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- MINOR TEXTBOOK 放射線基礎医学 改訂12版
商品情報
内容
医学部、看護・保健学、診療放射線技師養成校などの学生、教官、研究者などを対象に、放射線とその影響の理解と正当な放射線防護の実践に役立つ書です。
序文
平成23 年3月11 日,三陸沖を震源とするM 9.0 の大震災は,想定外の巨大津波を伴って,岩手,宮城,福島,さらには周辺の青森,茨城,千葉県などを襲い,太平洋に面した広範な地域に壊滅的な被害をもたらしました.地震の破壊力もさることながら津波の規模は想定外のもので,広範囲な地域で津波の高さは10 m を超えました.2012 年11 月の警察庁のまとめによると,被害者の概数は,死者約16,000 人,行方不明者約3,000 人,さらには建物全壊約13 万戸とみられています.
しかし,地震と津波による破壊や流出の被害に加えて,地元の人々はもとより日本国民に大きな衝撃を与えたのは,福島第一原子力発電所の事故でした.地震と津波によって電気設備,ポンプ,燃料タンクなど多数の設備が損傷したため,全交流電源喪失状態に陥りました.いわゆる安全神話の崩壊です.ポンプによる送水が止まったため,原子炉内部や核燃料プールの冷却が不可能となり,核燃料の溶融(メルトダウン)が発生しました.さらに,メルトダウンによって発生した水素が爆発を起こし,原子炉建屋やタービン建屋および周辺施設が大破し,大量の放射性物質の放出につながりました.事故発生から3月24日までの放射性物質の放出量は,3万TBq~11 万TBq と推定されています.
原子力安全・保安院は,国際原子力機関(IAEA)が定める原子力事故・故障などの影響の度合いを示す国際原子力事象評価尺度(INES)を,紆余曲折の末,4月12 日にレベル7(深刻な事故)に引き上げました.これはチェルノブイリ事故と並ぶ最高レベルの深刻さです.東北地方を中心に大気,海水,土壌,水道,食品等に放射性物質による汚染が生じ,汚染のレベルによっては除染が必要となったばかりか,住民が避難を強いられることにもなりました.また,放射線に関しては,放射性物質による直接的な汚染の被害だけではなく,風評による被害も起こりました.そしてこの汚染を受けた地域の回復は,今後何十年もかかるものであると予想されます.
東日本大震災は,放射線の影響について正確に説明できる知識をもつことの重要性を今までにも増して示すことになりました.第11 版のまえがきで監修者が述べていますように,本書は,医学・生物学を学ぼうとする学生が,この一冊の本で放射線物理学,生物学,影響評価,安全管理などの放射線基礎医学の知識と方法論を全体的に把握できることを目指しています.今回の事故がもたらしたものでもっとも重大な影響が社会的な面での被害であることにかんがみれば,この本の読者が,この本から得た知識をさらに?み砕いて一般の人々に説明していただき,そのことが人々の放射線に関する知識を深め,どのような状態であれば本当に安全・安心なのか,自ら判断できるための一助となることを願ってやみません.
人は理解できないものを恐れる
ダン・ブラウン
"ダヴィンチ コード"
2013 年3月
編集者
目次
序説
I編 放射線の物理学
1章 物質の構造と放射線
2章 放射線と物質の相互作用
3章 放射線に関する量と単位
4章 放射線の測定
5章 X線発生装置とX線撮影の原理
6章 放射線診断用装置の画像作成原理
7章 放射線治療装置
8章 線量分布と線量計算
II編 放射線の生物学
9章 放射線生物作用の一般的特徴
10章 放射線生物作用の化学的過程
11章 放射線損傷と細胞応答
12章 放射線損傷と細胞死
13章 放射線損傷と修復
14章 放射線損傷と突然変異
15章 組織・臓器に対する放射線の影響
16章 放射線免疫学
17章 放射線治療の放射線生物学的基礎
18章 放射線治療の展望
III編 放射線障害とその対策
19章 個体に対する放射線の作用
20章 放射線による悪性腫瘍の誘発
21章 胎内被ばくの影響
22章 放射線の寿命に対する影響
23章 放射線の遺伝的影響
24章 環境放射線
25章 放射線防護
26章 原子力施設の事故と被ばく
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書籍情報
- ISBN:9784765315593
- ページ数:496頁
- 書籍発行日:2013年4月
- 電子版発売日:2013年9月6日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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