臨床胎盤学

  • ページ数 : 199頁
  • 書籍発行日 : 2013年11月
  • 電子版発売日 : 2016年10月14日
15,400
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商品情報

内容

胎盤病理の決定版!

母体・胎児の説明のつかない臨床事象が胎盤を詳細に検討することで判明する過程を、500枚超の胎盤肉眼写真・病理写真を示しつつ解説。
胎盤病理に関わる、婦人科医、新生児科医、病理医など、周産期医療に関わる医師に一読いただきたい一冊。

序文

刊行に寄せて

有澤先生と私の出会いは先生が開院間もない大阪府立母子保健総合医療センターに研修医としてこられた時でした.産科をはじめに病理部,母性内科,新生児科と当時の周産期部門すべての研修をされました.この4部門をすべて研修し回ったことが今の有澤先生の基礎を築いているはずです.いつも白衣を着てほとんど24 時間をセンターで過ごしていました.またこのときに病理部を回らなかったら今の有澤先生はなく,中山雅弘先生のもとで胎盤病理を学んだことが以後の有澤先生の道筋を決定したでしょう.

ハイリスク妊娠の管理を産科,母性内科で学び,ハイリスク妊娠から生まれた赤ちゃんの管理を新生児科で学び,またハイリスク妊娠を繰り返さないために行きつく先は胎盤病理だったはずです.

有澤先生は大阪府立母子保健総合医療センターを退職後,世界的な胎盤病理の権威者であるアメリカ,オクラホマ大学のアルトシュラー博士のもとで学んでいます.アルトシュラー博士の言葉に「A placenta which we love.」という言葉があるそうで,当時はその意味がわからなかったが今ではその意味は「胎盤をみれば多くの周産期異常の原因がわかり,たくさんの児を救うことができる」という意味であると今になってわかるようになったと言われています.

アルトシュラー博士から教わったのは,胎盤に対する情熱,産科臨床と胎盤がいかに密接な関係があるかということだそうです.私も後年,有澤先生と私の長男(現在大阪医科大学産科医)とともにアルトシュラー博士を訪ねましたが博士の語る母や児に対する愛情から生まれる胎盤学は素晴らしいものでした.私が在籍していた大阪府立母子保健総合医療センター母性内科の標語の一つに「胎盤は児の履歴書」というものがあります.胎盤をみることで赤ちゃんの育ってきた環境を知ることができるという意味で胎盤の重要性を説いています.

産科の先生は臨床の場でこれまで疑問を持ちつつそのまま終わらせていたことが多いと思います.この本では,日々の産科臨床でよく経験する子宮内胎児発育不全や妊娠高血圧症,絨毛膜羊膜炎の胎盤病理について詳細な解説がなされています.おそらくいくつかの疑問を解いてくれることでしょう.

この本で秀逸なのは母体・胎児の説明のつかない臨床的な事象が,胎盤病理を詳細に検討することにより判明することを教えてくれている点です.例えば原因不明の子宮内胎児死亡の胎盤を詳細に検索することにより,その原因が判明することも少なくありません.その原因が判明すれば,次回妊娠に向けて治療戦略を立てることもできるし,偶発的に起こってしまった事象なのか,次回妊娠で繰り返す可能性があるのかを判別できれば,患者さんに説明しサポートしていくこともできるという点ではとても重要になってきます.

胎盤病理というと,一般の産科医は敬遠しがちですが胎盤をみる際に最も重要なことは,肉眼所見でありその肉眼的な変化を病理で確認することが重要であると有澤先生は強調しています.よって疑問のある症例の胎盤はすぐにホルマリン処理して病理検査に提出するのではなく,胎盤の肉眼的変化を詳細に観察した上で病理精査にまわすことが大切です.

産科の先生方が本書を読んでもっと胎盤に目を向けていただければ良いかと思います.本書を読んで胎盤に興味をもつ産科医,病理医が増えることを期待し,著者には胎盤病理の重要性を強く訴える牽引者とし今後の活躍を期待します.

