T細胞

3 腫瘍会合性マクロファージ：生体内動態とがん治療への応用

4 腫瘍免疫における樹状細胞

5 腫瘍免疫におけるNK細胞

6 腫瘍抗原の同定・分類とネオアンチゲン―今あらためて見直される役割

7 がん免疫におけるサイトカインの二面性―サイトカインはジキルかハイドか？

第2章 がんにおける免疫病態

1 がん細胞亜集団―がん幹細胞，EMT，オートファジーの観点から―がん免疫療法の標的としての可能性

2 炎症性微小環境：発がんにおける間質細胞と上皮細胞における自然免疫反応

3 がん免疫編集機構：マウスからヒトへ

4 がん微小環境の免疫病態

5 腸内細菌叢とがん免疫

第3章 がん免疫応答の制御方法

1 がん免疫アジュバント

2 免疫制御剤① 抗がん免疫応答修飾剤としての化学療法剤

3 免疫制御剤② 化学療法剤以外の薬剤―シグナル阻害剤，IDO阻害剤，COX-2阻害剤，CSF-1受容体阻害剤など

4 抗腫瘍抗体―がん細胞に対する抗体の現状と展望

5 免疫チェックポイント阻害薬の展望と課題―抗CTLA-4抗体，抗PD-1/PD-L1抗体を例に6 がん免疫療法における共刺激因子刺激抗体の役割

第4章 各種がん免疫療法の臨床試験と実際

1 がん抗原ワクチン療法の現状と展望

2 免疫チェックポイント阻害療法① メラノーマ

3 免疫チェックポイント阻害療法② 非小細胞肺がん

4 T細胞輸注療法（TIL療法，TCR-T療法）

5 キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞療法（CAR-T細胞療法）

6 樹状細胞ワクチンと多形性膠芽腫

7 複合がん免疫療法

第5章 開発が進む多彩ながん免疫療法

1 人工抗原提示細胞による養子免疫療法におけるメモリーT細胞の増殖

2 多機能性がんワクチン細胞製剤「人工アジュバントベクター細胞」

3 がんのウイルス療法

4 γδT細胞を用いたがん免疫治療

5 頭頸部悪性腫瘍に対するiNKT細胞免疫療法

6 iPS細胞技術により再生したT細胞を用いたがんの免疫細胞療法の開発

7 iPS細胞由来の樹状細胞とマクロファージを用いたがん治療

8 ヒト型化脱フコシル抗CD4抗体IT1208の抗がん剤としての臨床開発

9 Treg細胞制御薬としてのCCR4抗体

第6章 臨床開発における重要ポイントと課題

1 がん免疫療法における免疫モニタリング

2 免疫チェックポイント阻害剤におけるバイオマーカー開発とコンパニオン診断

3 がん免疫療法の特性を考慮した治療効果判定法

4 臨床試験の特徴と今後の方向性

5 米国NCIによる免疫療法開発の取り組みと今後の方向性―複合免疫療法を中心に

おわりに がん免疫療法のこれから―複合化と個別化