特発性正常圧水頭症の診療

  • ページ数 : 224頁
  • 書籍発行日 : 2014年10月
  • 電子版発売日 : 2016年10月14日
7,480
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商品情報

内容

一般に広く知られているとはいえない「特発性正常圧水頭症」についてまとめられた書

本書は最近の髄液研究の進歩も含めて、特発性正常圧水頭症診療の最前線を神経内科、脳神経外科、精神科をはじめ、多くの医療関係者を対象に理解しやすい形でまとめたものです。
「隋液」についても最新の研究結果を記し、脳神経外科や神経内科などの「教科書」における隋液研究の記述に一石を投じる一冊に。

序文

序文

本書は2014 年の時点における「特発性正常圧水頭症」についての最新の知見をまとめたものである.正常圧水頭症自体は1965年にAdams RDやHakim Sらによって報告され,当初より先行疾患の明らかな二次性と原因不明の特発性があることが知られていた.1970年代の初期には「治療可能な認知症 treatable dementia」として世界的に脚光を浴びたが,くも膜下出血後におこる二次性正常圧水頭症は明らかな治療効果が得られるのに対して,特発性正常圧水頭症は診断が難しく,髄液シャント術を行っても慢性硬膜下血腫の合併頻度が高く,穿頭血腫除去やシャント管結紮の必要な例が多く発生した.このため,脳神経外科医は"特発性"は手術すべきでないと考えるようになり,これ以降,正常圧水頭症は二次性正常圧水頭症と同義とみなされるようになった.今から振り返れば,診断法が十分でなかったことや圧可変式シャントバルブといった治療器具のなかったことが「特発性」を排除する原因になったと思われる.しかし,ひとたび出来上がった「常識」の壁は厚く,特発性正常圧水頭症の概念のリバイバルは容易ではなかったのも確かである.本書は読者が特発性正常圧水頭症に関する教科書としてご利用になることも想定しているが,一方で,いまだ未解決の問題も多く,道半ばであることも汲み取って頂きたいと思っている.

髄液研究は古くから行われてきており,もはや研究すべき点はないと思われている方も多い.しかし,我々が「第3循環」として何の抵抗もなく信じてきた髄液研究の大前提に対して,いま,「髄液は本当に循環するのか?」という根本的な疑問が突きつけられている.常識になるには多くの時間と仕事量を必要とするが,いったん常識になると誰も批判しなくなるのが世の常である.見方を変えれば別の可能性もあることにも留意しておかねばならない.本書が脳神経外科や神経内科などの「教科書」における髄液研究の記述に一石を投じることができれば,これに過ぎる喜びはない.

本書は多くの方々のご協力によって,髄液研究の最前線の一端を示すことができた.著者はお忙しい方々ばかりなのに,本書の作成にご協力頂いた.心から感謝致します.


平成26年残暑 記
新井 一,森 悦朗,石川 正恒

目次

I 特発性正常圧水頭症研究の歴史

II 脳脊髄液研究再考

III 脳脊髄液とperivascular space

IV 脳脊髄液拍動とcerebrospinal fluid pulsation

V MRIを用いた脳内の水の動きに関する研究

VI 正常圧水頭症の分類

VII 特発性正常圧水頭症診療の現況

VIII 特発性正常圧水頭症の診断

1. 歩行障害

2. 歩行評価の実際

3. 認知障害

4. 認知機能検査の実際

5. 排尿障害

6. その他の症状

7. 鑑別診断

8. MRI・CT所見

9. タップテスト

10. 脳血流

11. 頭蓋内圧,脳脊髄液流出抵抗,脳脊髄液マーカー

12. 疫学

13. Binswanger病

IX 特発性正常圧水頭症の診断の流れ

X 特発性正常圧水頭症の治療

1. 手術適応と術前管理

2. 脳室・腹腔シャント術

3. 腰部くも膜下腔・腹腔(LP)シャント術の最新手技

4. 術後管理(周術期)

5. リハビリテーションの実際

6. 退院後の管理


索引


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書籍情報

  • ISBN:9784765316170
  • ページ数:224頁
  • 書籍発行日:2014年10月
  • 電子版発売日:2016年10月14日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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