2013 年9 月

ふじたクリニック院長

藤田富雄

目次

1章 胎盤の発生と構造(正常と異常)

1 受精と着床

2 胚子・絨毛の初期発生異常

3 絨毛

4 早期流産(妊娠12週未満)

5 染色体異常による流産と習慣性流産

6 妊娠11週の胎内死亡

7 後期流産

8 不育症

9 子宮外妊娠

10 水腫状絨毛

11 絨毛性疾患(胞状奇胎)

12 胎児共存奇胎

13 絨毛性疾患(絨毛癌)

14 胎盤の肉眼像(胎盤の位置・構造)

15 胎盤の肉眼像(胎盤胎児面の色)

16 胎盤実質

17 胎盤外・胎盤部 絨毛膜羊膜

18 羊膜の異常

19 羊膜結節

20 羊膜結節の発育のStaging

21 腹壁破裂

22 Basal plate

23 脱落膜内のらせん動脈

24 母体面静脈の血栓

25 絨毛の週数別の発育

26 末梢絨毛の異常

27 胎盤表面および幹絨毛の血管

28 胎盤の肉眼像の異常(梗塞と血栓)

29 心筋梗塞と胎盤梗塞―意味深い胎盤梗塞

30 臍帯の長さと太さの異常

31 臍帯過捻転

32 臍帯過少捻転

33 臍帯の血管異常

34 臍帯の付着異常

35 臍帯結節

36 臍帯膠質の異常

37 胎盤の形態異常

38 胎盤の位置異常

39 前置血管

40 癒着胎盤

1.Placenta percreta

2.Placenta increta

3.Placenta acreta

4.瘢痕部癒着胎盤

41 付着胎盤

42 Breus'mole

43 胎盤周囲の血栓(血腫)

44 Subchorionic fibrin plaque

45 胎盤血管腫

46 臍帯血管腫

47 Placental mesenchymal dysplasia(PMD)

1.通常のPMD

2.BWSの胎盤,PMD,異常大型絨毛,chorangiosisの合併

3.Pseud PMD

2章 母体異常と胎盤

1 早産

1.絨毛膜羊膜炎(CAM)

2.Blancの子宮内感染

3.Blanc分類

4.新生児慢性肺疾患(CLD)の胎盤

5.CAMの新分類の試み

6.慢性絨毛膜羊膜炎

7.正期産CAM

8.脱落膜炎

9.臍帯炎

10.細菌性腟症

2 妊娠高血圧症候群(PIH)の胎盤

1.胎児低酸素の原因分類

2.PIHの胎盤病理

3.HELLP症候群

3 常位胎盤早期剥離

1.クブレール子宮(子宮溢血斑)

2.常位胎盤早期剥離と絨毛膜羊膜炎

3.常位胎盤早期剥離と新生児死亡

4.慢性早剥羊水過少症候群(CAOS)

5.常位胎盤早期剥離のまとめ

4 妊娠糖尿病と糖尿病

1.妊娠糖尿病(GDM)と糖尿病(DM)の絨毛病変

2.GDM,DMにみられるIUFD

5 自己免疫疾患・膠原病合併妊娠

6 サイトメガロウイルス(CMV)

7 パルボウイルス(PVB19)

8 カンジダ性臍帯炎

9 Villitis of unknown etiology(VUE)

1.VUEの組織学的Group分類

2.VUEの組織学的Grade分類

3.VUEのマクロとミクロ

4.Chronic intervillositis

5.VUEの絨毛の血管異常

10 Chorangiosis

1.Chorangiosisの発症

2.ChorangiosisのGrade分類

3章 児の異常と胎盤

1 胎児発育不全(FGR)の胎盤

2 IUFDの胎盤と胎児機能不全(NRFS)の胎盤

3 メコニウム(胎便)の深達度と新生児仮死

4 胎児母体間輸血症候群

5 13,18,21トリソミーおよびターナー症候群の胎盤

1.21トリソミーの胎盤

2.21トリソミーに合併した一過性異常骨髄増殖症

3.胎児の悪性腫瘍の胎盤への浸潤
*神経芽腫の胎盤への浸潤

4.18トリソミーの胎盤

5.18トリソミーに偶然合併した胎盤異所性肝組織

6.13トリソミーの胎盤

6 ターナー症候群

7 羊膜索症候群

8 双胎

1.DD双胎

2.MD双胎(selective IUGR)

3.双胎間輸血症候群(TTTS)

4.胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術

資料編

1 どのように胎盤を見るか

2 どの胎盤を病理検査するか

3 なぜ胎盤を検査するのか

おわりに

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書籍情報

  • ISBN:9784765315647
  • ページ数:199頁
  • 書籍発行日:2013年11月
  • 電子版発売日:2016年10月14日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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