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- 眼科 2019年4月号 61巻4号 特集 分子標的薬と眼【電子版】
商品情報
内容
■特集 分子標的薬と眼
序論
1. 分子標的薬総論(抗体医薬と核酸医薬)
2. 抗VEGF剤の眼科応用の現状:AMD
3. 抗VEGF剤の眼科応用の現状:黄斑浮腫治療
ほか
序文
序論
分子標的薬には抗体医薬と核酸医薬がある。眼科臨床に用いられる抗VEGF 剤やTNFα阻害剤の多くは抗体医薬であり,核酸医薬に属するものとしては核酸アプタマーであるペガプタニブがある。核酸医薬は細胞内外で作用し,標的特異性は非常に高く,薬剤耐性を生じる危険性が低く,開発コストも安いというメリットがある。
分子標的薬のうち滲出型AMD に対する抗VEGF 剤として,現在本邦で保険適用されて使用可能なものは3 種類ある。1 本鎖RNA アプタマーの核酸医薬であるペガプタニブは,他の2 剤が使用できないような全身状態の患者に対して使用される。抗体医薬に属するラニビズマブは脈絡膜が薄いRAP や強度近視眼に対して好んで用いられる。一方,網膜色素上皮下病変であるPCVに対してはアフリベルセプトを使用することが多い。
投与方法に関してはreactive 投与である必要時(pro re nata:PRN)投与とproactive 投与であるtreat and extend(TAE)法が広く行われているが,後者では過剰投与が問題となる。その解決策として考えられた関西医大のmodified TAE 法では,導入治療後に経過観察期間を設けて,その情報を利用してTAE 法の受診間隔を決める。またTAE 法では安定期と判断すれば,治療をいったん中断するが,その方法については種々のプロトコールが考案されている。
抗VEGF 剤はBRVO とCRVO に伴う黄斑浮腫に対しても有効な治療法であることが,多くの大規模臨床試験で証明されてきた。ただし,虚血型CRVO による血管新生緑内障に対してはその発症を遅らせるだけで累積発症率を低下させることはないとされている。
糖投与方法に関してはreactive 投与である必要時(pro re nata:PRN)投与とproactive 投与であるtreat and extend(TAE)法が広く行われているが,後者では過剰投与が問題となる。その解決策として考えられた関西医大のmodified TAE 法では,導入治療後に経過観察期間を設けて,その情報を利用してTAE 法の受診間隔を決める。またTAE 法では安定期と判断すれば,治療をいっ* Hiroyuki IIJIMA 山梨大学大学院総合研究部眼科学たん中断するが,その方法については種々のプロトコールが考案されている。尿病黄斑浮腫に対しても抗VEGF 剤の有効性を示す大規模臨床試験は多く報告されてきた。それらのなかで,黄斑部視細胞障害が抗VEGF治療後に修復されるとの報告や,糖尿病網膜症自体の進行も抑制されることなどが新しい知見として報告されてきている。
未熟児網膜症では新生血管や増殖膜発生に引き続く牽引性網膜剥離によって失明する危険性がある。ベバシズマブやラニビズマブなどの抗VEGF 剤がその予防を目的としてオフラベルで使用されてきて,その治療効果が認識されてきている。ただし,発達期の血中のVEGF 濃度低下による眼以外の臓器発達への影響が未解決の問題である。
現在開発中の抗VEGF 薬としては,分子量の小さいヒト化1 本鎖抗VEGF 抗体フラグメントであるブロルシズマブがあり,認可されれば3 か月ごとの維持投与が可能になる可能性がある。さらに以下の新薬が開発中である。
・Abicipar pegol( PEG 化した合成蛋白製剤)
・Conbercept〔VEGF 受容体1(Flt l)の細胞外ドメイン2 とVECF 受容体2(KDR)の細胞外ドメイン3 および4 をヒトIgG のFc 部分に結合させたアフリベルセプトに類似する融合蛋白〕
・Faricimab〔VEGF-A とアンジオポエチン-2(Ang-2)の2 つを阻害する抗体であるbispecificantibody,Ang-l とAng-2 はともに血管内皮細胞に発現するTie-2 受容体のリガンドだが,Ang-2 を阻害することで血管の安定化や血管透過性完進の抑制が得られ,少ない投与回数での治療が期待される〕
・rAAV.sFLT-l (網膜下に注入することにより網膜色素細胞や視細胞にsFLT-l が発現して,VEGF のおとり受容体を発現させ,抗新生血管作用を発揮する)・AAV2.sFLT01(同様の効果が硝子体注入で可能になる)
・RGX-314 (AAV ベクターを用いて,導入された細胞から可溶型抗VEGF 抗体を産生させて,抗新生血管作用を発揮する)
・ADVM-022(AAV ベクターを使用して,アフリベルセプトを眼内で産生させる)
難治性ぶどう膜炎に対する分子標的薬として腫瘍壊死因子TNFα阻害薬であるインフリキシマブとアダリムマブがある。両者はともに可溶性TNFαへの結合と中和,TNFαと標的細胞の受容体との結合の解離,TNFα産生細胞の破壊の3つの作用がある。
インフリキシマブは点滴注射製剤であり,既存治療で効果不十分な,Behçet 病による難治性網膜ぶどう膜炎に対してのみ適応である。一方,アダリムマブは皮下注射製剤で,既存治療で効果不十分な非感染性の中間部,後部,汎ぶどう膜炎が適応になる。使用にあたっては結核を含む感染性ぶどう膜炎や眼内リンパ腫などを十分に鑑別しておく必要がある。加えて,日本眼炎症学会TNF阻害薬使用検討委員会による使用指針および安全対策マニュアルを遵守する必要がある。
飯島 裕幸
目次
特集 分子標的薬と眼
序論
1. 分子標的薬総論(抗体医薬と核酸医薬)
2. 抗VEGF剤の眼科応用の現状:AMD
3. 抗VEGF剤の眼科応用の現状:黄斑浮腫治療
4. 抗VEGF剤の眼科応用の現状:未熟児網膜症
5. 新規抗VEGF薬
6. TNF阻害薬
綜説
再考 円錐角膜に対するハードコンタクトレンズの処方
分層黄斑円孔と黄斑偽円孔のあたらしい捉え方-En face画像を用いた網膜牽引の評価と分類-
DDSによる網膜疾患治療
機器・薬剤紹介
36. Ab internoトラベクロトミーマイクロフック
眼瞼を診る
13. 眼瞼内反と眼輪筋手術
原著
全層角膜移植術後の外傷性眼球破裂の細隙灯顕微鏡検査所見からの予後の検討
臨床報告
マイトマイシンCを併用したシュレム管外壁開放術併用線維柱帯切開術後に両眼に濾過胞感染を繰り返した1例
奇異性斜頸を呈したmasked bilateral superior oblique palsyの1例
ブルートゥ症候群にみられた眼所見
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