腹部・骨盤部画像診断のここが鑑別ポイント 改訂版

  • ページ数 : 247頁
  • 書籍発行日 : 2011年3月
  • 電子版発売日 : 2013年8月22日
5,940
(税込)
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商品情報

内容

画像診断の基本を押さえたい研修医、読影に強くなりたい医師にピッタリ!の大人気シリーズ「できる!画像診断入門シリーズ」の腹部・骨盤部画像診断が電子書籍となりました。

計105項目、約800点の画像で腹部・骨盤部画像診断のポイントの「今」がわかる!

序文

改訂の序


本書初版本の序文は2006年1月に執筆している.今回の改訂まで早くも5年が経過したことになる.シリーズの監修者である土屋一洋先生の「1病変あたり見開き2ページに集約する」というコンセプトに賛同し,腹部・骨盤部領域の編集を担当するとともに自らも執筆を担当した.多数の精鋭の著者による執筆は内容がコンパクトにまとまっており,出版社である羊土社の担当の方々の表紙のアイデアや内容のレイアウトなども良くできていたため,好評を博した.関係者一同に感謝したい.

今回,改訂を行うにあたり,病変の項目を一部変更し最終的には前回よりも10項目増やした.大きく変えたところは,前回含まれていなかった男性骨盤領域を新たに加えたことである.また,改訂にあたり,図の説明文表示法や造影効果の表現法などを見直し,統一した.読者がどの項目を読んでも1冊の本として違和感のないようにしたいということが表示法統一の目的であり,各著者にはご了承を頂きながら施行した.そういった点では,1冊の本として初版よりさらに統一のとれた本に仕上がったと思っている.

種々の改訂を行い,画像診断の進歩により新たに診断上スタンダードになってきた検査法なども取り入れたが,基本的なコンセプトは改訂版でも同様である.本書のねらいは,前述したように見開き2ページの中に疾患の特徴的な画像を取り入れること,重要な画像所見を強調すること,鑑別診断を挙げるとともに画像も掲載すること,診断に有用な画像検査法の重み付けをすることなどの画像診断関連項目のほかに,疾患の概略についても記載し,2ページで類縁疾患も含めた概略の把握ができることにある.したがって,参考文献も最小限にとどめてある.疾患の詳細な把握は成書や種々の文献に譲る.

本書は,初学者である前期臨床研修医や専門医になる前の放射線科医(画像診断医)を主たる対象としているが,放射線科以外の医師や放射線科(画像診断)専門医で腹部・骨盤部を専門としない医師でも,忙しい診療や読影の合間に手にとって短時間見るだけで役に立つ内容である.それに加え,腹部・骨盤部を専門とする医師が画像所見や疾患の概略などを本書で確認することにも使用できる.

近年の画像診断検査,特にMRI,CT検査の増加をみていると,画像診断医のマンパワーの増加が急務であるとともに,正確で臨床に役立つレポートを短時間で作成する能力を養成する必要がある.そのためにも傍らに置いた本書が役に立つことを期待している.


2011年 2月

桑鶴 良平


初版の序


腹部・骨盤部領域は多くの臓器が存在し,それらの臓器には疾患が多数存在することから,日常診療においては,それらの疾患は一般的でどの科においても遭遇する.診断,治療,経過観察にCT・MR検査の果たす役割は大きく,理学的所見や血液生化学所見に異常がなくても画像上は明らかに異常所見が存在する症例も多い.

腹部・骨盤部画像診断の基礎である超音波検査や腹部単純撮影は,簡便で侵襲が少ないためスクリーニング検査としてまず施行される.これらの検査だけで胆石や尿路結石のように確定診断にいたる疾患も多数存在し,現在でも本領域の画像診断の初期検査として大きな役割を担っている.また,CTやMRの近年の急速な進歩はこれらの検査の適応疾患が大きく広がり診断能も向上したため,診断のための血管造影やERCPといった侵襲的な検査が激減した.CTやMRは腹部・骨盤部領域では病変の描出診断,拡がり診断,質的診断に役立つため多くの疾患で施行されている.一方で,CTやMRの性能の進歩により,これらを用いた画像検査の適応が広がり,撮影(像)法も多岐にわたってきたため,不必要な検査も増え,診断のための適切な検査の選択が望まれる.

そこで本書では腹部・骨盤部領域で日常臨床で遭遇することの多い疾患のなかで,画像診断の果たす役割が大きい疾患の,特徴的なCT,MR画像を中心にまとめてある.特徴としては,①多くの典型的画像を供覧するとともに非典型例や鑑別すべき疾患の画像も同時に掲載しているためより実践に役立つこと,②画像を示すだけでなく,疾患や病変についての概念や病理所見・臨床所見について特徴的なエッセンスを抽出して記述してあること,③単に疾患の画像所見を述べるだけでなく有用な画像検査とその選択法について述べていること,④診断するうえで特に重要な点をピックアップしていること,⑤最後に鑑別診断について詳細に述べていること,である.したがって見開き2ページを熟読して掲載してある画像を見ることにより,その疾患の概略が理解できるとともに,画像診断のポイントや鑑別診断となる疾患が短時間でわかるようになっている.

