ライフステージや疾患背景から学ぶ臨床薬理学

  • ページ数 : 190頁
  • 書籍発行日 : 2017年8月
  • 電子版発売日 : 2018年2月2日
4,070
(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 222pt ( 6 %)
m3ポイント:1%相当 point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

国家試験対策にも役立つチェック問題が充実!

薬学生や薬剤師が他の医療従事者と十分に連携できるように臨床マインドを堅持し、患者特有の疾患に対する適切な薬物治療が施行ことを狙いとして編集されたテキスト。薬剤投与での薬理作用の記載に留まらず、薬物感受性の変化に伴う薬物有害事象の発生を見逃さない為のフィジカルチェックについても記載。

序文

2017年7月総務省は,日本の総人口が1億2,675万人になったとする人口推計を発表している.働き手の中心である15~64歳の生産年齢人口が32年ぶりに8,000万人を下回る一方,65歳以上の高齢者の割合が比較可能な統計がある1950年以降はじめて総人口の4分の1を超えた.

このように本邦は経験したことのない超高齢社会の最中にあり,薬物治療を考えるうえで,患者のライフステージや疾患背景を考慮した処方設計や処方提案を行うことが重要であり,薬学生や薬剤師はこうした包括的な臨床能力を伸ばしていくことが望まれる状況にある.

また,新薬の登場に加え個別化医療も急速に進んでおり,薬剤師をはじめとした医療従事者には,従来までの医薬品適正使用との違いを認識し,患者に応じた薬物治療を提供することが求められている.

そこで,現代社会の変化を鑑み,薬学生や薬剤師が他の医療従事者と十分に連携できるように臨床マインドを堅持し,患者特有の疾患に対する適切な薬物治療を施行できることを狙いとして編集したのが本テキストである.

本書は,新しい薬学教育モデル・コアカリキュラムに基づき,これからの臨床薬理学の講義テキストとして使用されることを想定した構成となっている.決して断片的にならず,各章との系統性をもたせることで,より理解が深まるように配慮した.「国試に役立つチェック問題」で各章の理解度を確認でき,「薬理を学ぼう」で主な薬剤について作用機序の振り返りができるようになっている.

さらに,大学での講義だけでなく,その先にある臨床の場でも活かせるよう,通常の薬剤投与での薬理作用の記載に留まらず,薬物感受性の変化に伴う薬物有害事象の発生を見逃さないためのフィジカルチェックについても記載している.生理機能低下時の治療法や副作用発現の可能性を見据えた処方チェックや薬効解析の基礎力が培える点で,これからの臨床を担う薬学生や薬剤師に有益な内容に仕上がったものと確信する.

最後に,本書作成にあたり,終始多大なご協力をいただいた羊土社の杉田真以子氏,永山雄大氏,久本容子氏ほかスタッフの皆様に感謝申し上げる.


2017年8月

大井 一弥

目次

薬学教育モデル・コアカリキュラムとの対応表

第1章 薬物体内動態と変動因子

1 薬の作用と影響因子

◆シタラビンの作用と影響因子

2 薬物体内動態の概念

1)吸収

2)分布

3)代謝

4)排泄

3 剤形と薬効

◆最適な投与経路

4 薬物代謝酵素の遺伝子多型と薬剤

1)CYP2C19 と消化性潰瘍治療薬

2)N-アセチルトランスフェラーゼ 2(NAT2)とイソニアジド

国試に役立つ! チェック問題

第2章 薬効と用法

1 薬の用法とコンプライアンス

1)コンプライアンスの評価

2)コンプライアンスの改善法

3)コンプライアンスへの影響因子

4)服用忘れに対する対応

2 服用回数と薬効

3 高齢者における服薬コンプライアンス

1)嚥下障害時の服薬方法

2)嚥下障害と経皮吸収型製剤

4 ポリファーマシー

◆薬剤師によるポリファーマシーへの介入

国試に役立つ! チェック問題

第3章 日周リズムと疾患の治療

1 サーカディアンリズム

1)メラトニンの特性

2)コルチゾールの日周リズム

2 日周リズムと疾患

1)気管支喘息

2)不眠症

3)随伴症状

国試に役立つ! チェック問題

第4章 副作用発現とフィジカルアセスメント

1 副作用と薬物有害反応

◆副作用の分類

2 フィジカルアセスメント

1)脈拍

2)血圧

3)体温

4)呼吸

5)意識

3 アナフィラキシーショック

1)症状

2)治療

4 薬剤性肺障害(間質性肺炎)

◆間質性肺炎の原因となる医薬品

5 悪性症候群

◆CYPの分子種と悪性症候群の特徴的症状と治療

国試に役立つ! チェック問題

第5章 代表的な副作用と治療

1 横紋筋融解症

1)症状

2)発症機序

3)治療

2 偽膜性大腸炎

3 薬剤性皮膚障害

1)スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)

2)中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)

