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唾液腺細胞診ミラノシステム
William C. Faquin , Esther Diana Rossi (原著編集) / 樋口 佳代子 , 浦野 誠 (監訳) / 金芳堂
商品情報
内容
・国際細胞学会IACが刊行した唾液腺細胞診の国際的な報告様式Reporting Systemの日本語版.
・国内には標準化された報告様式がなく,診断精度の向上や臨床と病理の意思疎通が難しい要因となっていた.原著の共著者である樋口佳代子氏と浦野誠氏が監訳者となり,本書はより原文に即した分かりやすい内容に仕上げた.
・第1章では,イントロダクション,続いて細胞診の報告は,I.不適正,II.非腫瘍性,III.意義不明な異型(AUS),IV.腫瘍〔A.良性,B.良悪性不明な唾液腺腫瘍(SUMP)〕,V.悪性の疑い,VI.悪性の6段階で報告するよう病変の実例を含めて分かり易く説明している.
・平易な美しい日本語を駆使して読みやすく,細胞診の写真の質も保たれていて見やすい.
・ミラノシステムの本領は細胞検査士,病理医,細胞診に携わる臨床医,画像診断医を有機的に結び付け,唾液腺腫瘍の診断と治療に有益な指針を示すことである.診断が困難な唾液腺細胞診の領域で,本書が国際水準の細胞診断をする際の座右の書として,大いに活用されることを願う.
序文
「ずっと以前から私が気づいていたことだが,何かを成し遂げる人はじっと座って物事が起こるのを待つことはしないものである.彼らは自ら行動し物事を起こすのである」
―レオナルド・ダ・ヴィンチ
本アトラスは唾液腺細胞診の分類と報告を標準化するための国際的な協働作業の結晶である.それは多様にして複雑,しかも病変間で細胞像に類似性があるという唾液腺細胞診の難しさを乗り越えて成し遂げられた.唾液腺細胞診断の要点は病変を同定,トリアージし,必要とされる臨床的対応につなげることである.穿刺吸引細胞診は,その診断に限界があるとしても,今なお最も効果的で最も侵襲の少ない診断法である.相次いで発見されている遺伝子変異とそれに基づく分子生物学的な検査により外科病理医や細胞診断医は高い特異性をもってそれらの腫瘍を診断できるようになっている.しかし限られた検体でより多くの検査が求められるという難題が残っている.これはいまだ穿刺吸引細胞診が診断手技として最前線にあることを意味している.唾液腺細胞診ミラノシステムにより,診断報告のための理論的かつ実用的で柔軟な用語が提供され,病理医と臨床医が効率的に対話することで患者ケアが向上し望ましい結果につながる.
ミラノシステムの進化はダ・ヴィンチの前提に導かれるように起こった.それは2015年の初頭,イタリアボローニャでの友人同士の軽い会話として芽生え,その年のボストンでの北米病理学会(USCAP)年次総会において仲間たちによって明確な計画になった.時は熟し患者中心の医療の中で唾液腺細胞診報告の難題に取り組む時がきた.巣立ったばかりの小鳥のようなこの計画はあっという間に成長した.2015年9月,ミラノで開催されたヨーロッパ細胞学会で一握りの専門家たちが集まり,the Milan System for Reporting Salivary Gland Cytopathology(MSRSGC)―唾液腺細胞診ミラノシステムが現実のものとなった.米国細胞病理学会と国際細胞学会がミラノシステムの作成を支援し,両学会のリーダーが診断区分作成において細胞診断医としてコアメンバーに加わり,ワーキンググループ構築のため国際的なメンバーを招聘した.ミラノシステムは,1990年代半ばにベセスダで考案された子宮頸部細胞診ベセスダシステムや,2010年に甲状腺細胞診ベセスダシステムとして考案されきわめて成功した様式を採用して作成された.
最初のアイデアが生まれてから一年足らずで,ミラノシステムのワーキンググループは2016年のシアトルでのUSCAP開催期間中に最初の会合をもち,完成までの野心的な予定表を策定した.また米国細胞病理学会のコンパニオンミーティングにおいてDr. Faquinにより「唾液腺細胞診報告を標準化すべき時―ミラノシステムの紹介」として細胞診関係者に発表された.そして2017年のサンアントニオにおけるUSCAPではワーキンググループはその仕事の大半を予定どおりに,そして目標どおりに完成させたのである!この体系的なアトラスの出現は唾液腺細胞診における大きな進歩である.ミラノシステムの特筆すべき点のひとつは,根拠に基づいてリスクを層別化し,最適な患者ケアをめざした適切な臨床的対応を促すように診断区分が設定されていることである.
このテキストと付随のウェブアトラスは米国細胞病理学会のウェブサイトで簡単に閲覧可能であり,読者が着実に新システムの用語を理解できるように構築されている.読者は唾液腺細胞診の特性にあうように他のガイドラインや報告様式を改変した6つの主な診断区分になじむようになるだろう.悪性のリスク(ROM)の統計値は現在の文献から収集されたものであるが,ミラノシステムが運用された後にさらなる研究成果が出版されれば必ずや修正されるだろう.細胞診の熟練者も初心者も同様に,虹色に煌めくこれらのページの中に診断のパールを発見することだろう.診断上しばしば問題となるこの領域に関して,診断基準,問題点やピットフォールを説明するために,高品質の図譜が注意深く選択されている.
国際的な報告様式の採用は報告用語の革新をもたらし,明快で標準化されたコミュニケーションを通じて患者診療に大きなインパクトがあり,また将来の診断や治療の進歩をいっそう加速する.このアトラスにより,共同編者であるDr. FaquinとDr. Rossiは「物事を起こした」,そして彼らの遺産は確実に唾液腺腫瘍の診断と治療にインパクトを与えるだろう.
Celeste N. Powers
Division of Anatomic Pathology, Department of Pathology
VCU Health System, Medical College of Virginia Hospitals
Richmond, VA, USA
目次
第1章 唾液腺細胞診ミラノシステム
第2章 不適正
第3章 非腫瘍性
第4章 意義不明な異型
第5章 腫瘍
第6章 悪性の疑い
第7章 悪性
第8章 唾液腺細胞診の補助診断
第9章 臨床的対応
第10章 組織診断と唾液腺腫瘍の組織分類
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書籍情報
- ISBN:9784765317863
- ページ数:155頁
- 書籍発行日:2019年6月
- 電子版発売日:2019年6月19日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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