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臨床スポーツ医学 2015年11月号(32巻11号)冬季スポーツにおける外傷・障害

  • ページ数 : 100頁
  • 書籍発行日 : 2015年11月
  • 電子版発売日 : 2021年6月9日
2,750
(税込)
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商品情報

内容

「冬季スポーツにおける外傷・障害」特集として,寒冷刺激に対する生理的応答,環境温度とエネルギー代謝の変化,骨格筋と熱産生,アルペンスキーにおける膝関節外傷,スキー・スノーボード競技における頭部外傷,アイスホッケー競技におけるスポーツ傷害,スケート競技における障害予防,寒冷刺激と運動誘発性喘息,寒冷刺激と心臓血管系へのリスク,登山で起こる凍傷と低体温症,ランニングと低体温症 などを取り上げる.

序文

特集 冬季スポーツにおける外傷・障害

わが国は海,山に恵まれ,また,中緯度に位置するという地理的恩恵を受けて四季折々のスポーツや運動を楽しむことができる.しかし,近年は世界的気候変動の影響を受け,“四季を感じる”を通り越し,酷暑あるいは極寒の下での活動を余儀なくされる場合があり,それに伴う健康上のリスクが問題視されている.これまで熱中症など暑熱環境に関する話題は多かったが,寒冷環境や冬季スポーツの特殊性について系統的に取り上げられる機会は少なかった.筆者は長期にわたり,冬季競技団体のサポートに携わってきた経緯があり,多くの専門家の方々との交流や現場での経験を生かして本特集の編集を担当させて頂いた.

本特集は基礎と臨床に分けた構成とした.基礎の項では,まず,寒冷刺激に対する生理的応答について森田先生にわかりやすく解説いただいた.世間では活発に発汗する暑い環境の方が,身体の代謝が亢進するかのような誤った認識が流布しているが,実は寒冷環境下の方が酸素消費量は増加する.これら環境温度とエネルギー代謝の変化について,ヒューマンカロリメーターの貴重なデータもふまえ,田中先生に寄稿いただいた.安静時の非震え熱産生において,筋肉中の蛋白,サルコリピンが最近注目されており,熱産生器官としての骨格筋の重要性について石井先生に解説いただいた.

臨床系の話題は,スキー競技で多い膝外傷について,国際スキー連盟医事員でもあられる古賀先生に予防への取り組みを含め述べていただいた.オリンピックでのメダル獲得もあり今後さらに競技人口が増えると予想されるスノーボードは,かねてより外傷の多さが注目されている競技であり,豊富な症例経験をお持ちの若原先生に執筆いただいている.スノーボード,スキーでは死亡例も含めた頭部外傷が社会問題となっているため,あえて独立したテーマとして取り上げ,福田先生に脳神経外科医の立場から解説いただいた.アイスホッケーも外傷が多い冬季競技のひとつであるが,代表帯同ドクターである島本先生に,国際アイスホッケー連盟の外傷・障害サーベイランスの結果も含め執筆をお願いした.スケート競技は,コンタクトはないものの体幹や筋力バランスの悪さが障害につながる競技であり,理学療法士としての経験をふまえ入江先生に解説いただく.

インフルエンザ対策や運動誘発性喘息は冬季スポーツにおける“鉄板項目”であるが,国際大会での事例や最近の知見を中心に土肥先生,寺嶋先生にそれぞれ解説いただいた.スポーツとは無関係に,寒冷環境への曝露が突然死を含めた心血管系へのリスクとなることは経験的に知られているが,そのメカニズムについてはあまり議論される機会がない.今回,木下先生より多くの文献的知見も含めた貴重な論文を寄稿いただいている.

最後に,是非ご一読いただきたいのが低体温症を扱った2 本の論文である.熱中症に比べ,臨床で見る頻度は低いが,近年の登山,ランニングブームに関連して知っておくべき病態であり,それぞれの分野で長いこと現場に関わってこられた金田,真鍋の両先生に執筆をお願いした.

本特集は寒冷環境や冬季競技を取り巻く諸問題について,系統的かつup date された情報を満載できたと自負している.特殊なテーマにもかかわらず,快く執筆をお引き受けくださった諸先生方に心より感謝申し上げ,序文の結びとしたい.


特集編集:石田浩之(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター准教授)

目次

【特集】

〈基 礎〉

寒冷刺激に対する生理的応答/森田憲輝ほか

環境温度とエネルギー代謝の変化/田中茂穂

骨格筋と熱産生/石井直方

〈冬季競技と外傷・障害〉

アルペンスキーにおける膝関節外傷/古賀英之ほか

スキー・スノーボード競技における頭部外傷/福田 修

スノーボード競技における外傷の特徴と予防-岐阜県奥美濃地方の報告から-/若原和彦ほか

アイスホッケー競技におけるスポーツ傷害/島本則道ほか

スケート競技における障害予防/入江 学ほか

〈冬季競技と内科的障害〉

冬季スポーツとインフルエンザ対策/土肥美智子

寒冷刺激と運動誘発性喘息/寺嶋 毅ほか

寒冷刺激と心臓血管系へのリスク/木下訓光

登山で起こる凍傷と低体温症/金田正樹

ランニングと低体温症/真鍋知宏

【研究発表】

反復性肩関節前方脱臼のラグビー選手のタックル姿勢-動作解析による検証-/井上泰博ほか

【Current Contents】

秋本崇之

【臨スポニュース】

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書籍情報

  • ISBN:9784011003211
  • ページ数:100頁
  • 書籍発行日:2015年11月
  • 電子版発売日:2021年6月9日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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