まえがき

近年のTOEICブームで英語学習熱はますます高まっている．しかし，TOEICで高得点することよりも，自分に必要な英語力を身につけることの方がもっと重要ではないだろうか．著者らは，ライフサイエンス分野の専門英語の参考書として，「ライフサイエンス英語類語使い分け辞典」「ライフサイエンス英語表現使い分け辞典」「ライフサイエンス論文作成のための英文法」を製作した．これらは主に論文執筆時などに参照するものだが，そうは言っても，その時だけ安直に利用して何とかなるというほど甘くもないのも事実である．そこでもう少し気軽に専門英語の勉強に取り組むための学習書が必要性だと考えて本書を作成した．医学・生物学の分野の教科書や論文を読んだり，学会抄録や論文を書いたりする英語力を身につけるためには，それに基づいた学習書を利用することが望ましいからだ．

英語のリーディングやリスニング時に，一番ネックになるのが単語力であることはほぼ間違いないだろう．キーワードが理解できなければ，結局は何のことを言っているのかわからない．もちろん辞書を引けばそれで済むことも多いが，いちいち辞書を引いていては能率が上がらないし，英語力も向上しにくい．また，文法的な知識が不足していれば，ひとつの文に含まれる単語の数が多い論文の文章を正しく理解できない．このように単語力や英文法力の増強は，緊急の課題であることに間違いない．

本書では，ライフサイエンス分野の論文などでよく使われる動詞・形容詞・副詞・名詞の用法の中で特にマークすべき重要なもの，あるいは特徴的なつなぎ表現・比較表現・熟語表現などをピックアップして分類し，それを使った415例文を収録した．例文には，生命科学分野の論文や教科書でよく使われる英単語1,462，連語表現・熟語・複合語795が含まれている．本書は，従来の英単熟語の学習書とは大きく異なって，語法を中心とした構成に対する例文を単語学習用の例文と兼ねる構成になっている．これによって単に単語の意味を覚えるだけでなく，よく使われる構文や表現方法をまとめて学習できるメリットが生まれてくる．前著の内容とも関連づけた構成になっているので，合わせて利用していただければ学習効果もさらに上がるであろう．

本書の特徴の１つとして，すべての例文に対する音声教材が羊土社のホームページからダウンロードできることがある．これを活用して，音声を中心とした繰り返し学習を行えば非常に効果的であろう．ライフサイエンス分野の専門英語力向上のための本書を役立てていただけることを願っている．

2009年6月

著者を代表して
河本 健