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- トライアングルモデルで身につける 感染症診療の考え「型」
商品情報
内容
症例ベースで様々な疾患を解説!「感染症診療に自信をつけたい」「感染症診療を学び始めたい」という方におすすめの一冊。
序文
感染症診療に携わる研修医の皆さんにむけて
-特に,感染症専門科のない病院で研修される皆さんへ
●感染症診療の原則を把握し,文化を育む
感染症診療に関連した本は数多くありますが,本書は「感染症診療って何だかむずかしい」「発熱したら抗菌薬を発作的に使用することが多い」という皆様にこそ読んでいただきたい本です.感染症診療は学べば学ぶほどに奥が深く,いろいろなセッティング別に理解しなければならないことが多いことは事実です.2009年におけるH1N1インフルエンザのパンデミック1),2014年の関東でのデング熱流行2),2015年に東京都で起きた梅毒患者報告数の倍増3),数年ごとに起こる風疹やパルボウイルス感染の流行4, 5)などなど,日本各地で年次ごとに各種感染症の流行が報告されています.感染症診療に造詣を深めるとともに,地域の最新流行疾患に対してもアンテナを張り,普段から知識を深めておく必要があります.しかしながら,われわれが把握すべき感染症診療の原則はとてもシンプルで,その原則に従えば必ず妥当な診療方針を決定できます.
本書は特に「感染症診療を学びたいけど,近くに感染症専門医がいないから教えてもらえない」という悩みをもっていらっしゃる方にぜひ読んでいただきたいと思っています.私自身も研修医時代に感染症診療の基本が理解できず,必死になって各書籍を読み漁った日々を思い出します.そういった方々に本書が少しでもお役に立てば幸いです.
●どんな医師でも必ず携わる!感染症診療の重要性
初期研修中のどのローテーションの期間でも,そしてどの臨床診療科でも,感染症診療は皆さんが必ず経験することです.
①日本人の死亡原因は肺炎が第3位であり,その割合は経年的に増加している6).
②日本の糖尿病患者の死亡原因も第3位が感染症である7).
③日本の慢性透析患者の死亡原因第1位が感染症である8).
④外科領域では手術部位感染症が2~5%の患者に発生し,7~10日間の入院期間延長,2~11倍の死亡率上昇に関連する9).
⑤ICUにおいて感染症が起きた場合,死亡率は感染症を起こしていない患者の2倍以上になり,ICU入室期間も4倍程度になる10).
これらの情報からも,多くの患者が感染症により死亡し,感染症の発症が入院期間延長に寄与することは明らかです.臨床医を志すすべての医師は,感染症診療から離れることはできません.そのため,一般的な診察技術・コミュニケーションスキル・プロフェッショナリズムを形成していくほかに,「一般感染症診療について学ぶこと」が必須だと考えます.
●常に基本に忠実に,そしてくり返すことで目標は達成される
本書では,以下の3つの目標のもと,「感染症トライアングルモデルに基づいた感染症診療フローチャート」を作成しました.
①臨床的にしばしば経験する症例をもとに,感染症についての一般的な思考過程を把握できる
②各種感染症を想起したときのpitfallを意識できるようになる
③「患者背景」「対象臓器」「原因微生物」を意識した適切な抗菌薬を選択できる
この3つの目標はとても基本的なものですが,これが達成できてはじめて感染症診療の第一歩を踏み出すことができます.逆に言えば,いくら枝葉末節の専門的知識を積みあげても,上記の目標が達成できなければいずれ患者さんのマネジメントに重大な不具合が生じるでしょう.感染症診療に携わる際に,常にこの「トライアングルモデル」を頭に浮かべながら診療すれば,必ず上記の目標を達成することができます.本書は臨床的に頻度の高い感染症をもとに構成していますので,皆さんが救急外来や病棟で働けば必ずこの本の内容にぶつかるはずです.もちろんどんな習慣も一朝一夕には習得できません.毎回毎回忘れずに,手を抜かず,愚直にやりつづけることで「感染症診療についての基礎体力」を得ることができるはずです.そしてこの基礎体力は,あなたにとってかけがえのないものになるでしょう.
●謝辞
本書は,私が日頃からさまざまな場面で大変お世話になっている新進気鋭の若手~中堅医師の方々の感染症診療への迸る愛情によって構成されています.実は,本書を執筆している先生はすべて日本の研修病院で臨床研修を積まれています.日本の感染症診療における多くの先人の教育活動のおかげで,日本の感染症診療の質が過去よりも向上していることを示す本として,この拙書があればと感じています.珠玉の原稿を作成していただいた先生方の熱意と,感染症診療への溢れんばかりの愛情に対して,敬意と感謝の意を表したいと思います.みんな,いつもいつも助けてくださってありがとうございます.ホントに.
2016年3月
佐田 竜一
文献
1)The 2009 H1N1 Pandemic: Summary Highlights, April 2009-April 2010.
