肥満患者の麻酔

  • ページ数 : 268頁
  • 書籍発行日 : 2018年11月
  • 電子版発売日 : 2019年1月25日
7,260
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商品情報

内容

麻酔科医の皆さん!肥満患者を担当することになり,慌てた経験はありませんか?

海外の文献を取り寄せずとも,この1冊があればストレスなく肥満患者の麻酔管理に臨めます. 肥満患者に対する麻酔管理についてまとめた本邦初の成書.海外とはやや事情の異なる日本の肥満患者の病態生理,術前診察,術前準備,術中・術後管理などをわかりやすく解説.

序文

現代病である"肥満"は,欧米のみならず日本においても大きな問題であり,世界の肥満人口は増加しています.また腹腔鏡手術の普及と共に,肥満を手術で治療する肥満外科手術が世界的に増加してきましたが,本邦でもニーズが高まり,2014年には一部の術式(腹腔鏡下袖状胃切除術)が保険収載され,適応が拡大されつつあります.

このような状況下,私たち日本の麻酔科医にとって,肥満患者の全身麻酔は決して他人事ではなくなりました.しかしいざ高度肥満患者を目の前にしたとき,気道管理や薬剤投与などどうすれば良いか分からない,調べたくても教科書がない,そんなジレンマに日々,多くの麻酔科医がぶつかっています.世界では,米国で2004年にISPCOP(International Society for the Perioperative Care of the Obese Patient)が,ヨーロッパでは2009 年にESPCOP(The European Society for Perioperative Care of the Obese Patient)が設立され,これらの学会が中心となって肥満患者麻酔の方法やトピックスを発信していますが,未だ歴史が浅い領域といえます.

そして今回,上北先生より,「日本にも安全に肥満患者の麻酔を行うための専門書が必要です.」との熱意溢れるお誘いを受け,本書が企画されました.

私自身は日々,多くの肥満患者と向き合っている麻酔科医ですが,周囲には内科医,外科医,精神科医など,それぞれの分野で活躍されている肥満治療のエキスパートがいます.そこでこれらの専門の先生方に本書の分担執筆をお願いし,麻酔科医が学ぶべき,臨床に役立つ知見をまとめました.

また日本人を含むアジア人は,欧米人の肥満と異なり,肥満度が低くても糖尿病を代表とするメタボリックシンドロームなどの合併症を生じやすく,肥満そのもの以上に肥満関連合併症による障害が高度であるという特徴があります.海外とやや事情の異なる日本の肥満患者の病理学的・心理学的特徴をも理解していただければ,全身麻酔は決して難しいものではありません.また非肥満患者の麻酔にも応用可能なノウハウがたくさんあります.

肥満患者の麻酔を依頼されたときに,臆することなく笑顔で引き受け,安全で適確な麻酔管理を行えること,それが本書の目指すところです.ひとりでも多くの麻酔科医が本書を手に肥満患者麻酔を実践していただけることを願っています.


2018年10月

白石 としえ

目次

1章 肥満とその病態生理

1 肥満の定義と患者の動向

2 肥満による心血管系の変化

3 肥満による呼吸機能の変化

4 肥満と閉塞性睡眠時無呼吸

5 腎機能の変化

6 消化管および代謝の変化

7 血液の変化

8 心理状態

2章 術前評価と管理

1 術前評価

2 心機能評価

3 気道の評価

4 術前内科管理

5 抗血栓療法

6 物品管理

3章 術中管理

1 前投薬および絶飲食

2 手術室セッティング,モニタリング

3 全身麻酔導入

4 薬剤投与量

5 術中体位

6 循環管理(輸液管理)

7 呼吸管理

8 体温管理

9 血管確保

10 気腹状態での変化

11 覚醒・抜管

12 DVTとPTE

13 区域麻酔と超音波の活用

4章 術後管理

1 術後鎮痛

2 合併症とその対策

3 肥満手術とERAS

5章 肥満手術

6章 帝王切開術

7章 小児


略語一覧,索引

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書籍情報

  • ISBN:9784765317603
  • ページ数:268頁
  • 書籍発行日:2018年11月
  • 電子版発売日:2019年1月25日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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