種々の診断機器,ソフトの開発により新しい診断情報が増え続けて膨大な量になっている現在,基本的な画像検査法・診断法を短時間で理解し修得するのは,研修医や画像を専門としない医師にとってメリットがあるだけでなく,必須となっている.

本書の使い方は,担当医として受け持った症例の腹部・骨盤部に病変があったときに,その臓器の項を探して実際の症例と照らし合わせて画像の類似点を探していくといった使い方や,まず最初から最後まで読み通して特に特徴的な画像を覚えておき,実際の症例を見て記憶のなかにある類似画像をもう一度本書から探してみるといった方法がある.

画像診断は成書を読んでしっかりとした知識を身に付けることが必要なのは言及するまでもないが,本書を読み短期間で概略を理解することが,その一助になれば幸いである.


2006年 1月

桑鶴 良平

目次

序章 腹部・骨盤部における読影と検査法の基本

1 基本的読影のポイント:CT,MR

2 検査法選択の基本

第1章 肝臓

001 肝嚢胞

002 胆管過誤腫

003 過形成性結節

004 早期肝細胞癌と異型結節

005 肝海綿状血管腫

006 古典的肝細胞癌

007 進行肝細胞癌

008 転移性肝腫瘍

009 胆管細胞癌

010 限局性結節性過形成

011 肝細胞腺腫

012 肝膿瘍

013 脂肪肝

014 肝硬変

015 原発性胆汁性肝硬変

016 Budd-Chiari 症候群

017 特発性門脈圧亢進症

018 肝外傷

019 小児の肝腫瘍(肝芽腫,肝未分化肉腫,肝血管内皮腫,肝間葉系過誤腫)

第2章 胆道

020 胆石,総胆管結石

021 胆嚢炎

022 胆嚢ポリープ,胆嚢癌

023 胆嚢腺筋症

024 原発性硬化性胆管炎

025 肝外胆管癌

026 総胆管嚢腫,先天性胆道拡張症

第3章 膵臓

027 膵の先天異常

028 急性膵炎

029 慢性膵炎

030 腫瘤形成性膵炎

031 浸潤性膵管癌

032 膵管内乳頭腫瘍

033 粘液性嚢胞腫瘍

034 漿液性嚢胞腫瘍

035 非腫瘍性嚢胞性病変

036 膵内分泌腫瘍

037 膵外傷

第4章 脾臓

038 脾先天異常

039 脾腫

040 脾血管腫

041 脾外傷

042 リンパ腫

043 脾動脈瘤

第5章 腸管

044 胃癌

045 大腸癌

046 十二指腸外傷

047 虫垂炎

048 機械性イレウス

049 機能性イレウス

050 腸重積

051 炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)

第6章 血管性病変

052 上腸間膜動脈血栓症・塞栓症

053 上腸間膜静脈・門脈血栓症

054 腹部大動脈瘤

055 腹部大動脈解離

056 閉塞性動脈硬化症

057 深部静脈血栓症

第7章 副腎

058 副腎皮質腺腫(偶発腫瘍)

059 原発性アルドステロン症

060 Cushing 症候群

061 副腎癌

062 褐色細胞腫

063 骨髄脂肪腫

第8章 腎・尿路

064 腎嚢胞

065 (常染色体優性)多発性嚢胞腎

066 腎癌(淡明細胞癌)

067 移行上皮癌

068 転移性腎腫瘍

069 腎血管筋脂肪腫

070 腎膿瘍

071 腎盂腎炎

072 von Hippel-Lindau 病

073 水腎症

074 後天性嚢胞性腎疾患

075 腎動脈狭窄

076 腎梗塞

077 腎損傷

078 腎・尿管結石

079 腎動脈瘤

第9章 子宮・卵巣

080 子宮奇形

081 子宮筋腫(筋層内,粘膜下,漿膜下)

082 子宮腺筋症

083 子宮体癌(子宮内膜癌,Ⅰ C 期以下)

084 子宮体癌(子宮内膜癌,Ⅱ期以上)

085 子宮頸癌(Ⅰ期以下)

086 子宮頸癌(Ⅱ期以上)

087 子宮肉腫(癌肉腫,平滑筋肉腫,子宮内膜間質肉腫)

088 卵巣機能性嚢胞

089 成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢胞腫)

090 卵巣子宮内膜症性嚢胞,骨盤子宮内膜症

091 漿液性嚢胞腺腫,(嚢胞)腺癌

092 粘液性嚢胞腺腫,(嚢胞)腺癌

093 明細胞腺癌

094 転移性卵巣腫瘍

095 卵巣線維腫,莢膜細胞腫

096 卵巣顆粒膜細胞腫

097 未分化胚細胞腫

098 骨盤内炎症性疾患

099 絨毛性疾患

第10章 前立腺・膀胱

100 前立腺肥大症

101 前立腺癌

102 膀胱癌

第11章 その他

103 腹水

104 鼠径ヘルニア

105 悪性リンパ腫

付録

1.本文関連図表/ 2.重要語句解説集/ 3.略語集

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784758107754
  • ページ数:247頁
  • 書籍発行日:2011年3月
  • 電子版発売日:2013年8月22日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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