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- プライマリ・ケアでうつを診たら 見立てから治療まで、やさしくわかるうつ病診療
商品情報
内容
豊富な症例で実際どう診れば良いのかがイメージできます。現場で迷うことは困ることを丁寧に解説。うつ病の患者さんを励ましてはいけないのか?この処方はどこがよくない?患者さんの言い分、会社の言い分など、コラムも充実!
序文
はじめに
本書は、精神科以外の医療現場でうつ病のプライマリ・ケアを行う可能性のある医療者や、初期研修医のような初学者、あるいは精神科後期研修医の方々を念頭に企画されたものですが、世の中に、幾多の「うつ病」を冠した学習書が出版されている中、その構成や内容をどのようにまとめていくかというところで、編著者(河西)と共著者の加藤先生、そして編集者の秋本さんとでさまざまな工夫を重ねながら本書が上梓されました。
本書にはいくつもの特色があります。まず、編著者と共著者による病院やクリニックでの診療や社会のさまざまな領域での精神保健活動における豊富な経験を反映させるべく項目立てを行いました。そして平易なことばを使ってうつ病の見立てや治療の実際を解説しました。最近では、専門外からうつ病のケアに関与する人が増えたことや電子情報の氾濫などにより、うつ病に対する理解や認識に関して、世の中で大きなずれが生じていたり、診療の現場に混乱が生じていたりもしますが、そのような問題についても、率直に問題の本質や解決のヒントを読者に伝えるように努めました。また、最大の特徴は、たくさんの事例を提示したことです。事例の採用に際しては決して奇を衒うことなく、日常的によく出会うような事例を、「しかし少し掘り下げて考察してみれば...」という視点で選び、解説しました。うつ病や、関連する精神疾患の病態や治療に関しては、世界で日々さまざまな臨床研究が実施され、新しい知見が提示される状況にあります。本書では、なるべくエビデンスのあるものやガイドラインとして示されている内容を紹介するように心がけましたが、一部、要検討とされている内容やいわゆる経験論も書いていますし、かなり編著者と共著者特有の見解も含まれているかもしれません。しかし細部はともかくも、本書で最も大事にしているところは、診療に際しての医療者の心構えや態度、そして患者さんとのコミュニケーションのとり方です。患者さんと医療者との治療関係の基盤となるのは、コミュニケーションと信頼関係です。本書は、そこに関わる技術論に多くのページを割いている点がまた大きな特徴と言えます。
本書の内容のうち、「第1章~第3章(「第2章4.薬物治療」を除く)」は主に編著者が執筆し、「第2章4.薬物治療」と「第4章」は主に共著者の加藤先生が執筆しました。また、第4章の「アルコールとうつ病」の事例については、横浜市立大学医学部精神医学教室の井上佳祐先生の協力を得ました。共著者の加藤先生は、編著者にとって、長く精神科の診療や学生・研修医教育、そして自殺予防対策のための地域活動や研究活動をともにしてきた仲間です。加藤先生は、リエゾン精神医学や緩和医療、精神科リハビリテーションの経験も豊富で、今は精神科クリニックを開業し地域医療に貢献しています。本書の執筆開始直後に、編著者が思いもよらず横浜市立大学から札幌医科大学に転勤をすることとなり、出版スケジュールに遅れが生じましたが、加藤先生の強力な支援と、編集の秋本さんの弛まざるサポートにより、無事、本書を上梓することができました。あとは、私どもが大事に書き進めてきた本書が、手に取る皆様のお役に立つことを願うばかりです。
最後に、編著者の職業人としての在り方に少なからず影響を及ぼし、本書上梓の直前に亡くなったあの世の父にここで感謝を捧げたいと思います。
2016年3月
河西 千秋
目次
第1章 見立て
1 うつ?うつ状態?うつ病?
