重症疾患を見逃さない 小児の救急・当直診療

  • ページ数 : 301頁
  • 書籍発行日 : 2011年6月
  • 電子版発売日 : 2012年9月29日
5,170
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商品情報

内容

子どもを救急で診るすべての医師へ
緊急度・頻度の表示や豊富な図表・フローチャートで、見落としやトラブルを防ぐポイントをわかりやすく解説。
最前線で活躍する第一人者たちが執筆した、あらゆる小児病態に対応できる1冊!

序文

小児救急医療の崩壊が言われるようになって久しいが,小児救急医療の実態とは何であろうか.小児に対する時間外診療が,保護者のニーズの増大に応えられなく破綻しているだけであるとする見方もある.一方で,小児の危急的疾患は内因性のものだけではなく,外傷や中毒,環境障害などの外因性のものも多いため,子どもの生命を危うくするすべての病態に対応が可能な専門性が小児救急医療に不足していると考える立場もある.

本書の第一の目的は,対象疾患を外傷,熱傷などの初期対応にも広げ,一般小児科医が敬遠していた領域も含めたことであり,第二の目的は救急医療のなかに医療者としての感性(アート)を取り上げたことである.医療はサイエンスとアートからなると言われているが,自然科学としての医学(サイエンス)に関しては多くの成書がある一方で,アートに関して触れたものは少ない.ウイリアム・オスラーの言葉に「医療者には患者の痛みがわかり,苦しみを受け止める感性が不可欠である」の一節がある.アートから始まった医療は,自然科学の進歩とともにサイエンスの占める比率が増加し,最近は患者の痛みに寄り添うアートの部分が忘れ去られている感がある.病を診るのではなく,病をもった人を診ることに徹し,患者の焦り・不安・悩み・憤り・攻撃性を受け止め,納得・安心に変えていかなければならない.特に子どもの病気は保護者にとって,わがこと以上に心配のものであるため特別の配慮が必要である.

小児救急医療とは,本来このような感性豊かで子どもをいとおしむ心をもった専門性の高いものでなくてはならない.また同時に,未来に羽ばたく子どもの健全な発育を守る使命感と修練された知的職業を楽しむ余裕も必要である.

本書はこのような趣旨で企画されたもので,小児の危急性疾患に対する全人的な対応の指針として活用していただくことを願っている.


順天堂大学医学部附属浦安病院救急診療科
山田 至康

目次

はじめに

小児救急医療の概要と初期対応

第1章 重症疾患が潜む 症状・症候

1 ショック

2 昏睡・意識障害

3 チアノーゼ

4 発熱

5 不機嫌

6 脱水

7 けいれん

8 頭痛

9 呼吸障害

10 下血・吐血

11 腹痛

12 嘔吐

13 下痢

14 陰嚢痛

15 発疹

第2章 救命に必須の 手技・技術

1 心肺蘇生・救命救急(PALS,気管挿管など)

2 輸液・輸血

3 鎮静,鎮痛の方法

4 誤飲と中毒

5 誤嚥(窒息〜気道異物)

第3章 見逃すと危険な 疾患・外傷

1 脳症,脳炎

2 化膿性髄膜炎

3 敗血症・重症敗血症・敗血症性ショック

4 インフルエンザ(新型を含む)

5 急性心筋炎

6 致死的不整脈

7 喉頭蓋炎

8 クループ症候群

9 細気管支炎

10 気管支喘息

11 腸重積症

12 虫垂炎

13 感染性胃腸炎

14 急性腎不全

15 尿路感染症

16 糖尿病性ケトアシドーシス

17 熱傷

18 頭部外傷

19 胸部外傷

20 腹部外傷

21 急性中耳炎

22 急性鼻副鼻腔炎合併症

第4章 アートの実践:心理的・社会的ケアの重要性

1 子どもの虐待 宮本信也

2 小児救急医療におけるグリーフケア

第5章 Case study:重症疾患の見逃しやトラブルを防ぐポイント

Case1 主訴と検査結果に惑わされた症例

Case2 過去の受診歴から思い込みがあった例

Case3 母親の訴えを傾聴せず,自己判断した症例

Case4 診察,および検査が不十分だった症例

Case5 患児の訴えを正確に理解できなかった症例

Case6 的を絞った病歴聴取が行えていなかった症例

Case7 全身の観察が足りなかった症例

Case8 前医の診断を鵜呑みにした症例

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書籍情報

  • ISBN:9784758117128
  • ページ数:301頁
  • 書籍発行日:2011年6月
  • 電子版発売日:2012年9月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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