研修医必携 エビデンス身体診察

  • ページ数 : 88頁
  • 書籍発行日 : 2007年3月
  • 電子版発売日 : 2020年4月24日
2,750
(税込)
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商品情報

内容

画像診断などの発達がめざましい今日でも,上手な身体診察は非常に有用であることは言うまでもない.本書は,各診察法について感度・特異度・尤度比などのevidenceを可能な限り提示し,有用な診察法を研修医にとって必要最小限の範囲に絞り込んで編集.各章の冒頭には身体診察のチェックリストを掲げ,本文で詳しい解説を施している.根拠に基づいた身体所見のとりかたをわかりやすくまとめた,日常診療に役立つミニマムエッセンシャル.

序文

身体診察は面倒だと感じていませんか?

「指導医にもうるさく言われるし,何となく大事なのかなと感じていても,カルテの膨大な身体診察の項目を埋める作業にはうんざり.だいたい指導医もほとんど診察していないじゃないか.未記入のままのカルテを見ると,何となく罪悪感を覚えるけれど,そもそも目の前の患者にどんな診察をしたらよいかよくわからないし....検査をすればどうせ診断がつくから...今回は胸の音だけ聴いておこう...」

こんなおもいをしたことはありませんか?そんなあなたのストレスを,少しでも軽減しようと本書は誕生しました.

まず本書では,「基本的身体診察法」をとりあげます.これは専門によらず医師として最低限身につけておくべき身体診察法です.伴らはこの項目を必要最小限に絞り込むため,JAMA のRational Clinical Examinationに代表される感度,特異度などの身体診察の操作特性に関する優れた研究を参考にし,evidence のない診察法に関しては各方面からの意見を参考に議論を重ね,ある程度のコンセンサスを得て発表しました1~3).卒前教育での診察項目のガイドラインが最近示されましたが4),本書で述べる項目はそれに比して項目数を絞り込んであります.『実践にとって大切なことは,その対象を網羅することではなく,必要最小限のものをしっかりと身につけることである』と考えるからです.

本書ではさらに,各章の冒頭で「基本的身体診察法」を項目別のチェックリスト"EssentialMinimum"として掲載し,本文でどのような臨床の場面で有用であるか,詳しい解説をつけるという形式になっています.特にそれぞれの診察の感度,特異度,尤度比などのevidence を可能な限り検索し,引用文献に挙げてあります.

"Essential Minimum"は,別売のビデオと照らし合わせていただくと学習の流れが効果的につかめると思います2).

なお,それぞれの診察法の有用性についてわかりやすいように陽性尤度比10以上(陰性尤度比0.1以下)のときは「~である(ない)ことを強く示唆する(示す)」と表現し,陽性尤度比5前後(陰性尤度比0.2前後)のときは「~である(ない)ことを示唆する(示す)」,陽性尤度比2.5前後(陰性尤度比0.4前後)のときは「~である(ない)ことを弱く示唆する(示す)」と表現してあります.

身体診察の研究は,サンプル数が小さい,デザインが古い,妥当性(とくに内的妥当性)が低い,などの問題を抱えていることが多いことは否めません.しかし,身体診察の有用性に対する一定のイメージを持っていただくために,本書ではあえて尤度比などをそのままに示しています.余裕のある方は,ぜひ引用文献にもあたってみてください.


名古屋大学医学部附属病院総合診療部
宮崎 景



◆◆◆ 参考文献 ◆◆◆

1)伴信太郎:川崎医会誌24:231─242,1998

2)伴信太郎監修:基本的身体診察法(全5 巻),メディカル情報センター,1999

3)北村和也,伴信太郎:診断と治療88:10─15,2000

4)共用試験実施機構運営委員会・OSCE委員会 医科OSCE 分科会:診療参加型臨床実習に参加する学生に必要とされる技能と態度に関する学習・評価項目(改正案),2002

目次

1.身体診察法概論

I.診察に際してのマナー

II.基本技能

1.打診

2.聴診

3.触診

2.全身状態とバイタルサイン

I.全身状態

II.バイタルサイン

1.脈拍(心拍)

2.呼吸

3.血圧(上肢)

4.血圧(下肢)

5.体温

3.頭頸部の診察

I.頭部

1.頭

2.眼

3.耳

4.鼻

5.口腔および咽頭

II.頸部

1.頸部リンパ節

2.甲状腺

3.頸動脈

4.心臓の診察

I.仰臥位

II.左側臥位45度

III.心雑音

5.胸部の診察

座位[前向き]

1.前胸部

座位[後向き]

2.背部

6.乳房の診察

座位4姿勢

視診

仰臥位

触診

座位

触診

7.腹部・直腸の診察

仰臥位

1.視診

2.聴診

3.打診

4.触診

5.特殊な診察

直腸の診察

8.神経の診察

1.脳神経のスクリーニング

2.運動神経のスクリーニング(上肢)

3.小脳機能と深部知覚のスクリーニング

4.髄膜刺激症状

5.運動機能のスクリーニング(下肢)

6.感覚機能のスクリーニング

7.深部腱反射

8.四肢の痙直と硬直(強剛)

9.高次脳機能検査

9.上肢の診察

1.上肢前方90度挙上

2.関節(肩・肘・手)

3.リンパ節

10.下肢の診察

1.浮腫

2.動脈の触診

3.関節

4.リンパ節

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書籍情報

  • ISBN:9784830610097
  • ページ数:88頁
  • 書籍発行日:2007年3月
  • 電子版発売日:2020年4月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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