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- 実験医学別冊 決定版 オルガノイド実験スタンダード
商品情報
内容
開発者たちは三次元培養の基質や培地組成をどう検討したのか?その基盤となる発生学の知識から,論文では学べない手技までを丁寧に解説.難しいことを知らなくても,簡単にオルガノイド培養を始められるよう,色々な工夫がなされた一冊。
> 実験医学シリーズ
序文
人を含むさまざまな動物はたった1 つの細胞から複雑な組織化を繰り返し,成熟個体への発達を遂げる.成熟した個体では,多くの臓器・器官が自己再生を行うことによって,生体の恒常性を維持する.このような個体発生・器官発生・組織恒常性およびその異常を理解するためには,ゲノム・エピゲノムの解析とは別に,生きた細胞の解析が必須となる.卵生のモデル動物を用いた発生生物学者たちは,分子生物学を駆使し,多様な細胞集団が複雑な組織を形成すること(=自己組織化)を明らかにしてきた.細胞集団は環境内でのトポロジーの相違とエピゲノムの変化によって,一定の組織構造を形成すると考えられているが,その分子・細胞レベルでの詳細は未だ謎に包まれている.組織細胞は特有のルールをもっており,自己組織化するようプログラムされていると考えられる.
われわれは,そのプログラムの一部しか理解できていないが,必要な微小環境さえ与えれば,さまざまな細胞から培養皿の中で「オルガノイド」と呼ばれる組織様の構造体を作ることができる.本書は,難しいことを知らなくても,簡単にオルガノイド培養を始められるよう,色々な工夫をした.オルガノイド技術のパイオニアである研究者に執筆をオファーし,海外の一流雑誌に載るようなレベルの最適プロトコールをシェアしてもらった.オルガノイド培養には,開発者のヒューリスティックな" 論文には書けないツボ" がある.執筆者にはこうしたツボを余すことなく書いて頂いた.また,多能性幹細胞を用いたオルガノイド技術の開発者で,筆者とともに本書の編集を行った武部・永樂の両先生には現在の技術に行き着いた思考過程を,オルガノイド作製の論理基盤として書いてもらった.さらに,オルガノイドの基礎となる多能性幹細胞の考え方,イメージング技術,ゲノム編集,ハイスループットスクリーニング,1 細胞トランスクリプトームなどのオルガノイドと相性の良い応用技術について,実際にオルガノイドを利用している一線の研究者に執筆して頂いた.本書を手にした多くの読者が,オルガノイド研究に興味をもち,研究に利用して頂ければ望外の喜びである.
最後に,執筆頂いた先生方,羊土社 実験医学編集部の蜂須賀修司さん,早河輝幸さんの多大なる努力によって本書の発刊にこぎつけられた.ここに心から深謝致します.
2019年2月
編者を代表して
佐藤 俊朗
目次
序
Ⅰ オルガノイド事始め
1 オルガノイドとは?―次世代オルガノイド研究の志向する未来
2 〈座談会〉開発者が語るオルガノイド分化と培養のツボ
Ⅱ 多能性幹細胞由来オルガノイド
1 多能性幹細胞の分類と分化の際に考えるべきこと
2 iPS細胞由来オルガノイド作製の技術的,理論的背景(内胚葉系)
3 ES・iPS細胞由来オルガノイド作製の技術的,理論的背景(神経系)
4 自己組織化的に形成される大脳皮質オルガノイド
5 自己組織化的に形成される海馬・脈絡叢オルガノイド
6 下垂体・視床下部オルガノイド
7 小脳オルガノイドの作製とプルキンエ細胞への誘導
8 ヒト多能性幹細胞からの網膜組織オルガノイド作製法
9 ヒトES細胞を用いた内耳感覚上皮オルガノイドの作製
10 iPS細胞から皮膚器官系の再生
11 多細胞系からなるヒト肝オルガノイドの創出
12 胃オルガノイド
13 自己組織化による小腸オルガノイドの分化誘導
14 ヒト多能性幹細胞を用いた胃・小腸オルガノイド作製方法
15 ヒトiPS細胞を用いた肺オルガノイド培養法
16 胸腺器官培養によるiPS細胞由来がん抗原特異的T細胞の再生
17 腎臓オルガノイド―ネフロン上皮細胞系譜と尿管芽・集合管系譜の選択的分化誘導法
18 自己組織化を利用したiPS細胞由来腎臓オルガノイド作製
19 生殖系オルガノイド
Ⅲ 組織幹細胞オルガノイド
1 成体組織幹細胞オルガノイド作製の技術的,理論的背景
2 正常小腸・大腸オルガノイドおよび大腸がん培養法
3 大腸オルガノイド―大腸クリプト単離とⅠ型コラーゲンによるオルガノイド培養法
4 ヒト腸管上皮幹細胞の安定培養および分化誘導
5 正常胃オルガノイドおよび胃がんオルガノイド培養法
6 ヒト膵組織由来オルガノイドの樹立と培養(肝胆膵オルガノイド)
7 呼吸器オルガノイド
8 乳腺オルガノイド
9 舌上皮オルガノイド
Ⅳ 関連技術
1 オルガノイド遺伝子改変技術
2 生体試料深部を観察する光イメージング技術
3 ヒト由来オルガノイドを用いた異種移植モデル作製
4 小腸オルガノイドを用いたヒトノロウイルス培養系
5 オルガノイド培養法を用いた宿主-細菌の相互作用解析
6 大腸がんオルガノイドを用いた創薬スクリーニング
7 三次元バーテックスモデルによる物理シミュレーションとオルガノイドへの応用
8 オルガノイドの1細胞トランスクリプトーム解析―ハイスループット化から系譜・空間発現まで
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書籍情報
- ISBN:9784758122399
- ページ数:372頁
- 書籍発行日:2019年3月
- 電子版発売日:2019年6月12日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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