3)原因となる医薬品

4 薬物乱用または誤用

1)薬物乱用の要因

2)薬物乱用の現状

3)医薬品の乱用の実態

4)薬物乱用頭痛

5)薬物依存症の薬物治療

国試に役立つ! チェック問題

第6章 妊婦・授乳婦の生理機能と薬物治療

1 性差

2 女性ホルモンと月経

3 妊婦の生理機能

1)妊娠と葉酸摂取

2)妊婦に可能な処方薬

3)添付文書と服薬指導

4)胎盤通過性

5)授乳婦への薬剤移行性

6)妊婦で特に注意すべき薬剤

7)授乳婦で特に注意すべき薬剤

8)催奇形性と胎児毒性

9)その他の妊娠に関わる薬剤

4 先天異常(奇形)の発生頻度と過去の歴史

国試に役立つ! チェック問題

第7章 新生児・小児の生理機能と薬物治療

1 小児期の規定

2 生理機能

1)吸収

2)分布

3)代謝

4)排泄

3 体温と発熱

1)発熱の管理

2)解熱薬

3)インフルエンザ治療

4 嘔吐

5 下痢

6 小児薬用量

7 剤形と治療の特徴

国試に役立つ! チェック問題

第8章 肝臓疾患を有する患者の薬物治療

1 肝臓の生理機能

2 肝臓疾患の症候

3 肝硬変

1)症状

2)治療

4 薬物性肝障害

1)分類

2)症状

3)臨床分類

5 アセトアミノフェン中毒

6 アカルボースによる肝障害

7 心機能低下に伴う生体への影響

1)心機能低下時の薬物動態

2)心臓疾患時に注意すべき薬剤

国試に役立つ! チェック問題

第9章 腎臓疾患を有する患者の薬物治療

1 腎臓の生理機能

◆腎臓疾患の症候

2 腎疾患と種類

1)急性腎不全(acute kidney injury:AKI)

2)慢性腎不全(chronic kidney disease:CKD)

3 薬剤性腎障害

国試に役立つ! チェック問題

第10章 透析患者の薬物治療

1 透析導入

◆透析の目的

2 薬物治療

1)合併症と薬物治療

2)透析患者で注意すべき薬剤

国試に役立つ! チェック問題

第11章 高齢者の生理機能と薬物治療の概要

1 高齢者の動向

2 高齢者の生理機能

1)胃

2)肝

3)腎

4)生体

3 特徴的な病因と症候

1)精神機能の低下

2)運動機能の低下

3)各臓器の生理機能の低下

4 サルコペニア

1)サルコペニアの要因と予防

2)運動とアミノ酸摂取による筋タンパク質合成の促進

5 高齢者の虚弱(フレイル)

1)フレイルと評価

2)老化バイオマーカー

6 要介護になる要因

1)転倒・骨折

2)転倒リスク

国試に役立つ! チェック問題

第12章 高齢者の特徴的な薬物動態と薬物治療

1 高齢者の薬物治療の背景

2 高齢者の薬物動態

1)薬物の吸収

2)薬物の分布

3)薬物の代謝

4)薬物の排泄

3 高齢者の糖尿病治療

1)血糖コントロールの目標

2)薬物治療の注意点

4 高齢者の高血圧治療

1)ガイドラインのポイント

2)薬物治療の注意点

国試に役立つ! チェック問題

第13章 皮膚生理機能と経皮吸収型製剤の薬物治療

1 皮膚の構造と生理機能

1)表皮

2)真皮

3)角層の保湿効果とトラブル

2 貼付剤と経皮吸収型製剤

1)経皮吸収型製剤の吸収

2)皮膚の状態と経皮吸収性

3)ツロブテロール貼付剤

4)オキシブチニン塩酸塩経皮吸収型製剤

5)マトリックス型とリザーバー型

3 アトピー性皮膚炎と貼付剤

国試に役立つ! チェック問題

第14章 化学療法薬(抗がん剤・抗菌薬)の臨床薬理

1 抗がん剤

1)がん治療の概要

2)各種抗がん剤

3)抗がん剤の併用療法

4)支持療法と副作用

5)抗がん剤の判定基準

6)抗がん剤の臨床評価

7)コンパニオン診断

2 抗菌薬

1)抗菌薬治療の概要

2)PK/PDについて

3)抗菌薬の投与時の留意点

4)抗菌薬の副作用

国試に役立つ! チェック問題

第15章 特徴的な栄養状態における薬物治療

1 栄養障害

2 肥満と過栄養

3 やせと低栄養

4 がん患者の栄養管理

1)がん悪液質

2)がん性腹水

3)末期がん患者の栄養管理(悪液質を伴わない症例)

5 好中球減少症

1)概要

2)抗菌薬による初期治療

6 褥瘡

1)病態

2)薬物治療

国試に役立つ! チェック問題

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:13.6MB以上(インストール時:29.6MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:54.4MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:23.5MB以上(インストール時:58.8MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:94.0MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758109369
  • ページ数:190頁
  • 書籍発行日:2017年8月
  • 電子版発売日:2018年2月2日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。