まぎらわしいことばたち
病名は医学的診断名を用いること
"うつ"、"抑うつ"、"うつ状態"、"抑うつ状態"の使い分け
2 うつ病の診断(診断基準)
一般に使用される診断基準
診断基準を用いる際の注意点
抑うつ状態、もしくはうつ病をきたしやすい状況
3 うつ病の一般症状
うつ病の一般症状とは
抑うつ気分
興味と喜びの消失
活力の減退による易疲労感の増大や活動性の減少
集中力と注意力の減退
自己評価と自信の低下
罪責感と無価値感
自傷あるいは自殺の観念や行為
将来に対する希望のない悲観的な見方
睡眠障害
食欲不振
4 知っておくべきその他の症状
一般症状以外の重要な症状
身体化症状
日内変動
念慮、妄想
精神運動抑制、制止
昏迷
5 うつ病のスクリーニング
うつ病のスクリーニング
スクリーニング・ツールの種類
スクリーニング・ツールを使用する際の注意点
6 うつ病をみつけ出すこつ
うつ病を見つけ出すには
まずは疑ってかかること
可能性を広くとって問診を
患者さんの生活の様子、言動から得られるヒント
7 うつ病の経過
うつ病の経過
経過から読み取れること
第2章 治療
1 うつ病の標準的治療
うつ病の治療の基本要素
うつ病治療の流れ
2 治療が必要かどうかの判断、治療のタイミング
治療が必要かどうかの判断
治療開始のタイミングをどのように考えればよいのか
3 精神療法
精神療法とは
精神療法の種類
心理教育
一般精神療法
認知行動療法
4 薬物治療
薬物治療、その前に
薬物治療の開始にあたって留意すること
抗うつ薬投与の開始
抗うつ薬の基礎知識
治療におけるさまざまな疑問
5 ソーシャルワーク
ソーシャルワークとは
医師自身もソーシャルワーカー
ソーシャルワークに際して留意すべきこと
6 リハビリテーション
うつ病治療におけるリハビリテーション
リハビリテーションの種類
作業療法、あるいはデイケア
リワーク・デイケア
7 再発予防と治療の終結
再発シナリオ
再発予防に必要なこと
治療終結の条件
いつまで治療を継続したらよいのか
8 うつ病の再発
再発とは
再発のリスクは
双極性障害への移行
9 うつ病と自殺
うつ病と自殺関連行動
自殺の危険因子と防御因子
自殺について尋ねる
自殺実行の危険性をアセスメントする
自殺を防ぐ
10 プライマリ・ケア医とうつ病診療
プライマリ・ケア医によるうつ病診療
うつ病診療のステップ
専門的治療を行う際の要件と限界
精神科医との連携
第3章 領域別のうつ病診療と必要な知識
1 勤労者のうつ病
勤労者のうつ病診療に際して
診療上の配慮
診断書の作成
病気休暇と休職の違い
産業医や保健師との連携
2 高齢者のうつ病
高齢者とうつ病
病歴の聴取の前に
発病の契機
症候の特殊性
認知症との鑑別診断
薬物療法を行ううえでの注意
ケアの体制づくり
3 学生のうつ病
学生のうつ病診療に際して
問診から見えてくるもの
診療上の配慮
薬物治療における注意事項
親(保護者)との連携
学内資源との連携
4 身体疾患に合併するうつ病
うつ病を合併しやすい身体の疾病
診察の際に留意しておくべきこと
第4章 ケーススタディ
症例1 働く人のうつ病 その1 ~リワーク・デイケアを利用
症例2 働く人のうつ病 その2 ~休む場所
症例3 働く人のうつ病 その3 ~復職後のケア
症例4 高齢者のうつ病 ~認知症との鑑別が重要
症例5 身体症状が目立ち他科を転々としたうつ病(仮面うつ病)
症例6 抗うつ薬によって躁転した一例 ~実は双極性障害
症例7 自傷をくり返した症例
~自殺のリスクアセスメントと治療的対応
症例8 中学生のうつ病 ~児童の特徴と治療上の注意点
症例9 抗うつ薬中断後の断薬症状
症例10 ステロイドによる精神病性障害、うつ病性障害
症例11 アルコールとうつ病 ~うつ病に隠された問題
症例12 職場で問題視されていたうつ病の事例
症例13 がん患者のうつ病 その1 ~痛みもうつ病の一症状
症例14 がん患者のうつ病 その2 ~吐き気もうつ病の一症状
症例15 がん患者のうつ病 その3 ~適応障害とうつ病
症例16 がん患者でうつ病と間違われた症例 その1
~ノバミン®によるアカシジア
症例17 がん患者でうつ病と間違われた症例 その2
~低活動型せん妄
Column
"現代型うつ"や"新型うつ"、"なんちゃってうつ病"とは
精神科診断力をつけるためには
うつ病患者さんを励ましてはいけないのか?
カウンセリングをしてもらっていない
抗うつ薬の増量
抗うつ薬の減量
この処方はどこがよくない?
第1選択薬の使い分け
薬物代謝の個人差による影響
究極の社会資源
気分転換のための旅行は効果的か?
うつ病は心の風邪?
自殺をしない約束
自殺をしない念書
精神科?精神神経科?神経精神科?メンタルヘルス科?
患者さんの言い分、会社の言い分
産業医などの産業保健スタッフと精神科医の連携
休職者のうつ病治療マネージメント
働く人のうつ病のコメントと具体的な投げかけ方
修正型電気けいれん療法
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書籍情報
- ISBN:9784758117876
- ページ数:206頁
- 書籍発行日:2016年3月
- 電子版発売日:2017年6月2日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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