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- 眼科 2018年9月号 60巻9号 特集 糖尿病網膜症の最新情報を読み解く【電子版】
商品情報
内容
特集 糖尿病網膜症の最新情報を読み解く
序論
1. 薬物治療の進歩(基礎編)
2. 薬物治療の進歩(臨床編)
3. OCT angiographyの新知見
4. 糖尿病黄斑浮腫に対する標準的治療
5. 硝子体手術
6. 糖尿病網膜症と食事・栄養摂取
7. 糖尿病網膜症のスクリーニング(内科診療との連携)
8. 糖尿病網膜症のあたらしい診断
ほか
序文
序論
糖尿病網膜症は,眼科医が日常診療で遭遇する頻度の高く,最も関心の高い疾患のひとつです。これは,糖尿病網膜症はその患者数が多くさらに失明原因の主因であるからでしょう。糖尿病網膜症は,長足の進歩がみられるものの,2007 年の国の国民健康・栄養調査によれば約2,200 万人の糖尿病患者が存在すると類推され,そのなかで視機能に強く影響を及ぼすであろう患者数は200 万人を超えると類推されています。さらに,高齢化により患者数は増え続け,難治症例も増加し続けているのが現状です。このため,この分野では多くの研究者により日々あたらしい知見が生まれています。
しかし,溢れ出るさまざまな情報のなかで,漠然とあたらしい薬や機器の名称を記憶はしていてもその成り立ちや意味を正しく理解することは,なかなか難しいものです。そこで,本特集では,"糖尿病網膜症の最新情報を読み解く"と銘打ち,糖尿病網膜症の専門家ではない眼科医を対象に,難解にみえる糖尿病網膜症の最近の進歩をわかりやすく理解することを主眼に,それぞれの分野の第一人者に,基礎から臨床まで糖尿病網膜症の最新のポイントをカバーしていただきました。執筆者はすべて脂の乗った研究者ばかりで,一読していただくとおわかりと思いますが,筆者の丁寧で熱のこもった文章にお気づきになるでしょう。
では,どのような特筆する進歩が糖尿病網膜症で近年みられているのでしょうか。ひとつには,薬物の進歩が挙げられます。抗VEGF 薬は,本疾患の標準的治療薬となり久しく,Avastin Ⓡ , Lucentis Ⓡ , Eylea Ⓡとしてよく知られている薬と思います。それぞれの薬の特徴は把握しているものの,薬剤の作用機序を分子生物学的に理解して使用するのは難しいことです。そこで,抗VEGF 薬の分子生物学的解説を特集1 項では,簡潔に記載してもらっています。さらに,糖尿病網膜症の炎症の抑制・制御も重要な薬物治療のひとつであり,最新のステロイド薬について知ることもできます。また,Ang2,Tie2 はあたらしい分子標的薬として注目されており押さえておく必要がありそうです。
しかし,実臨床での薬物治療はどうなのでしょうか。特集2 項では,薬物治療の進歩を大規模臨床試験を中心に解説しています。私たちの関心は,さまざまな抗VEGF 薬は臨床上どこが違うのかという点と思います。この項では,自験例を中心にa f l i b e r c e p t( E y l e a Ⓡ)とr a n i b i z u m a b(Lucentis Ⓡ)との薬物の比較がなされています。また,2015 年のDRCR.net の3 剤比較試験1 年後の報告では治療開始時に視機能の悪い症例では,aflibercept が有効であるが,2 年後報告では各群で有効性の有意差はみられなくなったと詳細が出ています。また,brolucizumab の登場やAng2阻害剤の開発など,これからの薬剤も知っておく必要がありそうです。
OCTA(OCT angiography)は,革命的な網膜血管の描出機器で,非侵襲的に血管構築を画像化できる装置であり,FA と同様糖尿病網膜症では,押さえておく必要があります。OCTA には,これまでFA では見ることのできなかったいくつかの特徴があります。OCTA だから見られること,たとえば層別血管解析や血管密度など,押さえるべき事柄が,特集3 項に列挙されています。ただ,これまで糖尿病網膜症では周辺部の網膜血管をOCTA で描出することが不可能でした。このため,汎用化は疑問視されていましたが,画像解析技術の進歩は凄まじく,あたらしい広角OCTA の情報が記載されています。FA で見て取れる血管の活動性をどのようにOCTA で解決するかなど,興味をそそる最新の知見が並べられています。
しかし,いくら薬物や画像機器が進歩したとはいえ,いまだに治療に難渋するのが糖尿病網膜症です。特集4 項では,糖尿病黄斑浮腫に対する現時点での実践的な治療戦略に関して記載しています。糖尿病網膜症のような標準治療の難しい疾患では,大規模臨床試験が重要であり,筆者らが行った日本での大規模臨床試験のデータも紹介されており,興味深い内容です。
糖尿病網膜症の硝子体手術は,依然として多く行われているのに違いはありませんが,最近は網膜の解剖学的な再構築だけではなく,手術により糖尿病網膜症へと及ぶ血流の影響に関心を持たれています。特集5 項では,レーザースペックルフローグラフィーを用いて,手術治療により血流がどのように改善するのかを探っています。
糖尿病と栄養との関係は,眼科医も内科医と同様に知識として持っておくべきではないでしょうか。そこで,特集6 項では,食事・栄養摂取に関して,どんな食品が糖尿病網膜症を抑制するのかについての最新の情報をうかがうことができます。青魚に含まれているビタミンD やPUFA と呼ばれる脂肪酸などの有効性が記載されています。患者さんとの情報交換のうえでも有益なようです。
さて,糖尿病網膜症は内科医との連携においてより治療効果が増強することは,さまざまな研究で示されています。特集7 項では,糖尿病網膜症のスクリーニングについて,内科から発信された重要なデータが提示されています。筆者らも述べていますが,重要な全身管理の最新知識を得て内科医にアドバイスするぐらいの気構えが私たちにも必要かもしれません。
最後に,気になるAI と糖尿病網膜症診断に関してです。特集8 項に,その詳細が記載されています。しかし,筆者も述べているように遠からずAI 診断の時代になること,および日本はこの技術革新に出遅れていて,本邦独自のAI の研究開発が必要な時代であると私自身も感じます。
特集8 項まで,糖尿病網膜症の最近のトレンドを一気に紹介しています。読者の皆さまの知識のUPDATE になれば,編集者一同幸いです。
門之園 一明
目次
特集 糖尿病網膜症の最新情報を読み解く
序論
1. 薬物治療の進歩(基礎編)
2. 薬物治療の進歩(臨床編)
3. OCT angiographyの新知見
4. 糖尿病黄斑浮腫に対する標準的治療
5. 硝子体手術
6. 糖尿病網膜症と食事・栄養摂取
7. 糖尿病網膜症のスクリーニング(内科診療との連携)
8. 糖尿病網膜症のあたらしい診断
綜説
脈絡膜と緑内障
近視と緑内障
機器・薬剤紹介
29. 3D Visual Function Trainer-ORTe
眼科臨床研究における統計学のQ&A
Q4. 多変量解析では、たとえば年齢1歳あたり、あるいは年齢10歳あたりなどさまざまな報告がありますが、どのように記載するのがよいのでしょうか?
原著
増殖糖尿病網膜症に合併した血管新生緑内障に対するバルベルトインプラントの手術成績
下直筋鼻側移動術における上下偏位矯正量別の手術効果
私の経験
緑内障診断が困難な症例に対する磁気共鳴画像の有用性
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