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- 手術 2019年3月臨時増刊号 特集 73巻4号 高度進行消化器癌に対する手術【電子版】
商品情報
内容
かつて，その答えは，高度な手術手技を駆使した広範なリンパ節郭清，血管・他臓器合併切除を伴う拡大手術であった。その後，予防的拡大手術の有効性は否定されたものの，消化器癌の根治治療における「切除」の重要性は不変であり，必要な時に最適なタイミングで，高度な手術手技を駆使した安全・確実な手術を施行できることは，いまなお癌外科医の目指すべき道，あるべき姿といえる。
化学（放射線）療法後のconversion surgeryやadjuvant surgeryなど，集学的治療のなかでより高難度の手術を行うケースも増えている。そうした意味で，高度進行消化器癌に対する手術は「伝家の宝刀」であり，本特集で語られる手術の理論や適応，手術手技が，読者諸兄の外科医魂に火を灯すことを願う。
序文
序
高度進行消化器癌に対する手術は伝家の宝刀
癌手術において前世紀の手術の潮流は拡大手術であり、血管合併切除を中心とした他臓器合併切除など、外科技術を駆使して根治率を上げる努力がなされてきた。しかし、前世紀末から今世紀にかけ多くの予防的拡大手術の有効性をみる無作為化比較試験が行われ、そのほとんどは拡大手術の根治率向上において否定的な結論であった。
今世紀の潮流は低侵襲手術と、化学療法などと手術を組み合わせる集学的治療である。むやみな拡大手術は避け、現代の拡大手術は必要な時にのみ最適のタイミングで行われるようになった。ただ、化学療法は進歩しても消化器癌において唯一の根治治療が切除であることに変わりはなく、その意味で高度進行消化器癌に対する手術は伝家の宝刀といえるだろう。従来から行われてきた正攻法の拡大手術や再発巣に対する手術に加え、化学療法により切除不能であった進行癌が切除可能となり根治を狙うconversionsurgery、化学療法の流れのなかで予後の延長を図るadjuvant surgery など、手術の役割は現在でも重要である。
今回の臨時増刊号で取り上げる手術の多くは、通常では切除適応外、もしくは不能とされる高度進行消化器癌症例を対象とするものである。切除不能癌を切除し治すことは癌外科医にとって永遠のテーマであり、醍醐味であろう。本特集が、高度進行消化器癌に対する手術の理論、適応、手術手技を多くの外科医に伝え、それぞれの外科医魂に火を灯すことを期待したい。
2019年3月
「手術」編集委員
齋浦 明夫
順天堂大学肝胆膵外科教授
目次
特集 高度進行消化器癌に対する手術
I.上部消化管
1.大血管浸潤高度進行食道癌に対する手術
2.気道系浸潤高度進行食道癌に対する手術
3.進行食道胃接合部癌に対する手術
4.膵脾合併切除を伴う腹腔鏡下胃癌手術
5.高度進行胃癌に対するロボット支援下膵頭十二指腸切除
6.術前化学療法後の胃癌に対する大動脈周囲リンパ節郭清術
7.胃癌腹膜播種に対する腹腔内化学療法奏功後の胃切除
II.下部消化管
1.膵頭十二指腸切除を伴う結腸癌手術
2.精嚢・前立腺合併切除を伴う直腸癌手術
3.膀胱・尿管合併切除を伴う大腸癌手術(化学療法後の根治手術)
4.卵巣・子宮・膣合併切除を伴う大腸癌手術
5.局所再発直腸癌に対する開腹骨盤内臓全摘術の要点
6.高度進行直腸癌に対する腹腔鏡下骨盤内臓全摘術
7.大腸癌に対する大動脈周囲リンパ節郭清術
8.大腸癌腹膜転移(播種)に対する腹膜切除と腹腔内化学療法
III.肝・胆・膵
1.大腸癌肝転移に対する二期的肝切除の理論と実際
2.ALPPS手術による二期的肝切除
3.Partial TIPE ALPPSによる二期的肝切除
4.肝静脈再建を伴う肝切除
5.門脈腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌に対する肝切除の適応と手技
6.胆管腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌に対する肝切除
7.肝静脈腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌に対する肝切除
8.右房内腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌に対する人工心肺使用下肝切除
9.下大静脈浸潤を伴う肝内胆管癌に対する血管合併切除再建
10.進行胆嚢癌に対する胆嚢摘出+肝中央下区域(S4a+S5)切除+肝外胆管切除
11.肝門部領域胆管癌に対する血管合併切除を伴う右葉・右3区域切除
12.肝門部領域胆管癌に対する血管合併切除を伴う左3区域切除
13.広範囲胆管癌に対する肝膵同時切除
14.BR膵癌に対する門脈合併切除を伴う膵頭十二指腸切除
15.BR-UR膵癌に対する動脈合併切除を伴う膵頭十二指腸切除
16.BR-UR膵癌に対する腹腔動脈合併尾側膵切除(DP-CAR)
17.広範囲膵頭体部癌に対する膵全摘(残膵全摘を含む)
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