改訂版 監修の序

「消化器疾患の臨床分類」の初版が出版されて約６年が経ち，消化器疾患の内視鏡診断の分野では，急速な進歩を遂げています．また，この6年の間に各疾患の診断基準，ガイドラインなどが大きく変わったこともあり，改訂版を出す次第です．

このたびの改訂版では，内視鏡検査に携わるメディカルスタッフや研修医の方々にもわかりやすいように画像を多く取り入れ，初版と同じコンセプトになっています．著者も大幅に変わり，内視鏡像もより良い像に改善しています．また，疾患の記載についても内容の更新がなされています．改訂版で取り上げている疾患は初版とほぼ同じですが，初版に記載のあった拡大内視鏡の分野でも所見について詳しく記載し，拡大内視鏡の部分はかなり充実しています．拡大観察・NBI観察などをもとにした内視鏡所見により，早期癌の深達度を判定して癌に対する内視鏡治療の適否が決められており，臨床の場でも，内視鏡所見をもとにした治療経過などの臨床研究が期待されます．その時にも所見のとり方を各施設で一致させることが重要になります．その際にこの本を活用していただきたい．

初版に引き続き改訂版の編集者として，長浜隆司先生（千葉徳洲会病院消化器内科），中島寛隆先生（早期胃癌検診協会中央診療所）があたり，改訂版に新しく高木靖寛先生（福岡大学筑紫病院消化器内科），牛尾 純先生（自治医科大学内科学講座消化器内科），鶴田 修先生（久留米大学消化器病センタ－）の先生方に加わっていただき，内容の充実を図りました．改訂版の出版に際して各編集者が大まかな内容を決めて，実際に執筆した先生方に御礼申し上げます．また，改訂版の出版に際して羊土社のご厚意により発行されたことに厚く御礼申し上げます．

2014年 7月

松川正明

改訂版 編集の序

「消化器疾患の臨床分類」は当初，若手の先生方やメディカルスタッフへの教育・指導の際，どうしても必要な消化器疾患の臨床分類が一冊にまとまったわかりやすい本があればいいなと考えて企画したものでした．臨床分類は多岐にわたり，当時わかりやすくまとまった本がなく，疾患に応じてさまざまな本や文献を引っ張りだしていましたが，そのような煩雑さをなくし一冊にまとめて，さらに写真や図表を多くしてビジュアル的にわかりやすい本を作ろうというのが基本コンセプトでした．今回初版を発行して約6年が経ち，その間に新しい分類，診断基準，規約，ガイドラインができたり，改定が行われており，最新の内容に執筆し直して出版することになりました．

初版に引き続き監修を松川正明先生にお願いし，編集を長浜隆司，中島寛隆先生に加えて各分野のエキスパートである高木靖寛先生，牛尾 純先生，鶴田 修先生に新たに加わっていただき，当初の基本コンセプトを変えることなく最新の内容と美麗な画像を提示しより内容を充実させております．消化器内科の先生方のみならずメディカルスタッフや他科の先生方にも読みやすく実用的な本になったと自負しています．

本書の出版に関して多大なる御苦労，御尽力をいただいた羊土社の編集担当の嶋田，林両氏に改めて感謝の意を表します．本書を執筆された先生方，また初版で執筆いただいた昭和大学附属豊洲病院の先生方の御尽力がこの本の基盤になっていますのでこの場を借りて感謝申し上げます．

最後になりましたが本年3月に急逝された，我が師 西澤 護先生のご霊前に本書を捧げます．

2014年 7月

編者を代表して 長浜 隆司