心不全診療Skill Upマニュアル

  • ページ数 : 277頁
  • 書籍発行日 : 2008年10月
  • 電子版発売日 : 2012年9月29日
6,600
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商品情報

内容

心不全の基本的な考え方を、図表を豊富に用いて丁寧に解説した循環器内科後期研修医におすすめの1冊。
心不全診療を様々な角度からとらえ、特徴、診断の進め方、治療の実際とポイントを解説。さらに症例画像や具体的な薬剤処方例を豊富に掲載しているので、ぜひ診療でご活用いただきたい書籍です。

序文

はじめに

心不全は循環器疾患の共通・最終像であり,その原因は心機能の低下であることは間違いがない.とすれば,話は簡単で心機能を強心薬などで元に戻してやればいいはずである.

ところが,最近の知見からこのシナリオには2つのピットフォールがあることが明らかになってきた.1つは心不全は単純な心機能低下のみで生じているのではないこと,もう1つは心臓は全身の臓器と血管を通じてつながっているため全身の臓器の反応を考える必要があること,である.

前者は,2つの異なった事象が関係する.つまり,心機能低下は心臓のダメージで生じており,このときに強心薬を用いて心臓をたたくことは病人に鞭を打つようなものでかえって心筋のダメージを進行させてしまうことである.もう1つは,心機能低下・心拍出量低下・血圧低下に対し生体が個体存続の危機と考え,交感神経系・レニン? アンジオテンシン系・サイトカイン系・免疫系を賦活化してしまうことである.これらは短期的な生体アラームとして有効であり,通常は短時間のうちにこのアラームで生体の危機は解決できるものである.ところが,心不全はこれらで解決できないためこのアラームが長期的持続すれば生体に大きな悪影響を及ぼしてしまうのである.

後者は,心拍出が十分でないため,全身の臓器に影響が出てしまうことである.つまり腎臓・骨格筋・脳などに血液が灌流されないため,多臓器不全を生じる.また,心拍出低下を代償するため,左房圧上昇・肺血流増加・右心系への過剰な負荷・静脈系うっ滞・浮腫が生じる.これらは呼吸困難・肝臓障害をはじめとする臓器障害をつくる.これがまた心臓に悪影響を及ぼす.例えば腎機能障害により血中カリウムレベルが上昇するが,これは心筋・刺激伝導系に悪影響を与える.

つまり,心不全は十二単のように増悪因子がいくつも重なりその病態を複雑にしており,それゆえ治療として1つのパラメータを動かすとほかのものが動いて結果的に心不全を悪くすることがみられる.これが心不全の診断・治療を難しくしているわけである.しかし,ちょうどパズルを解くように論理的に考えれば解決がつくわけで,心不全のおもしろいところはこの点である.

本書は,そのパズルを解くために,心不全の専門家がその病態を修飾する因子を1つ1つ解説しどのように心不全を診断・治療すればよいのかをわかりやすく記述していただいている.本書は心不全の一般的知識を得るための心不全の教科書として棚においておくより,若手循環器内科医の研修・診療の座右の書にしていただければ幸いである.間違えやすい例,判断に迷う例も紹介されているため,さらに難しい心不全症例を受け持たれて診断や治療の壁にあたったときこそ,ぜひ活用してほしいと願っている.

2008年 9月

国立循環器病センター心臓血管内科部門
北風政史

目次

総 論

はじめに

各 論

第1章●発症パターンからみた心不全のアプローチ

1. 急性心不全

2. 慢性心不全

第2章●原因疾患からみた心不全のアプローチ

1. 弁膜症

2. 虚血性心疾患

3. 心筋症

4. 高血圧性心疾患

5. 心筋・心膜炎

6. 不整脈

第3章●病態からみた心不全のアプローチ

1. 左心不全

2. 右心不全

3. 両心不全

4. 拡張不全

第4章●体外循環・細胞移植・心臓移植

1. 体外循環

2. 細胞移植

3. 心臓移植

第5章●未来医療

1. 心不全とゲノム・分子医学

2. 心不全治療とinformatics

3. 心不全への再生医療

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784758107358
  • ページ数:277頁
  • 書籍発行日:2008年10月
  • 電子版発売日:2012年9月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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