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- レジデントノート増刊 Vol.21 No.2 心電図診断ドリル 波形のここに注目!
商品情報
内容
心電図に隠されている情報は多い!心電図判読の基本を凝縮して解説!さらに外来・病棟,救急の場面を想定した45の症例問題を収録,繰り返し解いて読み込むことで確かな心電図診断力が身につきます!心電図をしっかり読めるようになるための必読書!
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序文
1.心電図から遠ざかっていないですか?
心電図の判読は,医学部学生,研修医にとって永遠のテーマである.実際に,臨床実習や研修に来る医学生・研修医のほとんどが,最初に「心電図が読めるようになりたい」という目標を述べている.しかしながら,身体診察も重要であるし,心エコー,CT,心臓カテーテル検査・治療といった多くのモダリティーの発達により,学ばなければならない情報量は非常に多くなっており,心電図を効率よく学ぶ時間は十分にとることができなくなってきた.さらにカテーテルアブレーションやペースメーカなど不整脈治療の発達により心電図波形の解析,分類がさらに細かくなり,基本的事項を押さえただけでは,臨床カンファレンスなどで,なぜそういった解釈になるのかわからず,内容についていけないことも多い.結局,心電図は取っつきにくい,判断が難しいという印象をもったり,自動診断にまかせたりすることで,いつの間にか心電図の学習から遠ざかってしまうことも多々あると思われる.
しかし,心電図は救急の場でまず第一に記録され,次に行うべき処置を考える手がかりとなる.虚血性心疾患や不整脈の診断のみならず,電解質異常,頭蓋内の出血などでも特徴的な変化がみられ,心疾患以外の疾患の診断の手がかりともなる.近年,心電図自動診断も精度が非常に高くなっているが,各心電図メーカーにより,診断アルゴリズムが異なり,波形によってはコンピュータによる基準の認識が難しいものもあり,診断の間違いがあることも忘れてはならない.自動診断所見を鵜呑みにすることによって不必要な治療が行われてしまったり,逆に必要な治療が行われない可能性もあるため自動診断に頼らずにきちんと自分で波形を確認し,診断できる必要がある.
2.心電図に隠されている情報は多い!
心電図の学習から遠ざかる理由として,発明から100年以上過ぎた,古くさい検査である,というふうに感じることもあるかもしれない.確かに古くからある検査であるものの,心電図波形研究での新たな論文がこの10年のうちでも次々と報告されている.例えば,QRS波形の分裂した電位(fragmented QRS波形)やJ波が,さまざまな疾患や一般人での不整脈や突然死の発生と関連するという論文が多く報告されている.このように古い検査である心電図の研究領域がいまだにアクティブである理由として,心電情報がデジタル化されたことが大きいと思われる.過去の熱ペンによる感熱紙での記録と異なり,デジタル化された心電情報の記録は,さらに多くの周波数情報を含んでおり,過去の記録では残らなかった微細な波形がはっきりと記録できるようになった.また,予後との関連が特にないと考えられていた所見も,遺伝子診断やカテーテル治療による疾患の再分類・細分化により,臨床的意義が明らかになってきたものもある.一例として,J波(早期再分極)は若年男性や運動家に多い,リスクのない所見と考えられてきたが,特発性心室細動とJ波が関連することが明らかにされ,さまざまな心疾患で J波の存在と予後に関する研究が行われるようになり,新たな知見が次々と報告されている.このように,「心電図学」自体も,数十年前から固定したできあがったものではなく,最新の検査,治療などの所見と関連し,発達してきている分野である.
3.本書の構成と特徴
本書では心電図診断の基本をくり返し学習し,習得できる構成をめざした.本書では ①心電図に対する苦手意識をとり除くこと,②臨床の場で実践的に用いることができる知識であること,③診断のために心電図のどこに注目すべきかを知ること,④反復学習し,知識をしっかりと定着させることが可能と考えている.この特集で,心電図の基本的な読み方,救急の現場での鑑別診断などを知り,さまざまな心電図波形の意義を理解し,最後に実戦トレーニングとして代表的な心電図判読と緊急時の対処などを学ぶことができる.心電図判読はパターン認識であるが,どうしてもある程度の判読数をこなさなければなかなか身につくものではないため,本書の後半で症例問題を多くとり入れ, さまざまな臨床状況で出会う心電図波形をなるべく多く学習できるように配置した.それぞれの項目は各エキスパートの先生方に豊富な経験をもとに執筆いただいている.心電図に苦手意識をもつ方も,心電図をある程度読めるようになったと思われる方にも広くおすすめできる,心電図を学ぶ実践的なテキストである.
