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- 補完・代替医療 ハーブ療法 改訂2版
商品情報
内容
主なハーブ50種を絵入りで解説するミニ図鑑つき!
本書では、一般的なハーブの利用法にとどまらず、医療従事者が日常の診療に取り入れやすいよう医学的見地からハーブの情報を提供することを心がけました。ハーブ療法について科学的観点から書いた医学書として誇れる密度の濃い内容になっています。
序文
第2版の序
本書の改訂の機会に多少の追加と訂正を行った。主な追加点としては第1章にハーブの有効成分に関する項を書き加えた。
第1 版出版後の5 年間に日本の少子高齢化傾向はさらに進み,年間自殺者数は依然として3 万人を超えている。さらに本年(2011 年3 月)の東日本大震災と原子力発電所事故により,非常に多くの方が直接的,間接的に大きな被害に見舞われるという大変な出来事があった。徐々に復興していくことと思うが,関係した方々の心には今回の大災害の影響が長く影を落とすことだろう。
ハーブの有効成分には脳の情緒を司る中枢や,身体の自動調節機能を司る中枢に作用するものが多い。そのため,ストレス反応から起こるさまざまな心身の不調を予防し,緩和することができる。不況,災害,加齢に伴う不調,いずれも対処していくには経済的支援だけでは不十分で,精神的支援を要する。「頑張って」「頑張ろう」で終わってしまわないためには,ストレス対処のスキルが必要である。ハーブはそのために役立てられるのではないだろうか。
ハーブ療法の中では精油を用いるアロマセラピーが先行して広まったが,この数年,ハーブティを用いたセルフケアについて述べる機会が増えている。主としてハーブの水溶性成分を利用するハーブティと,脂溶性成分を利用するアロマセラピーはハーブ療法の両輪といえる。今後はこの両者の長所を取り入れたセルフケア法が広まっていくことを願っている。本書がその一助となれば幸いである。
本書をお読みくださった医療,保健関係者の方々を通して,ストレスにさらされている一人でも多くの方に温かいハーブティの香りが届くことを願っている。
2011 年5 月
橋口玲子
序
「医療従事者のための補完・代替医療」(今西二郎編,金芳堂)でハーブ療法の部分を担当させていただいたご縁で,今回,もう少し詳しく書く機会を与えられた。執筆に当たっては,主として現代医学の考え方に沿って医療を実践している医療従事者が,日常の診療に取り入れやすい情報を提供することを心がけた。
今までのハーブについての文献は,植物学および薬学の立場から分類と効能について書かれた図鑑と,欧米のハーバリスト(植物療法士)によって書かれた経験的使用法の本がほとんどであった。筆者自身もそうだったが,現在の日本で補完・代替医療としてハーブを利用するためには,従来の本による情報だけではわかりにくい。図鑑は調べるのには便利だが,羅列的で臨床に関わる重要度を判断することができない。ハーバリストによるハーブの使用法は示唆に富んだものも多々あるが,医師としては納得できない内容や曖昧な点も多い。欧米と日本では入手しやすいハーブが異なるという問題もある。本書では特殊なハーブは除き,なるべく効能のはっきりしたものを取り上げた。対象疾患もハーブ療法が向くと筆者が考える分野に絞って執筆した。
補完・代替医療の中にも鍼灸や漢方のようにプロに治療してもらう必要のある方法と,呼吸法のように誰でも自ら行うことのできるものとがある。ハーブ療法にはその両者があり,サプリメントとして流通している濃縮エキス製剤の一部は医薬品に匹敵する効能を持つといっても過言ではない。たとえば,セントジョンズワートやイチョウ葉は,それぞれ抗うつ剤や血小板凝集阻害剤の代替薬になりうる。本文中にも繰り返し述べたが,このような強力な効能を持つハーブは本来医師が症例を選んで用いるべきであろう。効能や副作用の評価も医薬品に準じて行われることが望ましい。少なくとも使用に当たってはハーブに関する知識のある医療従事者のアドバイスが必要と考える。ハーブ療法で生じうる弊害を防ぐためにも本書が役立つことを願っている。
