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基礎から学ぶ遺伝看護学 「継承性」と「多様性」の看護学

  • ページ数 : 178頁
  • 書籍発行日 : 2019年1月
  • 電子版発売日 : 2019年4月24日
2,640
(税込)
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商品情報

内容

遺伝医療・ゲノム医療の普及が進むこれからの時代の看護に必携の一冊.

遺伝看護の普及を進めるため,看護学生が養成校での授業で学び,さらに卒業後に看護師が個人で学習することもできるテキストとして作成.遺伝学を基礎から学べ,周産期・母性・小児・成人・がん…と様々な領域での看護実践にダイレクトにつながる,卒前・卒後教育用の教科書.

序文

まえがき

かつて,「遺伝看護」は,染色体異常や稀少な遺伝性疾患を有する患者(児)やその家族への看護として,どちらかといえば専門性が高い特殊な分野としてとらえられがちでした.そのような「遺伝」を特殊視する傾向は,看護だけでなく医療全体においてみられていました.21世紀に入り,全ゲノム情報が判明し,これらに基づき疾病の機序が解明され,診断法・治療法へと発展しています.もはや,我々誰もがもつ「ゲノム」は医療における一専門領域ではなく,母性(周産期)看護,小児看護,慢性疾患看護,さらにがん看護,公衆衛生看護など,あらゆる看護分野において遺伝医療に関する理解が欠かせなくなってきました.そして現在では,遺伝情報にもとづいた「ゲノム医療」が,国策として強力に推進されています.今後,医療の現場では「遺伝」,「遺伝子」,「ゲノム」,といった言葉が日常的に飛び交うようになります.飛び交った数だけ,患者(児)やその家族がそれらによる健康への影響や変化に適応するプロセスがあります.その適応プロセスを支えるためには,患者(児)やその家族に身近で密にかかわる私たち看護師の影響は大きく,重要な役割を担っています.

本書は,遺伝看護の普及を進めるため,看護学生が養成校での授業で学び,さらに卒業後に看護師が個人で学習することもできるテキストとして作成いたしました.日本遺伝看護学会教育委員会,日本人類遺伝学会教育推進委員会のメンバーが中心となり,これからの看護に必要となる遺伝看護の知識を盛り込みました.そして近い将来,遺伝看護が「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」に明確に位置付けられることを目指しております.

テキストは2部構成となっており,<Unit 1 遺伝看護学の基礎>では,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと回復の促進に関連した内容を解説しています.<Unit 2 遺伝看護の展開>では,出生前,子どもから成人期にわたるそれぞれの看護分野において看護学の主要概念<健康・人間・環境・看護>を枠組みとし,遺伝看護の視点から解説しています.本書の活用例として,Unit 1は1〜2年生の基盤科目,Unit 2は2〜3年生の看護専門科目として学修する,あるいは2~3年時にオムニバス形式の講義の一部として学修することも可能です.本書をご活用いただく教員の皆様の熱意を通して,学生の遺伝看護への関心が高まればこの上ない喜びです.

看護師は,主治医から遺伝医療部門への橋渡し,一般診療現場といった様々な立場からチーム医療の一員として「遺伝」や「ゲノム」に関わることを期待されています.本書は,看護師がゲノムによる医療の変化に適応し,ポストゲノム時代における新たな看護を展開するために学んでおきたい内容が凝縮されています.読者の皆さんがゲノム医療の担い手として活躍する未来はすぐそこまで来ています.本書がその未来へのよき道標となることを願っています.


