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- 眼科 2022年7月号 64巻7号 特集 昨今の神経眼科の話題─神経眼科の進歩 【電子版】
商品情報
内容
1.視神経疾患
2.眼球運動
3.瞳孔と調節 ほか
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序文
序論
皆様,1963年の東大第3内科教授冲中重雄先生の有名な最終講義をご存じだろうか。自身の教授在任中の誤診率(14.2%)について発表をされている。自身の臨床診断と病理解剖結果との比較からの数値であり,その後の「患者はその率の高いのに驚いたが,一般の医師はその低いのに感嘆した」との文言はあまりにも有名である。冲中先生の在任中の剖検率は驚異的で世界的にみてもトップクラスの86.2%で,誤診の判定には3つの判定基準を設け,第一は臓器の診断を間違ったもの,第二は臓器の診断は正しいが,病変の種類を誤ったもの,第三は癌に関するものと続く。
話が脱線したが,実はこの講義は私が生まれた年でまさに60年前のことである。特に画像技術や血液分析技術の進歩から現在は診断において臓器を間違えることはまずないと考えるが,もちろん当時はMRIどころかCTもなく,おそらく採血で判断可能な事項もほんのごく一部であったであろう。神経眼科という領域がやっと生まれた頃で,当時冲中先生は視神経炎の診断やその鑑別はどのように行っていたのか全く想像もできない。直像鏡1本で乳頭を見て診断していたのだろうか。眼球運動,瞳孔反応は肉眼で見て判断し診断を下し,ハンマーで反射を取って病変部位を確定していたのだろうか。
さて半世紀以上が経過した現在,視神経炎と他の原因で生ずる視神経疾患の鑑別も画像,血液分析により多くの症例で可能となり,中澤先生に述べていただいたごとく,その治療も急性期に免疫グロブリンや寛解期の発作予防に分子標的療法等,原因に応じて多くの治療方法が選択可能となってきた。さらに,以前は核上性上下斜視や原因不明と診断された眼球運動障害による複視は実は眼窩内の結合組織の異常で生じ,そのメカニズムも判明してきた。その詳細を鈴木先生にまとめていただいた。自律神経異常である瞳孔調節異常も輻湊開散眼球運動との同時記録が可能になり,そのひとつひとつの反応波形が比較可能になっている。細かな瞳孔,調節,輻湊・開散記録から解明した自律神経異常は前田先生にまとめていただいた。
これらの神経眼科学の進歩はMRIの進歩による恩恵そのものである。Devic先生がDevic病(のちに視神経脊髄炎)を初めて報告したのはおそらく診断ツールが何もない1895年であり,視神経と脊髄だけの脱髄病変を既に報告しており驚異的である。現在はMRIで瞬時に判断が可能であるが,今後の画像診断の展望も含め,橋本先生にまとめていただいた。
読者の先生方には本特集にある,最新の技術を用いた最新の神経眼科学を楽しんでいただき,少しでも明日からの臨床に役立つよう期待いたします。
石川 均
北里大学医療衛生学部視覚機能療法学専攻
目次
特集 昨今の神経眼科の話題−神経眼科の進歩
序論 石川 均
1.視神経疾患 中澤 祐則
2.眼球運動 鈴木 康夫
3.瞳孔と調節 前田 史篤
4.画像(MRI、CT) 橋本 雅人
綜説
網膜ジストロフィに対する遺伝子治療の進歩 西口 康二
新しい滲出型加齢黄斑変性の分類と用語 柳 靖雄
ウェットラボでのトレーニングに役立つ豚眼の解剖の基礎知識
11.豚眼における白内障手術のウェットラボでのポイント 田中 才一
機器・薬剤紹介
56.Ngenuityの活用法(色覚異常の術者による利用など) 住岡 孝吉
原著論文
局所点眼麻酔薬への反応性と神経障害性眼痛の関連について 山西 竜太郎
症例報告
上眼瞼のメルケル細胞癌に対してアベルマブ全身投与を行うも、免疫関連有害事象により急死した1例 竹内 正興
特異なOCT所見を呈した近視性脈絡膜新生血管の2症例 宮田 佳祐
ブリモニジン酒石酸塩点眼による角膜実質混濁を認めた1例 岡橋 昌己
私の経験
白内障周術期にERGで発見された網膜変性疾患の2症例 今居 一輝
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書籍情報
- ISBN:9784003506407
- ページ数:116頁
- 書籍発行日:2022年7月
- 電子版発売日:2022年7月8日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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