改訂第2版 免疫学最新イラストレイテッド

  • ページ数 : 293頁
  • 書籍発行日 : 2009年2月
  • 電子版発売日 : 2014年3月20日
5,720
(税込)
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商品情報

内容

めまぐるしく発展する免疫学の最新知見に基づき、全章UP DATE!
 ・充実したイラストで、とにかくわかりやすい
 ・基本はもちろん、一歩踏み込んだ専門知識まで網羅
 ・最先端の知見まで、専門家が丁寧に解説
 ・豊富なMemoで関連知識もしっかりカバー

序文

改訂第2版

序本書の初版の発行は2003年である.それから5年が経過し,あらためて読み返してみると,その後の研究の進展の早さに驚かされる.特に自然免疫系の研究の発展は,それまで不明な点が多かった自然免疫系における異物認識の分子機構を明らかにしただけでなく,獲得免疫系の起動における自然免疫系の重要性とその作用機序を分子レベルで明らかにしつつある.獲得免疫系の研究においても新たなヘルパーT細胞としてTh17が発見されるなどさまざまな進歩があった.そこで,お忙しいことを承知で各章の著者の先生方に再びお願いし,最新の知見を盛り込んだ改訂版を作成いただいた. また, 研究の進展によりその重要性がますます明らかになりつつあるレクチンに関しては新たな章を設けた.

初版で強調した,免疫反応の「場」の重要性は広く認識されることとなり,免疫担当細胞の個体内での動態の研究が盛んに行われている. これまでの多くの重要な研究成果が試験管内における分子細胞生物学を駆使した研究から生まれてきたことは確かであるが, 免疫系の全体を理解するためには細胞の動態を理解することが欠かせない. 2光子顕微鏡や一分子イメージングなどの最近の技術革新は, かつて夢物語であった生体内での細胞の動きを実時間で観察することを可能にしつつある. 分子レベルにおいても一分子を観察する技術が細胞内の一分子の観察にまでおよんだことは今後のさらなる発展を予感させる. まさに免疫系を四次元で理解することが可能になりつつあるといえよう.

「場」の考え方をさらに深めてゆくと,それぞれの「場」の微小環境の違いも浮き彫りにされてくる.肺と腸管とではその酸素分圧を始めとした環境に大変な違いがみられる.常在菌と宿主の相互作用も無視できるものではない. 同一のT細胞クローンが異なる「場」で抗原に出会うとどのような免疫反応の違いに結びつくのか, このような疑問にも答えられる時代になりつつある. さらに昨今のゲノム科学の進歩は免疫反応の個体差,遺伝的背景の違いによる反応の違いの理解にも踏み込む材料を与えてくれる.

多くの難治性疾患が免疫関連疾患であることはよく知られるが,これらの疾患の解決に向け,今後はヒトの免疫系の理解を進める研究を推進することが重要である.研究手法の発展により,ヒトの免疫研究は以前と比較して容易になりつつある.このような背景から,基礎研究者と臨床家が共同し, ヒト免疫学を発展させることが強く求められている. それが, これまで手をつけることが難しかった免疫関連疾患の根本的な治療法の開発にもつながってゆくと期待される.

初版と同様,本書全体としては自然免疫から獲得免疫に至る道筋,免疫反応の「場」の重要性,基礎免疫学と臨床免疫学の接点と今後の方向性,等を強調して構成したつもりである.しかし,それでもカバーしきれなかった論点が多々あると思われる. 読者諸氏の率直なご批判をいただければ幸いである.本書を通して,読者諸氏が免疫系の理解を深め,さらにその研究にも興味をもっていただけること,そして若い読者が免疫学研究に参加していただけることを深く熱望する.


2009年1月

小安重夫

目次

概論 免疫系の四次元的理解を目指して

■ 自然免疫研究の発展

■ 多様性の獲得とそれを支える免疫系の「場」

■ 閉じた系としての免疫系と開いた系としての免疫系

■ 免疫不全

■ 将来へ向けて

第1章 自然免疫とToll様受容体

■自然免疫による微生物認識

■PRRの機能とその分子機構

■自然免疫機構と疾患との関連

第2章 免疫細胞表面受容体としてのレクチン

■レクチンとは?

■I型レクチン

■C型レクチン

■S型レクチン

第3章 補体

■補体系の構成と働き

■C3転換酵素を形成する3つの活性化経路

■C5転換酵素の形成,後期経路と膜傷害性複合体の形成

■補体系の自己・非自己識別機構

第4章 B細胞の分化と機能

■免疫グロブリン(Ig)遺伝子の再構成

■B細胞の分化とIg遺伝子の再構成

■末梢におけるB細胞分化とB細胞亜集団

■プレBCR,BCRによるB細胞の選択・選別

■外来性抗原認識により生じる免疫反応

第5章 T細胞の分化と機能

■T細胞とその機能

■T細胞の分化

■T細胞の動態・維持・機能

第6章 抗原提示と樹状細胞

■樹状細胞

■抗原提示

■クロスプレゼンテーション・ クロスプライミング

■クロストレランス

■NKT細胞,制御性T細胞との相互作用と制御性樹状細胞

第7章 NK細胞とNKT細胞

■NK細胞とNKT細胞の分布と分化

■NK細胞の抗原認識と機能

■NKT細胞の抗原認識と機能

第8章 リンパ系の構築

■全身免疫に関与するリンパ組織の構築

■粘膜関連リンパ組織の構造

■免疫担当細胞の移動と循環

■粘膜免疫を介した生体防御応答の誘導と粘膜免疫疾患

第9章 アレルギーと自己免疫疾患

■アレルギー

■遺伝的背景とのかかわり

■自己免疫疾患発症にかかわる因子

■治療法開発の展望

第10章 腫瘍免疫

■がんに対する免疫監視機構

■がん免疫療法

■これからのがん免疫療法

第11章 感染免疫

■微生物による共生戦略

■自然免疫系の機能

■獲得免疫系の機能

■新しいワクチン開発への展望

第12章 移植免疫

■移植免疫の基礎

■移植医療の現況

■再生医学と移植

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書籍情報

  • ISBN:9784758120012
  • ページ数:293頁
  • 書籍発行日:2009年2月
  • 電子版発売日:2014年3月20日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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