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- 救急・ERノート2 ショック ―実践的な診断と治療
商品情報
内容
第一線の医師が目の前の患者さんに実際にどのように対応しているのか知りたい!または、注目の診療法のエビデンスが知りたい!そんな方におすすめ。
時間経過に沿ったケーススタディで、現場の判断、動き方が手に取るようにわかります。
救急診療に携わる全ての医師に役立つ一冊です。
序文
ショック,すなわち急性循環不全は,救急・集中治療領域の対象病態であるが,癌末期の慢性病棟でも,呼吸器病棟でも,また循環器病棟でも,どんな病棟であろうとも頻回に遭遇する病態である.このショックを救命するのか,死として看取るのか....しかし,残念ながらショックにスピーディに対応できる医師やコ・メディカルは,現在も朱と鷺きのごとく少ない.私は羊土社に,このショックの管理を整理する機会を頂いてうれしく感じている.
従来,ショックというと,学術的な内容の特集となりがちである.例えば,私もショックに対する新規創薬を,近未来の課題とし,現行の治療を容易なものに変換したいと模索している.しかし,その一方で,実際のショック臨床で重要なことは,「救える血圧低下を,確実に昇圧する,組織酸素代謝を正常化する」という,実にシンプルなものである.このために,若い頃に,1度は真剣にショックを考え,実践することで,必ずや治療中の不慮のショック死が減少する.ショックの臨床では,複雑な理論をシンプルな実践に変え,患者個々のホメオスタシスを読み取る技術を蓄え,問題点を感じ取る感性を育てるとよい.
現在,私はショックの管理には,タイミングが不可欠であり,ショックを進展させないための予防テクニックが必要と提唱している.これが,私が唱える,ショックにおける「防波堤理論」である.理にかなった防御体制を生体内に与えることで,生体破壊が抑制される.ショックの離脱には,防御タイミングを逃さないことが不可欠であり,われわれには後手に回らぬための理論と実践力の研磨が必要である.
本書は,ショックを実践的に語るものである.執筆者によりwarm shock,cold shockと,発熱の程度はさまざまである.これこそ,十人十色であり,本書は実臨床教育現場の再現である.しかし,これを束ねる私の立場は,ショックの多くはすでに救命できるとするものであり,知識やテクニックの不備により,ショックを遷延させてはいけないというものである.ショック管理は,救急専門医に特化したものではなく,すべての医師ができる技として,流布されなければならない.そして,本書を読むなかで,「自分の治療の方がより良い」と感じる方は,ぜひ,救急・集中治療医学の道へ進み,世界をリードして世界の第一人者となって頂きたい.本書が,ショック管理の基盤となるとともに,皆さんの急性期医療に対する魂を揺さぶるものとなることを祈念している.私は,今なお,ショック管理と毎日対面している.
2011年7月
名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野 教授
松田直之
目次
第1章 【総論】ショックの概略~誰もが知っておいてほしいこと~
1 ショックを見逃さないコツとポイント
ショックの定義:ショックって何ですか?
ショックの初期評価
ショックの分類と治療
2 ショックのモニタリングと治療指針
■ショックの顔つき
[モニタリング]
パルスオキシメータとA-line の波形
カプノグラムの有効利用
乳酸値上昇に気をつける
中心静脈圧の測定と圧波形観察
肺動脈カテーテルによる心機能評価
混合静脈血酸素飽和度のモニタリング
[治療指針]
ショック診断のフロー
ショック救命の連鎖
第2章 【各論】症例検討 ショックへの対応
1 敗血症性ショックの診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:敗血症性ショック]
敗血症および敗血症性ショックの定義
どこでEGDT を行うか
敗血症性ショックでの輸液,輸血
敗血症,敗血症性ショックでの血液培養検査
敗血症,敗血症性ショックでの感染巣除去
敗血症,敗血症性ショックでの抗菌薬療法
敗血症性ショックでのカテコラミン
敗血症での呼吸管理 9敗血症での鎮静,鎮痛
敗血症性ショックでのステロイド
敗血症でのDIC 治療 敗血症での消化管粘膜障害
敗血症での厳格血糖管理および栄養管理 症例の場合について
2 アナフィラキシーショックの診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:アナフィラキシーショック]
アナフィラキシーとは
アナフィラキシーの症状
アナフィラキシーショックの病態
アナフィラキシーの診断
二相性反応
ショック発症後早期の検査
アナフィラキシーを起こしやすい薬剤
アナフィラキシーショックの治療
造影剤に対するアレルギー反応
3 出血性ショックの診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:出血性ショック]
出血性ショックの重症度
出血性ショックの診断
出血性ショックの治療
危機的大量出血
4 外傷におけるショックの診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:外傷におけるショック]
外傷初療
外傷性ショックはほとんどが出血性である
出血以外の外傷性ショック 4骨髄輸液針
One More Experience 外傷性消化管穿孔
5 神経原性ショックの診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:神経原性ショック]
想定外がありうる救急患者
神経原性ショックの頻度は?
