薬剤師が解決するポリファーマシー

  • ページ数 : 255頁
  • 書籍発行日 : 2016年10月
  • 電子版発売日 : 2018年6月8日
2,970
(税込)
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商品情報

内容

41の症例をもとに、処方意図の推測や処方適正化の進め方を具体的に解説!

病院および薬局の豊富な症例を踏まえて、漫然投与されがちな薬剤やエビデンスなく処方されがちな薬剤など……。知っておきたいコツが満載!病院・薬局・在宅に関わる薬剤師におすすめです♪

序文

医療技術の急速な発展と生活様式の変化により,日本は現在世界一の長寿国となった.喜ばしい事ではあるが,高齢者は複数の疾患を合併し,複数の診療科・医療機関を受診していることが多く,その結果多種類の処方薬を使用しきれずに,残薬が増え続けることが社会問題となっている.残薬の原因は,単に処方の剤数が多いだけではなく,不要な薬が漫然と投与されていたり,処方薬の重複が放置される,あるいは相互作用による有害事象の可能性など,いわゆるポリファーマシー状態となっている事が多い.2016 年の診療報酬改定には「薬剤総合評価調整加算」が新設されており,複数の薬剤の投与について総合的に評価を行い,2種類以上減少した場合の評価が診療報酬に反映されることとなった.このように不適切な多剤使用を解消し,適切な処方の確実な服用・施用を促すことは,薬物治療の質向上に貢献するものであり,特に高齢者医療では必須の活動である.臓器別あるいは専門分化した診療が一般化した現在では,処方を横断的に評価できる薬剤師に,上記のような処方の総合評価と調整が期待されている.

総合診療医教育の中から指摘されたポリファーマシー問題は1),いま薬剤師の間で非常な関心を呼んでおり,学会では必ずと言っていいほどシンポジウム等が開催されている.薬物相互作用は薬学の研究テーマとして確立されたジャンルであるが,そこにポリファーマシー問題が浮上したため,薬剤師の関心に火が付いた感がある.本書では病院および薬局の豊富な症例を踏まえて,多剤併用をどのように読み解き,必要な是正を提案するかを具体的に示している.医師の意見も掲載しており,特に昨年末日本老年医学会から発表された「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」については,作成グループ代表の秋下雅弘教授から直々に解説を頂いている.

病態から患者を診る医師の視線と,薬から患者をみる薬剤師の視線が交差し化学反応を起こすところから,安全で効果的な薬物治療が可能になると考える.昨今の社会情勢に鑑み,薬剤師は今までの殻を破って処方と患者ケアの適正化に向け,新たな一歩を踏み出さねばならない.そのツールのひとつとして,本書がいささかでも役に立てば幸いである.


2016年9月

神戸大学医学部附属病院 教授・薬剤部長
平井 みどり

目次

第1章 多剤併用の問題点と減薬・減量の基本的考え方

第2章 高齢者で注意したい薬剤

Case1 術後せん妄と薬剤

sidenote ベンゾジアゼピン系薬剤の減量・中止

sidenote せん妄を引き起こす薬剤

Case2 投薬禁忌

Case3 複数病院受診による同系統薬剤の重複

Case4 第1世代抗ヒスタミン薬の変更

Case5 認知症患者に対する抗コリン薬投与

sidenote 高齢者で注意すべき抗コリン薬

第3章 相互作用から考える

Case1 投薬禁忌(重症筋無力症)

Case2 投薬禁忌(尿閉)

Case3 併用禁忌(QT延長)

sidenote QT延長とは?

Case 4 リファンピシン併用によるプレドニゾロンの血中濃度低下

Case5 ブロムペリドールとメトクロプラミドの相互作用

sidenote SIADHとは?

第4章 患者さんの症状や効果から考える

Case1 複数診療科併診による多剤併用

Case2 感染症にて入院した糖尿病患者の薬剤調整

sidenote SGLT2 阻害薬の副作用

Case3 投与期間の上限超過

Case4 抗凝固薬の投与基準の逸脱

sidenote 静脈血栓塞栓症の危険因子

Case5 末梢静脈からのKCL投与(濃度超過)

Case6 症状消失後の継続投与の必要性

Case7 合併症のない消化性潰瘍や食道炎に対するPPIの長期投与

Case8 透析患者に対する薬剤調節

sidenote CKD-MBD について

Case9 症状改善のための継続投与に対する介入

Case10 睡眠薬によるもち越し効果

sidenote 睡眠薬の分類

Case11 透析患者におけるリン吸収抑制薬の必要性

第5章 検査値を活かす

Case1 肝障害による薬剤調整

sidenote 薬剤による乳酸アシドーシス

Case2 活性型ビタミンD投与による高カルシウム血症

Case3 フェニトイン中毒が疑われた症例

Case4 腎障害による薬剤調整

sidenote 腎機能の評価について

Case5 不要と考えられる経口鉄剤の中止

sidenote 貧血の鑑別

Case6 シクロスポリンとNSAIDs併用による腎機能障害

Case7 適切な治療期間を超過したワルファリンの中止

第6章 在宅・施設入居者の多剤併用への対応

はじめに

Case1 長期間漫然と薬剤投与されていた症例

Case2 処方意図不明な薬剤が複数投与されていた症例

Case3 患者からの情報収集が困難な症例

Case4 多数の併存疾患をもつ患者の薬剤調整

Case5 カテーテル交換時の介護抵抗が問題となった症例

第7章 医師視点でみた多剤併用

はじめに

Case1 患者の全般的な管理を行う主治医がいない症例

Case2 慢性症状の治療に難渋し,多剤併用となった症例

Case3 一度副作用が出た薬を再使用して有害事象を生じた症例

Case4 医学的説明のつかない身体症状で多剤併用となった患者

Case5 薬剤を自己調整し,指示どおり内服していなかった症例

Case6 慢性疼痛の治療に難渋している症例

Case7 処方意図のはっきりしない薬剤の長期漫然投与

sidenote 抗血小板薬と抗凝固薬

sidenote NOAC

Case8 腎機能低下患者へのエビデンスのない薬剤の漫然投与


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書籍情報

  • ISBN:9784758109345
  • ページ数:255頁
  • 書籍発行日:2016年10月
  • 電子版発売日:2018年6月8日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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