2019年3月
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科先端循環器治療学
森田 宏
目次
序
Color Atlas
第1章 これだけは知っておきたい!心電図を読むための基本
1.心電図判読論~波形の読み方,考え方
2.絶対に見逃してはならない波形〜急性虚血編
3.絶対に見逃してはならない波形〜心室不整脈編
4.リズムの診断〜上室不整脈編
5.リズムの診断〜徐脈性不整脈編
6.QRS波形・ST-Tの異常
7.虚血性心疾患のみかた
8.電解質異常・薬剤による重要な心電図変化
9.心電図自動診断の有用性と限界
第2章 症例問題〜外来・病棟編
症例1 80歳女性,失神の精査目的で来院
症例2 52歳男性,勤務中に胸部不快感を自覚した
症例3 73歳男性,外科術前検査にて心電図異常を指摘された
症例4 79歳男性,心雑音の精査目的で来院
症例5 70歳男性,軽労作時に息切れを自覚
症例6 62歳男性,歩行時胸痛を自覚した
症例7 67歳男性,心電図自動診断の心筋梗塞疑いで紹介された
症例8 70歳女性,トレッドミル運動負荷試験を施行,胸痛が出現
症例9 84歳男性,トレッドミル運動負荷試験中に胸痛が出現した
症例10 60歳代女性,失神
症例11 26歳女性,労作時の息切れで受診
症例12 71歳男性,当院定期外来受診中,心電図検査を施行した
症例13 74歳女性,健康診断で心電図異常を指摘された
症例14 70歳男性,近医で心電図異常を指摘された
症例15 49歳男性,くり返す動悸発作を有するWPW症候群患者
症例16 76歳女性,動悸を主訴に来院
症例17 77歳男性,3カ月前から持続する動悸
症例18 79歳男性,心不全で入院した際に記録された心電図
症例19 69歳男性,動悸と易疲労感を常に認めていた
症例20 71歳女性,不整脈加療中の倦怠感の増強
第3章 症例問題〜救急編
症例1 66歳男性,倦怠感と息苦しさを訴え来院
症例2 50歳代女性,突然の胸痛で救急車要請後に失神した
症例3 75歳女性,家族の突然死後に胸痛を訴え受診
症例4 80歳男性,呼吸苦,胸痛を訴え失神した
症例5 70歳代男性,安静時にくり返す胸痛
症例6 70歳代男性,安静時の胸痛で救急搬送
症例7 60歳男性,午前3時,突然の胸痛発作あり
症例8 55歳男性,深呼吸時の前胸部痛のため救急外来を受診
症例9 57歳男性,ゴルフ中,胸痛を訴えた後に失神
症例10 62歳男性,将棋の直後に突然失神した
症例11 25歳男性,突然動悸とめまいが出現
症例12 40歳代男性,心不全加療の入院中に意識消失した
症例13 72歳男性,動悸とめまいを自覚し入院
症例14 30歳代男性,パソコン作業中に意識消失した
症例15 66歳女性,意識消失発作にて搬送
症例16 88歳女性,全身倦怠感,四肢のしびれを主訴に来院
症例17 15歳女性,音に反応して失神したため救急搬送
症例18 83歳女性,失神発作により転倒
症例19 22歳男性,動悸を自覚,胸部不快感で来院
症例20 75歳女性,突然の動悸にて救急外来を受診
症例21 56歳女性,夜,自宅でテレビを見ているときに動悸が出現
症例22 44歳女性,突然の動悸にて救急外来を受診
症例23 40歳女性,甲状腺機能亢進症治療後も持続する動悸
症例24 68歳女性,突然失神,転倒し救急搬送
症例25 75歳女性,動悸と失神発作が出現
索引
症例問題でとりあげた心電図異常所見・疾患
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書籍情報
- ISBN:9784758116244
- ページ数:271頁
- 書籍発行日:2019年3月
- 電子版発売日:2019年4月17日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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