2018年12月

中込 さと子・西垣 昌和・渡邉 淳

目次

Unit 1 遺伝看護学の基礎 人体の成り立ちと遺伝情報

Chapter 1 私たちのからだとゲノム

1-1 私たちのからだ:細胞とタンパク質

1-2 生命の設計図:ゲノム

1-3 遺伝子発現と私たちのからだ―受精から器官形成の過程

1-4 ゲノムのもう1つの媒体(伝達手段):ミトコンドリアDNA

Chapter 2 多様性・継承性とゲノム

2-1 ゲノムの多様性―ゲノムから得られる情報

2-2 細胞から細胞への継承:細胞分裂―体細胞分裂と減数分裂

2-3 遺伝子継承の規則:メンデルの法則


疾病の成り立ちと遺伝情報

Chapter 3 疾病の成り立ちとゲノム―遺伝性疾患

3-1 遺伝性疾患

3-2 病的変異―生殖細胞系列変異と体細胞変異の違い

3-3 がんと遺伝子変異

3-4 遺伝学的検査(生殖細胞系列遺伝子検査)と体細胞遺伝子検査―検体の選択

3-5 ゲノム解析の手法―解析する大きさ

Chapter 4 家族歴と家系図

4-1 遺伝性疾患の特徴―表現型と家族集積性

4-2 近親度:家系内での遺伝情報共有割合

4-3 家族歴

4-4 家系図

4-5 家族歴からの家系図の作成と評価

Chapter 5 遺伝性疾患① 1遺伝子レベルの変化が関わる疾病―単一遺伝子疾患

5-1 単一遺伝子(メンデル遺伝)疾患

5-2 メンデルの法則に則る継承のタイプ―遺伝形式

5-3 家系内での評価―再発率・再発リスク

5-4 未発症者と保因者

Chapter 6 遺伝性疾患② 遺伝要因と環境要因が関わる疾病

6-1 疾患の原因―遺伝要因と環境要因

6-2 多因子遺伝疾患―疾患易罹患性(病気のなり易さ)

6-3 胎児の発育に影響する疾患

6-4 先天性疾患

6-5 ミトコンドリア病

Chapter 7 遺伝性疾患③ 染色体レベルの変化が関わる疾病―染色体異常症

7-1 染色体異常

7-2 がんにおける染色体異常

7-3 染色体検査

Chapter 8 遺伝医療・ゲノム医療

8-1 遺伝性疾患に対する医療の特徴―遺伝医療

8-2 遺伝医療に関わる社会資源

8-3 遺伝カウンセリング

8-4 遺伝医療からゲノム医療へ

8-5 ゲノム医療における看護職の役割

Unit 2 遺伝看護の展開

Chapter 9 遺伝看護実践のための総論

9-1 健康・疾病・診断と治療の概念

9-2 遺伝・ゲノム医療の役割

9-3 遺伝性疾患をめぐる課題と心理社会的側面の理解

9-4 当事者を取り巻く社会

9-5 遺伝看護の視点

コラム

Chapter 10 小児期に発症する遺伝性疾患を有する子ども・家族への看護

10-1 健康・疾病・診断と治療の概念

10-2 遺伝・ゲノム医療の役割

10-3 遺伝性疾患をもつ子どもと家族の心理社会的側面の理解

10-4 当事者を取り巻く社会

10-5 遺伝看護の視点

Chapter 11 生殖・妊娠領域における遺伝性疾患を有する患者・家族への看護

11-1 健康・疾病・診断と治療の概念

11-2 遺伝・ゲノム医療の役割

11-3 生殖・妊娠領域における課題と心理社会的側面の理解

11-4 当事者を取り巻く社会

11-5 遺伝看護の視点

Chapter 12 単一遺伝子疾患(成人発症)を有する患者・家族への看護

12-1 健康・疾病・診断と治療の概念

12-2 遺伝・ゲノム医療の役割

12-3 単一遺伝子疾患に関わる課題と心理社会的側面の理解

12-4 当事者を取り巻く社会

12-5 遺伝看護の視点

Chapter 13 多因子遺伝疾患を有する患者・家族への看護

13-1 健康・疾病・診断と治療の概念

13-2 遺伝・ゲノム医療の役割

13-3 多因子遺伝疾患に関わる課題と心理社会的側面の理解

13-4 当事者を取り巻く社会

13-5 遺伝看護の視点

Chapter 14 がんゲノム医療・遺伝性腫瘍に関わる患者・家族への看護

14-1 健康・疾病・診断と治療の概念

14-2 がん医療における遺伝・ゲノム医療の役割

14-3 遺伝性腫瘍に関わる課題と心理社会的側面の理解

14-4 当事者を取り巻く社会

14-5 遺伝看護の視点

Chapter 15 遺伝看護とELSI

15-1 人の遺伝情報とELSI

15-2 遺伝・ゲノム医療とELSI

15-3 遺伝・ゲノム医療と社会

15-4 遺伝看護の視点


付録―遺伝看護に役立つ情報ソース

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書籍情報

  • ISBN:9784758109734
  • ページ数:178頁
  • 書籍発行日:2019年1月
  • 電子版発売日:2019年4月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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