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- すべての診療科で役立つ 栄養学と食事・栄養療法
商品情報
内容
栄養素の基本から食品学,各疾患の食事・栄養療法まですべての医師が知っておくべき知識を網羅.各分野のエキスパートによる系統的な解説は現場の疑問に応え,食事・栄養オーダーの悩みを払拭します!
序文
序
人はもちろん「パンのみにて生きる」ものではない.しかし「あなたは,あなたの食べたものでできている(You are what you eat)」というのもまた厳然たる事実であり,食事は健康や疾病と強く関連し,栄養摂取状況は病をもつ人の経過と予後に強い影響を与える.このように健康・疾病と食事・栄養には切っても切れない関係があるにもかかわらず,医師をはじめとする健康・医療プロフェッショナルの栄養に関する知識は驚くほど不十分である(もちろん管理栄養士を除く).これは無理ならぬことで,各医療職の教育カリキュラムはすでに飽和状態で,十分な栄養学教育の時間を含める余裕がないからである.
特にわが国の医師教育における栄養学教育の不足は従前から指摘されてきたが,結果的に多くの医師,メディカルスタッフは現場に出てからその知識不足に気づき,卒前・卒後教育の必要性を痛感する.例えば,外科医と内科医,あるいは消化器科医と循環器科医は,それぞれの専門分野における食事・栄養療法や点滴の指示には慣れている.しかし,系統的な栄養教育を受けたわけではないので,内科疾患を有する患者の周術期や術後の合併症が長引いた場合,あるいは消化器疾患と循環器疾患が合併した場合などの食事・栄養オーダーが適切に出せないことがある.このことは,医学部と栄養学部の両方で教鞭をとる機会に恵まれた編者が,長年感じてきた問題であった.
本書は,そのような臨床現場で悩むあらゆる診療科の医師・メディカルスタッフのために,現場で必要な栄養学と食事・栄養療法の知識をできるだけ効率よく自学自習できるように編集されたものである.
現場経験の豊かな各分野のエキスパートの先生方に分担執筆をお願いし,「栄養学のための栄養学の教科書」ではなく,基礎栄養学分野も含め,あくまで臨床現場の疑問に応え,臨床現場に役立つテキストとして書き起こしていただいた.執筆された各先生の甚大な御努力のおかげでその意図はよく達成され,全編を読み通すことにより,現代の医療者に必要な各分野の食事・栄養の最新知識を獲得することができる.学生にとっては実践的な教科書として,研修中の医療者にとっては学生時代のカリキュラムの不足を補うものとなり,ベテラン医療者にとっては多岐にわたる食事・栄養に関する知識のアップデートに役立つはずである.
末筆ながら,この「すべての診療科で役立つ」というコンセプトを深く理解していただき,あらゆる面で辛抱強くサポートしていただいた羊土社の原田悠氏と関家麻奈未氏にはこの場を借りて深謝したい.本書により,現場医療者が栄養学の重要性と食事・栄養療法の効果を再認識し,得られた知識を日々の臨床に活かしていただければ幸甚である.
2018年10月
新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野
曽根博仁
目次
第1章 栄養素の消化・吸収と代謝
1 エネルギー産生栄養素(三大栄養素)
1 栄養素とその分類
2 炭水化物
3 脂質
4 タンパク質
2 ビタミン
1 ビタミンの種類と働き
2 ビタミンの摂取基準
3 ビタミン欠乏症と過剰症
3 ミネラル
1 ミネラルの種類と働き
2 マクロミネラル
3 ミクロミネラル
第2章 食事・栄養療法の実践
1 栄養スクリーニング,栄養アセスメント
1 栄養とは
2 栄養アセスメントと栄養スクリーニングの違い
3 栄養スクリーニング・アセスメントで何が変わるのか
4 栄養スクリーニング・アセスメントの構成からみる炎症
5 実際の栄養スクリーニング・アセスメントツール
6 ヒトを対象とした栄養学の分類
7 栄養ケアプロセス(NCP)における栄養アセスメント
2 必要栄養素量の計算
1 必要な栄養素の摂取量に関する基礎知識
2 エネルギー必要量の推定
3 各栄養素の必要量に関する基本的な考え方
4 リフィーディング症候群
3 投与経路と食品・栄養剤の選択
1 栄養補給経路の種類と選択
2 治療食の実際
3 経腸栄養(EN)の実際
4 静脈栄養(PN)の実際
4 食事・栄養療法の実施
1 食事箋の書き方
2 具体的な処方例
3 不足する栄養素と過剰となる栄養素について
4 NSTとの連携
第3章 栄養指導の実際
1 栄養食事指導と食習慣
1 食事と生活習慣病
2 臨床上問題となる食習慣
3 食文化:日本型食生活と和食
2 栄養指導に役立つツール
1 日本食品標準成分表
2 食生活指針と食事バランスガイド
3 日本人の食事摂取基準
4 食品交換表