一方,ハーブティや食品として摂取するハーブのほとんどは安全性も高く,セルフケアや滋養強壮のための保健薬として用いやすい。ハーブ療法はセルフケアレベルが豊富な治療法ということができる。ハーブを用いることの利点は単に医薬品の代わりになるというだけではなく,自分自身で不調に対処することができるという患者さんの自信を養うことにもある。そのような長所を生かすために,本書ではかぜや軽い胃腸疾患のようなセルフケアで対処可能なものについてハーブの利用法を詳しく述べた。患者さんへのアドバイスに役立てていただければ幸いである。
現在の日本における疾病の中心をなすのは,生活習慣や加齢に伴う疾患と精神的ストレスが関わる疾患である。これらの疾患の予防や改善には,ライフスタイルの変更やストレス緩和法に自分で取り組もうという患者さん自身の意欲が大切になる。それには意欲を引き出す具体的な方法がないとなかなか難しい。「生活習慣を変えなさい」という抽象的な指示より,「あなたの不調を改善するにはこのハーブティをのんでみたら」という具体的な指示がきっかけとして役立った例を筆者は数多く経験している。多くのハーブティは抗酸化作用とリラックス作用を持っているだけでなく,味も香りもよいので楽しんで取り入れることができる。
筆者自身がハーブに興味を持ったきっかけのひとつは南米でよくのまれるマテ茶であった。海外医療協力のために滞在したボリビアで,独特の容器で甘くしてのむマテ茶に初めて出会った。当時,筆者はたびたび起こる片頭痛に悩まされていたので,その改善の一助としてコーヒーを初めとするカフェイン飲料をやめようとしていたが,替わりにおいしくのめるものがない。筆者は砂糖を加えずにのんだが,マテ茶もアルカロイドを含み風味があっておいしい。カフェイン飲料を減らしたからだけではないだろうが,片頭痛はその後大幅に減った。生活習慣の変更をハーブに助けられた一例といえる。本書をお読みくださった方々にも,まずご自分でいろいろなハーブを試してみることをお勧めしたい。
2006 年 5 月
橋口玲子
目次
1.ハーブとは何か
1)ハーブの定義
2)ハーブ療法の歴史
3)ハーブ療法の現状
4)漢方薬との違い
5)ハーブ療法の意義
6)ハーブの範囲
7)ハーブの有効成分
①ポリフェノール/②タンニン/③フラボノイド/④アントシアニン/⑤精油/⑥ステロール/⑦サポニン/⑧配糖体/⑨多糖類/⑩アルカロイド/⑪苦味質/⑫その他:含硫化合物,ビタミン,油脂,植物酸
2.ハーブの利用法
1)ハーブの入手法
2)ハーブティ
①飲用,うがい/②吸入
3)濃縮製剤
4)料理,その他
①食用/②スパイス/③スパイスオイル,スパイスビネガー,ハーブ酒
5)外用
①インフューズドオイル(浸出油)/②洗眼/③浴用,湿布
3.ハーブ療法の対象となる疾患や症状
1)呼吸器領域
①かぜのひきはじめ/②咳,痰,鼻水,鼻づまり/③のどの痛み,口内炎,扁桃炎/④慢性呼吸器疾患の二次感染予防
2)免疫の異常が関わる領域
①花粉症/②アトピー性皮膚炎/③リウマチ
3)消化器,代謝疾患領域
①機能性胃腸症,過敏性腸症候群/②便秘/③下痢/④胃炎,消化性潰瘍,逆流性食道炎/⑤肝・胆道疾患/⑥糖尿病
4)循環器領域
①動脈硬化性疾患(高血圧,高脂血症,狭心症,脳動脈硬化症など)/②末梢循環障害,冷え症/③心不全/④片頭痛
5)精神・神経領域
①不安,緊張状態/②睡眠障害/③抑うつ状態/④緊張型頭痛,薬剤乱用頭痛
6)女性ホルモンが関わる領域
①月経前症候群,更年期障害/②月経困難症(月経痛)/③出産,授乳に役立つハーブ
7)泌尿器領域
①反復性尿路感染症/②前立腺肥大症
8)滋養強壮に役立つハーブ
①現代の滋養強壮剤/②漢方でも保健薬として用いられているハーブ
4.ハーブ療法の利点と問題点
付録.主要なハーブの解説
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書籍情報
- ISBN:9784765314954
- ページ数:119頁
- 書籍発行日:2011年8月
- 電子版発売日:2013年1月1日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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