神経原性ショックの特徴
適切な対処要領は?
救急領域における神経系モニタリング
One More Experience 脊髄損傷の低体温療法
6 心原性ショックの診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:心原性ショック]
心原性ショックの病態とは?
心原性ショックの臨床像
症候群としての心原性ショックの管理
7 肺血栓塞栓症の診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:肺血栓塞栓症]
肺血栓塞栓症とは
肺血栓塞栓症の危険因子と症状,身体所見
肺血栓塞栓症が疑われた場合に行う検査
肺血栓塞栓症の治療
予防
8 羊水塞栓症の診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:羊水塞栓症]
9 心タンポナーデの診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:心タンポナーデ]
心タンポナーデの診断
心タンポナーデの治療
10 緊張性気胸の診断と治療
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:緊張性気胸]
胸腔ドレーン挿入
合併症
One More Experience エコーの有用性
第3章 合併症管理のポイント
1 重症度評価
重症度スコアリングシステム
APACHE Ⅱ
SOFA
SAPS Ⅱ
MPM Ⅱ
スコアリングの実際
One More Experience ICU 入室後24 時間の重要性
2 急性肺傷害
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:急性肺傷害]
ALI/ARDS の診断基準,発症リスク因子
ALI/ARDS 発症のメカニズム
呼吸管理について
全身管理の指針
輸液管理について
人工呼吸管理中の鎮静について
3 急性腎傷害
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:急性腎傷害]
急性腎傷害の定義
急性腎傷害を回避するための治療
輸液バランス・体液量管理のポイント
血液浄化療法の方法について
One More Experience 乳酸値について
One More Experience High flow-volume large size PMMA-HDF(SHEDD-fA)について
4 播種性血管内凝固症候群
[問題解決型ケーススタディ]
[解説:播種性血管内凝固症候群]
DIC の定義
DIC の診断基準
DIC 治療で注意すべきこと
DIC の治療薬使用のコツとポイント
One More Experience ADAMTS-13 の低下に注意
第4章 ショック治療のエビデンス~Pros & Cons ~
1 EGDT:敗血症初期の輸液療法のPros & Cons
(1) Pros 賛成論
ショックに対する初期輸液療法の歴史
EGDT の検証
Dysoxia の改善をめざして
(2) Cons 反対論
Rivers らのEGDT プロトコルの改善の可能性
SAFE study にみるアルブミン投与
血管収縮薬の選択の是正
輸液量の是正
2 カテコラミンの使い方Pros & Cons
(1) Pros 賛成論
カテコラミンについて
ショック分類とカテコラミンの使用
カテコラミンについてのRCT
4カテコラミンに将来はあるか?
(2) Cons 反対論
カテコラミンの厳格使用について
脱ドパミン作戦
ショック病態にあわせたカテコラミン投与
心室筋細胞内情報伝達への病態修飾
カテコラミンの免疫破綻作用
カテコラミンの細菌増殖作用
3 ステロイド Pros & Cons
[Pros 賛成論]
ショックにおける少量ステロイドの適応
アナフィラキシーショック
羊水塞栓症によるショック
副腎クリーゼによるショック
甲状腺機能低下によるショック
敗血症性ショック
[Cons 反対論]
鎮痛・鎮静による偽性副腎クリーゼ
敗血症病態におけるグルココルチコイド受容体発現
4 バゾプレシンPros & Cons
■敗血症性ショック
[Pros 賛成論]
ガイドラインに記載されている治療法である
有用性を示す臨床試験
[Cons 反対論]
臨床試験の問題点
■現時点での結論
■外傷性(出血性)ショック
[Pros 賛成論]
有効性を示す多くの基礎実験
有用性を示す臨床試験
[Cons 反対論]
これで有効と言えるのか
■現時点での結論
5 敗血症患者における血糖管理 Pros & Cons
[Pros 賛成論:高血糖の制御は,敗血症患者を救う]
急性期高血糖の発生
高血糖の有害性
急性期高血糖の制御による急性期患者の予後改善の報告
[Cons 反対論:血糖はどこまで下げるべきか?]
2008 年版SSCG の問題点
低血糖の危険性
強化インスリン療法の有効性に否定的な報告
NICE-SUGAR trial 以降のメタ解析
6 ショックと蛋白分解酵素阻害薬Pros & Cons
[Pros 賛成論]
合成,抽出蛋白分解酵素阻害薬
生理的蛋白分解酵素阻害薬
[Cons 反対論]
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書籍情報
- ISBN:9784758113427
- ページ数:244頁
- 書籍発行日:2011年7月
- 電子版発売日:2014年12月12日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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