3 運動と栄養
1 運動に関する基準と運動処方
2 身体活動基準
3 身体活動量が多い人の基本的な食事の考え方
4 身体活動量が多い人の栄養学的障害
第4章 食事・栄養療法に役立つ食品学
1 食品の三次機能と機能性食品
1 食品がもつ3 つの機能
2 食品表示法における食品の分類
3 酸化ストレス・抗酸化物質
4 飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸
5 腸内細菌と食品
6 その他代表的な機能性成分
2 食品と薬物の相互作用
1 相互作用の2 つの視点
2 食品が薬物に及ぼす影響
3 薬物が食事・栄養に及ぼす影響
4 おわりに
3 食品と遺伝子の相互作用
1 食品の三機能と遺伝子
2 食への遺伝子応答
3 食品機能マーカーとしての遺伝子
4 栄養と遺伝子を結びつけるメカニズム
5 食品とエピジェネティクス
第5章 ライフステージと栄養
1 妊娠・授乳期
1 妊娠期の生理と栄養
2 授乳期の生理と栄養
2 乳幼児期
1 乳幼児の栄養の意義・特徴
2 乳幼児の栄養の必要量
3 乳汁栄養
4 離乳期の栄養
5 幼児期の栄養
3 成長期
1 成長期の栄養の特徴
2 成長期の栄養の必要量
3 成長期の栄養アセスメント
4 子どもの肥満,やせの疫学的動向
4 高齢期
1 高齢者と栄養障害
2 高齢者の栄養評価
3 高齢者の食事・栄養療法
4 高齢者の食欲不振・栄養障害の原因検索と介入
5 人工的水分・栄養補給の適応
6 フレイル,サルコペニアと栄養
5 性差と栄養
1 肥満と食事指導
2 脂質異常症と食事指導
3 糖尿病と食事指導
4 高血圧症と食事指導
第6章 各疾患の食事・栄養療法
1 肥満
1 アセスメント
2 減量指導
3 減量速度とリバウンド予防
2 心因性の摂食障害
1 はじめに
2 摂食障害の診断と病態
3 摂食障害に対する食事・栄養療法
3 摂食嚥下障害
1 摂食嚥下障害の原因疾患
2 摂食嚥下障害のスクリーニング
3 摂食嚥下障害の評価
4 摂食嚥下障害の対応
4 糖尿病
1 日本人の食生活の変化と糖尿病患者の推移
2 患者ごとにテーラーメイド化された食事療法の必要性
3 総エネルギーの考え方
4 栄養素比率の考え方
5 糖尿病患者における糖質制限の考え方
6 各薬剤と食事療法・食事内容の関連
7 高齢者の食事療法の注意点
8 おわりに
5 脂質異常症・動脈硬化性疾患
1 脂質異常症の概要
2 脂質異常症診断の留意点
3 生活習慣改善の概要
4 食事・栄養療法の実際
5 食品からみた脂質代謝改善・抗動脈硬化作用
6 高尿酸血症・痛風
1 高尿酸血症・痛風とプリン代謝
2 アルコールの制限
3 食事・栄養療法
4 血清尿酸値を下げる食品
7 高血圧・心血管疾患
1 生活習慣と高血圧・心血管疾患
2 高血圧・心血管疾患のための食事・栄養療法
3 まとめ
8 腎疾患
1 慢性腎臓病(CKD)
2 急性腎障害(AKI)
3 ネフローゼ症候群
4 慢性透析
9 肝疾患
1 代表的な肝疾患
2 非アルコール性肝障害
3 アルコール性肝障害
10 消化器疾患
1 消化管潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)
2 下痢・便秘
3 炎症性腸疾患(Crohn 病・潰瘍性大腸炎)
4 膵炎
11 呼吸器疾患
1 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
2 誤嚥性肺炎
12 貧血
1 貧血とは
2 鉄欠乏性貧血
3 巨赤芽球性貧血
4 おわりに
13 骨粗鬆症・サルコペニア・フレイル
1 骨粗鬆症
2 サルコペニア
3 フレイル
14 褥瘡
1 褥瘡とは
2 褥瘡の食事・栄養療法
3 リハビリテーション栄養
15 悪性腫瘍とターミナルケア
1 がんと悪液質
2 治療期の栄養管理
3 ターミナルケア
16 周術期
1 本項の典拠
2 侵襲下における栄養療法の効果と限界
3 術前栄養療法
4 術後栄養療法
17 食物アレルギー
1 食物アレルギーとは
2 検査・診断
3 治療・管理・予防
18 先天性代謝異常症
1 アミノ酸代謝異常症
2 有機酸代謝異常症
3 脂肪酸代謝異常症
4 糖質代謝異常症
5 ミトコンドリア病
巻末付録 日本人の食事摂取基準(2015年版)
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書籍情報
- ISBN:9784758108980
- ページ数:247頁
- 書籍発行日:2019年1月
- 電子版発売日:2019年3月22日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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