(//www.cdc.gov/h1n1flu/cdcresponse.htm)
2)Kutsuna S, et al:Autochthonous dengue fever, Tokyo, Japan, 2014. Emerg Infect Dis, 21:517-520, 2015
3)東京都感染症情報センター:梅毒の流行状況(東京都 2016年).
(//idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/syphilis/syphilis/)
4)国立感染症研究所:風疹とは.
(//www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html)
5)国立感染症研究所:伝染性紅斑(ヒトパルボウイルスB19感染症).
(//www.nih.go.jp/niid/ja/id/642-disease-based/ta/5th-disease/idsc/iasr-topic/6213-tpc431-j.html)
6)厚生労働省:平成26年人口動態統計月報年計(概数)の概況.
(//www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai14/index.html)
7)堀田 饒,他:アンケート調査による日本人糖尿病の死因:1991-2000年の10年間, 18,385名での検討.糖尿病,50:47-61, 2007
8)日本透析医学会ホームページ:図説 わが国の慢性透析療法の現況.
(//docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2015/p021.pdf)
9)Anderson DJ, et al:Strategies to prevent surgical site infections in acute care hospitals. Infect Control Hosp Epidemiol, 29:S51-S61, 2008
10)Vincent JL, et al:International study of the prevalence and outcomes of infection in intensive care units. JAMA, 302:2323-2329, 2009
目次
序章 「感染症トライアングルモデル」の使用マニュアル
第1章 感染症トライアングルモデル
1.「肺炎」のトライアングルモデル
1.若年者の肺炎
2.高齢者の肺炎
2.「尿路感染症」のトライアングルモデル
1.若年女性の尿路感染症
2.入院中の高齢患者の尿路感染症
3.「皮膚軟部組織感染症」のトライアングルモデル
1.よく遭遇する皮膚軟部組織感染症
2.免疫不全患者の皮膚軟部組織感染症
3.動物咬傷による創部感染症
4.「髄膜炎」のトライアングルモデル〜腰椎穿刺をためらうな!
1.健康な成人の髄膜炎
2.免疫抑制患者の髄膜炎
3.小児の髄膜炎
4.脳外科術後の髄膜炎(VPシャント関連感染を中心に)
5.「膿瘍」のトライアングルモデル
1.腸腰筋膿瘍:50歳代男性
2.肝膿瘍:50歳代男性
6.「胆嚢炎・胆管炎」のトライアングルモデル
1.外来患者の胆嚢炎
2.入院患者の胆管炎
7.「急性下痢症」のトライアングルモデル
1.外来における生来健康な成人の急性下痢症
2.入院中の高齢患者の急性下痢症:特にCDIについて
8.「上気道感染症・深頸部感染症」のトライアングルモデル
1.若年男性の急性咽頭炎
2.高齢者の深頸部感染症
9.「化膿性関節炎・脊椎炎」のトライアングルモデル
1.急性の単関節炎
2.化膿性脊椎炎
10.「手術部位感染症」のトライアングルモデル
1.表層切開創のSSI
2.臓器・体腔のSSI
11.「カテーテル関連血流感染症」のトライアングルモデル
1.透析用カテーテルのCRBSI
2.中心静脈栄養カテーテルのCRBSI
12.「性感染症」のトライアングルモデル
1.成人男性における尿道炎
2.Fitz-Hugh Curtis症候群
13.「感染性心内膜炎」のトライアングルモデル
1.自然弁の感染性心内膜炎
2.人工弁の感染性心内膜炎
第2章 Dr. 佐田と実践! 感染症トライアングルモデル!!
1.60歳代男性.主訴:悪寒戦慄,右下肢発赤・疼痛
2.60歳代男性.主訴:発熱,咳,右上腹部痛
3.70歳代男性.主訴:発熱,咳・痰,意識障害
4.70歳代女性.主訴:発熱,右背部痛
5.50歳代女性.主訴:発熱,腰背部痛,背部の隆起
6.40歳代女性.主訴:発熱,下痢
+α Lecture
日本で高齢者に対して使用可能な肺炎球菌ワクチンのpros/cons:何を予防し,何を予防しないのか?
腎盂腎炎の適正治療期間とは?
膿瘍穿刺後にガタガタブルブル...穿刺後の菌血症について
「虫垂炎のトライアングルモデル」はどうなる?
旅行者下痢症について
伝染性単核球症と伝染性単核球症様疾患について
化膿性脊椎炎の治療期間の検討
SSIのリスクファクター,予防に必要なこと
CRBSIの診断に必要なこと
性感染症の病歴聴取における5つの「P」
blood culture-negative infective endocarditis(BCNIE)
V. vulnificusとは
結核性胸膜炎の概論:主に診断について
誤嚥性肺炎の予防策
化膿性肝膿瘍のリスク因子
感染性心内膜炎のperipheral signとは?
toxic shock syndrome(TSS)とは
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書籍情報
- ISBN:9784758117890
- ページ数:198頁
- 書籍発行日:2016年3月
- 電子版発売日:2017年5月12日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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