• m3.com 電子書籍
  • NBC災害に備える!発災後、安全に受け入れるための医療現場マニュアル

NBC災害に備える!発災後、安全に受け入れるための医療現場マニュアル

  • ページ数 : 143頁
  • 書籍発行日 : 2018年5月
  • 電子版発売日 : 2018年10月19日
4,400
(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 240pt ( 6 %)
m3ポイント:1%相当 point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

NBC災害発生時、被災者の搬送や受け入れに関与する可能性がある医師・看護師・消防職員必携!

救急車や診察室を短時間で養生する方法など、二次・三次の汚染拡大防止のための具体的方法を解説した実践マニュアル。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて万一の事態に備えることができます。

序文

監修の序

国家安全保障戦略とテロ

政府は,安全保障政策と外交政策を包括する指針となる「国家安全保障戦略」の中で,国家安全保障会議(National Security Council:NSC)の司令塔機能の下,国家安全保障政策を戦略的かつ体系的に実施していくことを高らかに宣言した.政策意図を内外に明確に示し政策判断の誤りを防ぐ効果への期待も大きいが,この議論の中で見落とされている重要な要素が,命(医療)の視点である.国家の安全が脅かされる,というとき,その最悪の帰結は,国民の命が失われることである.テロや攻撃による命の危機あるいはその不安から国民を救済すること,これこそが安全保障政策の根幹ではないか.

従来から,安全保障に関わるテロや攻撃の際に医療が貢献できる割合はけっして高くないと言われている.しかし就中,わが国の医療は,テロや攻撃によって発生する健康被害に対して先進国の中で最も脆弱で対応能力がないことを,われわれ医療者自身が知らなければならない.

わが国の医療のテロ対応力

日本の医療がテロや攻撃への対応能力に劣るのには,いくつかの理由があるが,その中でもとりわけ重要なのがNBCREと称される大量破壊兵器に対する知見の欠如である.大量破壊兵器として使われる生物剤や化学剤に,教科書の常識は通用しない.米国同時多発テロの際に発生したいわゆる白い粉の炭疽菌は,効くはずのペニシリンGに耐性で,せいぜい数%のはずの死亡率は50%にも及んだ.こうした兵器としての細菌に対する知識や経験を有する臨床医は,わが国にはほとんどいない.

また,わが国が平和で安全な国家であることを反映して,テロや攻撃への対応に応用可能な事故や災害をほとんど経験していない.例えば,米国では年間15,000件,被害総額50億円にもおよぶ化学災害が発生し,救命センターで働く医療者は日常的に,有毒ガス,殺虫剤,防腐剤等による健康被害を経験している.わが国の救命センターに搬送される中毒患者のほとんどが睡眠薬などの医薬品の過量服用であることを考えると,両国の医療者の経験値の差は歴然だ.

テロから命を守るために

2020年の夏,日本は重要な緊急事態を迎える.東京オリンピック・パラリンピックである.世界中から観衆(見物客,視聴者)を引きつけるこの巨大イベントは,社会に驚愕や恐怖を与えようとする劇場型犯罪者のテロリストたちにとって,最も魅力的な攻撃対象である.

テロや攻撃を未然に防ぐことの重要性はもちろんだが,われわれ医療者は,起こった際に傷病者の命を確実に救うための手立てに,直ちに着手しなくてはならない.妥当な想定のもとで準備しておかなければ,モノもなければ,対応できるヒトもいないという事態に間違いなく陥ることになる.その最も難解な想定事案が,NBCREなのである.

テロとの戦いの主役は民間である

テロ対策というと,事態対処医療ということばが囂しい.もちろんその主役は自衛隊である.しかしながら,市中で発生するテロが,事態対処法にいう「存立危機事態」の要件を満たす可能性は皆無であり,したがって自衛隊の衛生活動に期待する蓋然性はない.また,仮に自衛隊に出動命令が下ったとしても,彼らが現場に到着するときには,すでに被害者はそこにいない.つまり,日本で想定されるテロに対しては,われわれ民間の医療者が対応せざるを得ないことを認識する必要がある.

そうした意味で,本書の執筆者は,すべて民間の救急現場の第一線に立つ者によって構成されている.万一の事態に遭遇したときに,「実際に現場でどうするか」という視点で書かれたもののみによって編まれている.まさに,現場に立つ方々の傍らでお役に立つ書でありたいと願うものである.


2018年5月

杏林大学医学部救急医学 主任教授
/高度救命救急センター長
山口芳裕

目次

監修の序

編集の序

第1章 総論

スイッチを入れる

通常災害に加えて何が必要なのか

情報の取り方と他機関との連携

第2章 ゾーンの設定(ゾーニング)

ゾーンの概念と区分

ゾーニングの基本方針と注意点

災害現場におけるゾーニング

受入医療機関におけるゾーニングのポイント

第3章 トリアージ/特異的治療

多数傷病者対応におけるトリアージ

特殊災害におけるトリアージ

原因物質別にみた特殊災害トリアージのポイント

特異的治療について

第4章 除染

汚染の概念

除染計画

除染方法の種類と手技

汚染状況別にみた除染の注意点

災害現場および医療機関における除染の実際

除染にかかわる問題点と解決策

第5章 放射線の測定方法

測定機器の種類

A.空間放射線線量率測定用サーベイメータ

B.表面汚染検査用サーベイメータ

C.個人被ばく線量

第6章 防護服の着用法

放射線の種類

被ばくと汚染

準備するもの

着用手順

第7章 防護服の脱ぎ方

ペアについて

脱衣の準備

脱衣の手順

第8章 病院内養生

養生には手間と時間がかかる

いかに効率を上げ,作業時間を短縮するか

プレハブ式養生キットによる一時的管理区域の作成法

養生のTips

養生材料の入手先

第9章 救急車養生

想定される状況

救急車養生の実際

第10章 生物剤によるテロ・災害の初期対応

生物剤の特徴

生物剤による攻撃の特徴

生物剤の散布方法

生物剤による攻撃への一連の対応

第11章 受け入れ・訓練の実際(N災害編)

CSCATTTとMETHANE

準備

患者到着

救急室内の動き

第12章 受け入れ・訓練の実際(C災害編)

本章で想定した状況

準備

患者到着

検知

除染前トリアージ

除染

除染後トリアージ

拮抗薬投与

指揮所で考えること


コラム

"1-2-3"ルール

C災害における3 つの数字

PDCAとOODA

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:16.0MB以上(インストール時:34.8MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:64.0MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:25.6MB以上(インストール時:63.9MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:102.4MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758118200
  • ページ数:143頁
  • 書籍発行日:2018年5月
  • 電子版発売日:2018年10月19日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。