病理と臨床 2015年 12月号(33巻12号)副腎の病理

  • ページ数 : 102頁
  • 書籍発行日 : 2015年12月
  • 電子版発売日 : 2021年4月30日
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内容

特集テーマは,「副腎の病理」.副腎の発生,解剖と検体の扱い方,副腎病変を病理診断するに際し必要な最低限の内分泌学/画像的所見,Cushing症候群を呈する副腎皮質病変の病理,原発性アルドステロン症を呈する副腎皮質病変の病理,副腎皮質腫瘍の良悪性の病理組織学的鑑別,等について考察する.連載記事として,[マクロクイズ],[CPC解説],[各種顕微鏡の進歩],[今月の話題],他を掲載.

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序文

副腎の病理

特集編集

笹野公伸 [東北大学大学院医学系研究科病理診断学分野]


副腎は髄質と皮質という各々外胚葉,中胚葉に由来する全く異なる組織が接していて各々異なるホルモンを合成,分泌している内分泌臓器である.副腎に発生する病変は,けして稀ではなく加えて他の内分泌臓器に発生する病変と比較し以下のような特徴を有している.このためどちらかというとその病理診断は病理医にとり敷居が高いように思えるのではないかと考えられる.

1.内分泌所見の理解が病理診断に必要なこと:他の内分泌臓器由来の病変と比較しても病理組織診断をする際に内分泌所見の理解が最も求められる病変である.併せてペプチドホルモンとは異なり,ステロイドホルモン,カテコールアミン双方ともに特異的な抗体を用いてこれらホルモンの産生の場を同定することが不可能なので形態学的所見と内分泌所見を相関させることが極めて困難である.そこで本特集では病理診断を行うに際して病理医が知っておかなければならない必要最低限な所見を紹介する.

2.複雑な病理形態所見を呈すること:腫瘍性病変の組織学的多彩さに加えて,特に副腎皮質はACTH,レニン-アンギオテンシン系といったフィードバック機構の上位から種々の影響を受けその形態像はかなり複雑になる.

3.腫瘍の良悪性の病理組織学的鑑別が極めて困難な症例もあること:副腎皮質,髄質双方から発生する腫瘍の良悪性の病理組織学的鑑別診断に際しては他の臓器における病理組織学的な良悪性の鑑別のパラメーターが必ずしもあてはまらない.これらのことから副甲状腺由来の腫瘍と並んで良悪性の鑑別診断が極めて困難である腫瘍の代表例として知られている.そこで本特集では副腎皮質,髄質由来の腫瘍で最も確実な良悪性の病理組織診断基準を紹介し,併せて適応する際の注意点,限界も紹介する.

4.多彩な遺伝背景を有する病変が多いこと:内分泌臓器由来の種々の病変にある程度は共通しているが,種々のgenomic DNAの変異で多彩な副腎皮質,髄質由来の病変が発生してくる.病理学的に病変が同定されてから,これら種々の複雑な遺伝性症候群が判明することも少なくなく,病理医もこれらの症候群をある程度理解しておくことが望まれる.

本特集では臨床的には極めて重要ではあるが病理医にとり必ずしもあまり知られていない副腎疾患を取り上げた.良悪性の鑑別などに加えて病理診断医が知っておくべき副腎疾患のホルモン所見,遺伝性背景などに関しても解説を加えた.

目次

特集

副腎の発生,解剖と検体の扱い方/笹野公伸ほか

副腎病変を病理診断するに際し必要な最低限の内分泌学/画像的所見/沖 隆

Cushing症候群を呈する副腎皮質病変の病理/鈴木 貴ほか

原発性アルドステロン症を呈する副腎皮質病変の病理/小野美澄ほか

副腎皮質腫瘍の良悪性の病理組織学的鑑別/中村保宏ほか

副腎髄質腫瘍の良悪性の病理組織学的鑑別/渡辺みかほか

副腎皮質・髄質病変を随伴する遺伝性疾患/櫻井晃洋

連載

<マクロクイズ>[80]/森永正二郎

<CPC解説>[77]

虫垂炎後に発症した化膿性門脈炎の一例/北川 諭他

各種顕微鏡の進歩[9] 原子間力顕微鏡による細胞・分子の力学イメージング/牧 功一郎ほか

<今月の話題>

腫瘍内転移の不思議/長沼 廣

<Review/Opinion>

徒然病理医絵巻を終えて─アンケート結果も交えて─/下山芳江ほか


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総目次

執筆者名索引

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書籍情報

  • ISBN:9784011203312
  • ページ数:102頁
  • 書籍発行日:2015年12月
  • 電子版発売日:2021年4月30日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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